#Don't Wanna Cry
そろそろ歳がバレそうだけれど、この曲は片田舎で思春期を過ごした私にとって半生のハイライトの曲と言っても過言ではない。今でも少し前奏で泣きそうになる。
田舎の少女が自分の好きなことを好きなことだと言えないままに好きな気持ちにそっと蓋をしてしまった話だから。
私はダンスと歌が大好きな小学生で、昭和生まれの田舎出身なのにダンスを習わせてもらっていた。
その頃安室ちゃんは全盛期で、なんとなくね、大人になったら安室ちゃんみたいになれると思ってたんだよ、あとSPEED。今思うと本当になんでそう思ったのか意味が分からないけれど。けれど、それくらい皆が安室ちゃんに夢中だった。
小さいころは人見知りが激しかったのに加え、共働きだったのでレッスンのときにスタジオの後ろには母親はいないし、私は私立の小学校に通っていたので教室での友達はできなくて、ダンスが好きじゃなければ通う理由など一つもなかった。
何なんだろうね、子供の習いごとの間中見張っている親とは。
小4の時に中学受験のために塾に通わなくちゃいけなくなったし、勉強に集中しなきゃいけないからダンスは辞めなさいと言われて、少しだけ抵抗したあとに言われた通りにやめた。
私はあの子たちとは違って、いい大学に行って、いい職業について、お金をたくさん稼ぐんだ。ダンスなんてやっててもチャラチャラしている。わがままを言って続けても、レッスンママたちの中でフルタイムで働いている私のお母さんをこれ以上苦しめることになる...
そうやって折り合いをつけて、好きなことに自分で蓋をした。
辞めることがきまって、最後の発表会で、この曲をお姉さんクラスの人たちが歌っていて、ごめんけど私の方がうまく歌って踊れるんだが。と思った。
それ以来、この曲を聴くと、その時の悔しさと、ああもうダンスはできないんだという絶望がよみがえってくる。
結局大人の求めるいい子を演じることだけに長けていた私は、中高とバレーボール部に入って、文武両道を装って、大学でも発散できず、その後ダンスが本当がやりたかったと言えたのは25になってからだったと思う。
選ばなかった人生に思いを馳せることなどほどんどないけれど、もし、あの時、ダンスが本当に好きと言えていて、続けられ居たらと思うことは、ある。
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