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「いってらっしゃい」—児童養護施設における自立支援と卒園後支援の重要性

全国28の自立援助ホームを統括していた経験を通じて、私が児童養護施設や自立援助ホームでの自立支援において特に重視しているのは、施設を卒園した後も、子どもたちが「いつでも戻れる場所」があるという安心感を持てる環境を作ることです。施設での支援が終わっても、子どもたちが安心して頼れる関係を築くことが、彼らの将来において大きな意味を持ちます。

自立支援で目指すべき支援の形

自立支援において目指すべきことは、子どもたちが施設外の地域社会で自分の居場所を見つけ、日常的に困った時に誰かに頼れる力を身につけることです。児童養護施設にいる子どもたちも、学校などの地域との関わりを通じて自分の存在意義を感じられる場所を持つことが重要です。施設が「開かれた場所」として地域とつながり、子どもたちが自然と地域社会の一員として関わることで、自立の基礎が築かれます。

特別なイベントがなくても、地域の方々や子どもたちが施設に訪れ、日常的に交流できるような環境を目指すことが理想です。地域社会の中で多くの大人や子どもたちと接する機会が増えるほど、子どもたちは社会的スキルや自己肯定感を育み、より豊かな自立を実現できるでしょう。

また、子どもが職員に相談してきた際には、職員がすぐに答えを出すのではなく、時には地域の他の大人や専門家に相談を促すことが大切です。こうした関係づくりが、子どもたちの自立を促進し、社会の中で安心して生きていく力を育む手助けとなります。失敗を経験し、その過程で職員が共に謝り、共に学ぶ姿勢を示すことが、子どもたちにとって成長の一助となります。

自立援助ホームでの経験から考えられること

自立援助ホームに入居する子どもたちには、傾向として、児童養護施設からの措置変更で入居する子どもは職員とは良好な関係を築けるものの、地域の大人や職場の人々との関係を築くのが苦手なケースが多く見られます。一方、家庭から直接自立援助ホームに入居する子どもは、職員との関係構築が苦手ですが、地域の大人たちを頼る力があり、そのため自立に向けた進展が早い傾向にあります。

この経験から、児童養護施設での自立支援においても、職員との関係だけに頼るのではなく、地域社会での多様な人々との関係構築が自立の道を支える鍵となることがわかります。地域で他者と関わり、頼る力を育てることが、子どもたちの真の自立へとつながるのです。

「いってらっしゃい」という送り出しの言葉

卒園の際、私たちが子どもたちにかける言葉は「さようなら」ではなく「いってらっしゃい」です。この言葉には、いつでも戻れる場所がここにあるという安心感を込めています。お別れ会を開くのではなく、日常的にLINEや電話でのやり取りを継続し、卒園後も気軽に話せる環境を大切にしています。そうすることで、日常のちょっとしたことでもすぐに連絡でき、結果として、困ったときに安心して相談できる関係が築かれるのです。

「いってらっしゃい」と送り出すことで、施設がいつでも戻れる場所であり、卒園後も頼れる存在であることを示すことで、新たな環境への不安を和らげます。

卒園後支援のあり方

卒園後支援では、子どもたちとの日常的なやり取りを続けることが非常に重要です。普段から気軽に話せる関係があってこそ、困難に直面したときに安心して相談できるのです。また、職員との関係だけでなく、地域の方々との連携を通じて、子どもたちが多様な大人たちとの信頼関係を築くことができれば、より豊かな自立が実現します。

子どもたちが卒園した後も、いつでも戻れる場所としての施設があり、そこで得たつながりが彼らの未来を支える力となる。それが、私たちが目指す支援の形です。



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