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グループスーパービジョン(GSV)と社会的養護

チームの力を引き出す実践法

ケース会議に参加していると、「もっと効果的な支援ができないか」「チーム全体の力を引き出せないか」と感じることはありませんか?私も社会的養護の現場でそのような課題を抱えていました。そこで導入したのがグループスーパービジョン(GSV)です。

GSVは、ケース会議や日常の支援において、個々の職員が持つ経験や知識を最大限に活かし、チーム全体で支援の質を向上させるための手法です。特に、複雑なニーズを持つ子どもたちの支援が必要な社会的養護の現場では、GSVが大きな効果を発揮します。

GSVの具体的な手法

GSVは、チーム内での対話を深め、支援方法や課題解決を共同で探るための場です。以下に、GSVの進行手順を説明します。

1.ファシリテーターの選定

GSVを効果的に進めるためには、中立的なファシリテーターが必要です。ファシリテーターは議論の進行をスムーズにし、参加者全員が安心して意見を出せる環境を作り出します。ファシリテーターは必ずしも外部の専門家である必要はなく、内部の職員でも効果的に進行できます。私(小林努)も専門家として、ファシリテーターを務めることができます。

2.テーマ設定

GSVのテーマは、具体的なケースや支援における課題です。事前に全員がテーマを共有し、準備することで、議論が深まりやすくなります。この準備段階が成功の鍵です。

3.発表とフィードバック

各メンバーが担当しているケースについて発表し、それに対して他のメンバーが建設的なフィードバックを行います。大切なのは、批判ではなく、多様な視点を通じて新たなアイデアを引き出すことです。GSVは、現場の支援の改善に役立つだけでなく、参加者同士が学び合う場としても機能します。

4.解決策の模索

フィードバックを元に、グループ全体で解決策を共同で考える時間を設けます。各メンバーの経験や知見を活かして、実行可能な具体的なアクションプランをまとめます。発言しやすい雰囲気をつくることで、自由にアイデアを出し合い、最善の方法を見つけます。

5.フォローアップ

決定された解決策が実行された後、定期的なフォローアップを行います。これにより、効果を確認しつつ、PDCAサイクルを回しながら継続的な改善を図ります。

GSVのケース会議への効果

GSVを導入することで、ケース会議は単なる方針決定の場ではなく、深い議論を通じた支援改善の場になります。例えば、ある子どもの課題行動に対して異なるアプローチを持つ複数のスタッフが、それぞれの方法の強みや改善点を共有し、支援に一貫性を持たせることができます。

また、新人スタッフが自由に発言できる環境を整えることで、ベテランスタッフの経験から学びつつ、新しい視点やアイデアを提供できるようになります。結果的に、チーム全体が学び成長する場として機能し、個々のスタッフのスキルアップにもつながります。

GSVの社会的養護への貢献

GSVは、スタッフ間の信頼関係を深め、現場全体の士気を向上させるための強力なツールです。社会的養護の現場では、支援を受ける子どもたち一人ひとりが異なるニーズを持っており、スタッフ間の情報共有と連携が不可欠です。GSVを通じて、スタッフが自分の支援方法を振り返り、他のスタッフと協力しながらより良い支援方法を模索することで、支援の質を向上させることができます。

私の前の職場では、GSVを導入したことで以下のような変化が見られました。

  • 新人スタッフが積極的に意見を述べるようになり、彼らの成長が促進された。

  • ベテランスタッフの知識と経験が共有され、チーム全体のスキルが向上した。

  • 支援の一貫性が確保され、子どもたちへの支援が安定した。

何より、スタッフが一人で問題を抱え込まないという文化が根付きました。GSVを通じて、現場での支援をより良くする方法を共に考え、子どもたちに最良の未来を提供していきましょう。

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