ヒューマンアカデミー横浜で社会的養護をテーマにしたゲスト講義を実施しました
こんにちは。12月4日、ヒューマンアカデミー横浜にて、社会的養護をテーマに2コマのゲスト講義を行いました。
この機会をいただいたのは、聖母愛児園の梛橋雄一さんのお声がけがきっかけでした。梛橋さんは専門学校で講師をされており、社会的養護に関心を持つ学生たちへの講義をご提案いただきました。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。
この経験を振り返り、講義内容や学生たちの反応について共有したいと思います。
1コマ目:2年生への「自立支援計画」と「自分を知る」
1コマ目では、2年生を対象に、「自立支援計画」について私自身の考えをお伝えしました。また、講義の中で「自分を知る」ことの重要性をテーマに、身近な題材として昔話「桃太郎」を取り入れたワークも行いました。
自立支援計画の本質
「自立支援計画」とは、支援対象となる子どもたちが、自分自身の力で未来を切り拓いていけるよう、その成長や生活を支えるための指針となるものです。ただし、計画書が単なる形式的な書類で終わってしまうことも少なくありません。そこで、私は「計画を作ること」よりも「計画をどう活用するか」に重点を置く視点を伝えました。
具体的には、以下のようなポイントを学生たちと考えました。
子どもたちが「自己決定」をしっかり行えるよう、計画にどのように反映するか。
計画を子ども自身が「自分の未来の道しるべ」として感じられるようにするためには、支援者がどんな工夫をすべきか。
計画を単なる「記録」ではなく、柔軟に見直しながら進化させる「プロセス」として扱う重要性。
こうした考え方は、学生たちがこれから福祉や支援の現場で役立てるために欠かせない視点です。2年生は社会福祉の基礎知識があるため、議論も深まり、「支援の主体は常に子ども自身であるべき」というテーマに共感してくれました。
桃太郎を通じて「自分を知る」
また、この講義では「自分を知る」ためのワークとして、昔話「桃太郎」を用いたアクティビティも実施しました。これは、学生たちが自分の価値観や役割を客観的に見つめ直すきっかけを提供することを目的としています。
ワークの内容は、桃太郎の登場人物に自分を重ねて考えるというものです。「自分は桃太郎なのか? 犬なのか? キジなのか?」といった問いかけを通じて、以下のような点を学生たちに考えてもらいました。
自分の強みや役割:桃太郎のようにリーダーシップを発揮するタイプか、それとも犬やキジのようにチームを支えるタイプか。
価値観の確認:仲間と協働して目標を達成することの意義をどう捉えているか。
自己理解を通じた成長:支援者として、どのように自分の特性を活かしていくべきか。
学生たちは、自分の役割を意識しながら日常の人間関係や支援のあり方についても深く考えている様子でした。このワークを通じて、「自分を知る」ことが仲間づくりや支援活動において重要な基盤となることを実感してもらえたのではないかと思います。
2コマ目:1年生への「自立援助ホーム」について
2コマ目では、1年生を対象に「自立援助ホーム」をテーマにお話ししました。講義では、自立援助ホームの制度や仕組み、その課題、そして実際にそこで生活する子どもたちの日常を具体的に紹介しました。
自立援助ホームの課題と現場の現実
自立援助ホームは、家庭での生活が難しい15歳以上の子どもたちが、集団生活を通じて自立への準備を進める場所です。しかし、この制度には、下記のようなさまざまな課題があります。
支援スタッフの不足や待遇の問題
予算や制度設計の不十分さ
子どもたちが抱える心理的・社会的な困難の多様化
これらの課題について、具体的な事例を交えながら説明しました。特に、支援者が子どもたちと信頼関係を築きながら彼らの成長を支える難しさを伝えることで、現場のリアルな状況を共有しました。
トー横キッズの問題行動をどう見るか
講義の中では、「トー横キッズ」の話題も取り上げました。彼らの問題行動は、単なる「反抗」ではなく、**「SOS行動」や「希求行動」**として理解する必要があります。また、こうした状況は、子どもたち自身の問題だけでなく、大人や社会全体の問題の表れでもあることを強調しました。
学生たちは非常に真剣に耳を傾け、授業後には以下のような質問をしてくれました。
「自立援助ホームでの具体的な支援内容」
「多職種連携の重要性」
「少年犯罪との関連性」
こうした質問から、1年生がテーマに強い関心を持ち、支援者としての視点を育てようとしている姿勢を感じました。
まとめ
今回の講義では、1年生と2年生、それぞれの学年に応じたテーマで社会的養護について考える機会を提供できました。
2年生には「自立支援計画」や「自分を知る」ことの重要性を伝えることで、支援者としての視野を広げてもらいました。また、桃太郎を題材にしたワークを通じて、自分の役割や特性を客観的に捉える力を養うきっかけとなったと思います。
1年生には、自立援助ホームの現状や制度の課題を具体的に紹介しました。また、「トー横キッズ」の話題を通じて、子どもたちの問題行動を単なる「問題」として見るのではなく、その背景にある「SOS」を汲み取る視点の大切さを考えてもらいました。
ヒューマンアカデミーでの講義は、私自身にとっても多くの学びがあり、非常に充実した時間となりました。社会的養護や子どもたちの支援について、これからも発信を続け、多くの方と意見を交わしながら、支援の輪を広げていきたいと思います。
この記事をご覧いただいた方の中で関心を持たれた方は、ぜひGoogleフォームにてご連絡をください。一緒に、社会的養護や支援の未来について考えていきましょう。