4/18 ニュースなスペイン語 Acto heroico:英雄的な活動
正確には「勇敢で、英雄的な活動(un acto heroico de valor)」となっていた。
どんな行為が?
「料理を作ること(cocinar)」が、である。
この記事でも何回か(例えば、昨年10月23日など)紹介した「ワールド・セントラル・キッチン(World Central Kitchen)」のボランティア(voluntario)4人が、ウクライナ東部の都市ハリコフ(Járkof)で活動中、ロシア軍による爆撃(ataque)をうけ、負傷(herido)した。全員、病院に搬送され、幸い、命に別条はない(no corre peligro)という。
ワールド・セントラル・キッチンは、スペイン人シェフ、ホセ・アンドレス(José Andrés)が2010年に設立した非営利団体(organización sin ánimo de lucro)で、自然災害や紛争地域に赴き、温かい食事(comidas calientes)の炊き出しを行ってきた。最近では、スペインのパルマ島で噴火があったとき、いち早く現地入りし、温かい食事を提供していた(もちろん、小生が知っている限りの話であって、他にもいろいろな慈善活動(actividad humanitaria)をしている)。
同団体は2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まった瞬間から、現地で炊き出しの活動をしてきた。
表題のことばは、この団体の隊長(director)が被害を受け、惨状を伝えるツイートした時に語ったものだ。
料理を作ることは、勇敢で、英雄的な活動なのです(Cooking is a heroic act of bravery;Cocinar es un acto heroico de valor)(原文は英語)。
創立者のホセ・アンドレスは、爆撃があった時、幸いにも、ウクライナにはいなかった(もっとも、数日前にはキーウ(Kiev)にはいたそうだが・・・)。しかし、彼はどこかのホテルでワインを飲んでいたわけではなく、ちょうど爆撃があった頃、隣国ポーランドの各都市で、難民たちに温かい食事を提供する活動をしていた。本当に頭が下がる。
首相(Presidente del Gobierno)のペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)は、いち早く、隊員たちを案じるツイートを出し、
皆さんが、この残忍な戦争の傷を癒すために行っている、偉大で、一致団結した仕事に感謝します(Gracias por la inmensa y solidaria labor que realizáis para ayudar a paliar los efectos de esta cruel guerra)
とも述べた。
ところで、ホセ・アンドレスは、ボランティアを含め、自分たちのことを「Food Fighter」と呼ぶ。資金難と戦い、自然災害と戦い、戦禍とも戦う。文字通り、「材料を調達し、温かい食事を作り、提供するために戦う人」という意味だろう。
トコロ変わって日本では、「大食い人」を「フードファイター」と呼ぶことがある。まぁ、フードファイターは、彼ら・彼女らなりに、いろいろなことと戦っているのだろうから、ファイターと言えば、ん~、ファイターなんだが、ことばっていうのは、環境が違うと、ずいぶんと違うニュアンスを帯びるんだなぁ、と思う。
写真はウクライナした当時のホセ・アンドレス。ワールド・センラル・キッチンの活動が語られる時、形容詞「altruista(他人を優先する)」や名詞「altruismo(他人を優先する主義)」という語をよく見聞きする。スペイン人たちの有事の際の心の持ちようだが、ホセ・アンドレスのチームの皆は、そうしたスペイン人気質が、ぎゅっと、凝縮した感じだ。