見出し画像

マスコットガール

その転校生は、色が白くて、細くて、今までこの学校にいた子とは、なんだか雰囲気が違っていた。とてつもない美人って感じではなかったけれど、透き通っていて、孤高で、なんだか違う感じがした。

「あの子、隣町の族の、マスコットガールだったって」

そんな噂は、またたく間に広がった。

「マスコットガールって?」

「族のオンナ」

「誰かの?」

「全員の」

(?!?!?!)

衝撃が走った。
そんな存在は、初めてだったから。

「○○の族のメンバー、全員知ってる」
その子は、少し自慢げに、そう言って、フフっと笑った。

その噂が広まってから、その子がただそこにいるだけで、なんだか周囲が落ち着かない日が続いた。

感化院?から来たんだって。
保護観察官が付いてるらしいよ。
時々面談に来て、生活を知らせないといけないんだって。

なんだかよくわからないけれど、未知の世界だ、と、思った。

だけど、すごいなーと興味は持ちつつも、本当のところは、どうでもよかった。
そして、少し遠巻きにその子を見ているうちに、気がつくと、その子はいなくなっていた。

保護観察官の目を盗んで、夜逃げした、という噂がたったけど、本当のところはわからない。

ブラックリストに乗ったともだちとはまた違う世界があるものだと、わたしは他人事のように思っていた。
だって、その子は、ただ「クラスにいた」だけで、仲良しではなかったからね。




後日談)
今思うと、感化院って・・・いつの時代の話だよ。
そこまで年とってないわ(笑)。
誰だ、感化院なんて言ったの・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?