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爆音

今日もまた、やってきた。

休みの最終日は、爆音とともに、あのバイクがやって来る。

仲間の声がするでもなく、誰かの罵声や、笑い声や、歓声が聴こえることもなく、あの爆音は、繰り返しやって来ては、静かな夜道に鳴り響く。

わたしとは、接点のない、あのバイクに乗ったひと。

わたしには、何故か、あの爆音が哀しみの音に聴こえる。

「ボクは、ここにいるよ」

「ボクに気づいて」

そんな、心の叫び声のように、聴こえてしまうのだ。

マフラーの音や、アクセルを何度もふかすリズムが、いつも同じで。もう、すっかり覚えてしまった。

あれはいつも、同じひと。

また爆音が聴こえる。

ああ、また、あの哀しみの音がやってきた。

わたしは、そんな想いとともに、爆音が去るのを、ただじっと待つ。

去って行ったあの音。

時には、時間差で、何度か繰り返す。
溢れ出す哀しみが、止まらないのだろうか。
どんな想いで、アクセルをふかしているのか。

今日はまだ、一回目。

どうか、その哀しみが、昇華されていきますように。

騒音のはずの、あの音に、わたしは願いを込める。

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