「母子家庭だから」って、意味がわかんなかった
大きくなってから、同級生に、
「うち、母子家庭だからさ」
って言われたけど、全然意味がわかんなかった。
(・・・?だから、なに?)
って、思った。
わたしの小さい頃からのともだちは、結構たくさんのひとが、お母さんと子どもだけの環境で暮らしていて、それをそのままストンと受け入れて日々暮らしていたもんだから。
知らなかった。いや、気づかなかった。
「母子家庭」が、マイナスワードだなんて。
思えば、学校の目の前が、まちの母子専用アパート街だった。
だから、母子家庭なんて、当たり前だと思っていた。
お父さんとお母さんがいる家庭も多かったけど、そのことで偏見なんて、持ったことがなかった。
(世間の感覚は、違ったんだ・・・)
という、衝撃。
わたし、鈍いのかな・・・?
いや、違うと思う。
そういう感覚で、育ってこなかった、ということ。
相手の環境を、まるごと、穿った見方なく受け入れる、ということ。
実はこのことは、わたしにとっての強みであることに、わたしはしばらく経ってから気づくことになる。
当然、別の側面では、数多くの偏見や、偏った知識からくる、偏った考え方を持った自分にも気づきつつ、あれからたくさんの日々を過ごした。
いろんな自分を知って、驚いて、喜んで、嫌になって、なにも考えられなくなって、でもまた考えて。
ある時から、わたしは、幼い頃出逢って、当たり前のように存在していてくれた、たくさんのともだちに、心から感謝するようになる。
あなた達のおかげで、今のわたしがいる、と。
そして、その感謝の気持ちは、今も変わらない。