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#38 公共発注において最小の経費で最大の効果を上げることは出来ているのか?
NPO法人FM事業部の川口です。
さて、今回は自治体組織の中で良く言われる「最大の経費で最大の効果を上げる」という事をテーマに書いてみます。
自治体に限らず、いかなる業態・業務においても、この考えは適用できるはずですが、自治体ではこれをミッションとして掲げているにも関わらず、普段の業務の中で本当にできているの?といった疑念点もあったりするので、僕の個人的な思いも含めてまとめていこうかと思います。
特に、最近では物価高騰や人手不足の煽りを受けて、多くの公共工事入札において「入札不調」という結果が散見されるようになってきています。
この辺りの行政事情なんかも含めて、実際どうなっているの?とか、こうした方が良くない?みたいな感じで筆を進めていきたいと思います。
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前置きが長くなりましたが、では本題にまいりましょう。
そもそも「最小の経費で最大の効果」ってどこから来ているの?
自治体の中で昔から言われるこの言葉、いったいどこから来ているのでしょう?
公務員の方は、よくご存知だと思いますが、これは自治体にとって聖典とも言っていい、地方自治法という法律の中に書かれています。
それも第2条(第14項)という先頭の方に書かれているので、かなり普遍的かつ理念的な定義であり、これ絶対守らなきゃいけないよね、みたいな条文といえます。
地方自治法
第二条
1 地方公共団体は、法人とする。
2 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又は
これに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
〜 中略 〜
14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進
に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければ
ならない。
15 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、
他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければなら
ない。
あと、これもかなり聖典的な法律、地方財政法にも似たようなことが書かれています。
地方財政法
(予算の執行等)
第四条
1 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限
度をこえて、これを支出してはならない。
2 地方公共団体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければなら
ない。
考え方としては、当たり前のことですが、法律にもしっかり定義(というか義務化)されているんんですね。
長い法律の中の最初の方に書かれていますが、どの条に書かれているかまで覚えている人は少ないのではないでしょうか?
さて、この法律を元に、自治体では多くの業務(発注事務)がなされていますが、全ての業務に対して、この理念(義務)はしっかり守られているのでしょうか?
公共調達における入札という仕組み
FMや公共施設マネジメントの業務において、切っても切り離せないのが公共施設に関連する発注業務です。
一口に発注業務といっても、内容が業務委託であったり、公共施設の建設にかかる工事発注や、物品の調達など様々なカテゴリーがあります。
また、その手法も入札とかプロポーザルとか随意契約とか、様々な形態があることは皆さんもご存知なはず。
これは自治体ごとに多少の差異はありますが、一般的には入札という仕組みによって、調達先を決定するというのが、自治体のスタンダードです。
ただ、この仕組みが最近、瓦解し始めているのではないかと思うことが多々あります。
その中でも、最近よくニュースになっているのが、公共工事などの入札不調なのですが、これについては、我々の師匠ともいうべき木下斉さんが、Youtubeで辛辣に解説されているので、未視聴の方はぜひこちらも併せてご視聴くださいませ。
特に公共施設の整備といったジャンルにおいては、かつては、自治体にたんまりお金があって、それを市中に投下することで、まちの経済活動の下支えをしていたという時代が長く続きました。
そのような背景の中、公共工事を食い扶持にしていた(今でもそういった側面は捨てきれませんが)土建業界にいる多くの業者が、公共工事の受注をこぞって狙っていたという構図です。
公共工事における官製談合だとか贈収賄なんていう良くない噂も、以前はよくニュースで耳にしたものです。
(池井戸潤さんの鉄の骨なんかは、そんな構図をよく表した小説ですね)
さて、それが最近のご事情はどうなのでしょう?
応札してくる事業者が激減の公共工事
僕も役所の中で、公共工事の発注に関わる仕事をしているので、物凄く実感していますが、ここ数年、入札に応じる建設会社の数が激減しています。
利益率が若干高いと思われる電気設備工事や機械設備工事なんかは、そうでもありませんが、建築工事に関しては、その傾向が顕著に出ています。
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