#36 特定行政庁とか建築主事ってそもそも何?・・・で、それってどうなんよ?
NPO法人FM事業部の川口です。
今回は、一般の人には聞き馴染みが少ない「特定行政庁」とか「建築主事」という制度について綴っていきたいと思います。
「特定行政庁」や「建築主事」が何を指すかは、後ほど解説するとして、今回書きたいのは、この「特定行政庁」と「建築主事」なるものが、かなりヤバい存在になっていて、世の中の活動(特に我々がフィールドとしている公共施設や建築の世界)や自治体経営において、様々な阻害要因となっているのではないか、というお話です。
自分の所属する組織だけでなく、全国で仲の良い公務員たちからも、若干のディスりも含んだ揶揄する声を聞くことも少なくありませんし、もはやオワコン化しているという声も聞こえてくるあり様です。
僕は過去にこの「特定行政庁」の担当職場に所属していたこともありますし、建築主事になるための「建築基準適合判定資格者」という国家資格も保有しているのですが、そんな立場から、最近の情勢や実態なんかについて綴ってみたいと思います。
そもそも特定行政庁や建築主事って何?・・・人?組織?
公共施設に限らず、建築物を建てようとするときに避けては通れない手続きに「建築確認申請」というものがあります。
自分の家を建てる時に、この手続きを経験したという人も多いでしょう。
では、この建築確認はどんな権限の人が、どんな制度の中で動かしているのでしょう?
まずは、そこから解説していきたいと思います。
建築物にまつわる骨格的な法律、建築基準法には、次のようなことが定めれています。
これらをざっくり要約しますと、建築確認などの確認済証や検査済証を交付する権限を有している人を建築主事と呼ぶのですが、都道府県や比較的大きな自治体は建築主事を置かねばならず、自分たちの職員の中から任命しなければなりません。
その上で、建築主事を置いている都道府県や市町村の長(知事や市長など首長)は自動的に、建築関係の各種許認可権限を有する特定行政庁ということになります。
建築主事は、職員(公務員)の中から、国家資格(もちろん試験があります)を有している人が任命され、この人がその自治体における建築行政のかなりの権限を有するということになります。
なお特定行政庁は、一義的には首長ということになっていますが、(通常は建築行政に関してど素人の首長が判断できるはずもなく)事実上、建築主事に任命されている人がその大部分をコントロールしていますし、建築確認以外の建築行政関係の許可行為を司っているため、その権力は絶大です。
また建築主事を置かなければならないのは、都道府県と人口25万人以上の市で、中小自治体については、任意で設置することができると書かれています。
これだけ読むと、県や大きな市のみに置かれているように感じますが、実体上はそんなことはありません。
僕がいる岡山県では、県の市町村への権限移譲(というか実態上は財政のスリム化の一環)に伴い、小さな市にも建築主事が置かれています。
下の表を見てもらえれば分かると思いますが、25万人以上の市どころではなく、3万人を割り込んだ市にも建築主事が置かれ、特定行政庁となっています。
皆さんお住まいの地域ではどうでしょう?
県によって、かなりのバラツキが見られますが、この辺りを見ると各県の政策の一端が見れて、なかなか面白いです。
世の中の流れからガラパゴス化している建築行政組織
ずっと以前は、建築主事は行政機関にのみ置かれ、建築確認に関する業務は、役所が独占的に行なっていたのですが、僕が市役所に入庁した1999年(平成11年)に建築基準法が改正され、民間(指定確認検査機関)でも行えるようになりました。
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