自分ってなんだろう?で自分なんてなかった件
※この記事は以前Mediumにアップしたものを加筆修正したものです。
ふっと「自分て何なんだろう?」と思う瞬間はないだろうか。
よくわからないこの問いを考えることは、嫌いじゃない。
だけれどあるときは中身が詰まった箱のように、「わたしはこうである」というものでみっちり埋めたくなる。
かと思えば、月面を歩く宇宙飛行士のように重力を感じないくらい身軽になって、宇宙の中に溶けてしまいたくもなる。
どっちやねん、自分……。
と問いかけて何年もたったころ、奇妙な体験があった。
人の体験は主観的なものだから、ほとんど人には言っていないことだけど
ちょっと不思議な体験をしたことがある。
とある会場で自分の感想を述べる状況がやってきた。
さて、なんて言おうかなあ……と考えているときのことだった。
突然、わたしの周りが真っ暗になり、何も見えなくなった。
もちろん人の声も聞こえないし、気配もない。
わたし一人が、だだっ広い真っ暗な空間に浮いているような感じになり
でもそこに、わたしの身体があるわけでもない。
これを読んでいる人は、なんのこっちゃと思うかもしれないが
読む方の想像力におまかせするしかない。
「……?」と思うと同時に、「あー自分なんてないのだな」
と瞬時にでてきた感覚があった。
「自分なんてなかった」
不安感はなく、孤独でもなく、かといって至福感があるわけでもない。
「あれ?でもこれを思っているのは、自分があるからだよね?」
と、現世に戻ってきたような意識も湧きでてきたとき
急に人の声と、明るい部屋の様子が目に飛び込んできた。
意外と時間が経った感覚があったが、わたしが感想をいう順番はまだかかりそうだった。
一人の友人に話したら「それって瞑想のときに似ている?」
と聞いてきた。
う~ん、ちょっと似ているような、似ていないような……。
瞑想しようと意図的にその状況をつくったわけじゃないしなあ。
ただ普通にしていただけなのに、突然のこの空間ははじめてだった。
とても不思議だったし、なによりも「自分なんてなかった」体験が
どこかでしっくりすることを発見した。
そんな体験をした後だ。
いろいろあっても生きたように表現した方がいいじゃないか!
という気持ちが強くなった。(っと思っている)
体験の理解に、時間の長短は関係ないこともある。
またあの瞬間がおとずれたら、今度はじっくり味わいたいと思う。
……残念ながらまだないけれど。