イギリス、民衆により破壊されたその銅像の正体とは?

アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市にて、偽装紙幣を使用した「疑い」によりGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が白人警官Derek Chauvin(デレック・シャウヴィン)氏 に絞殺されてから、今やアメリカ全土だけではなく、世界中でBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)のデモ活動が活発化しております。6月7日には、大阪でも約1千人もの人々によるデモが実施されました。

そんな中、同日6月7日にイギリス西南部に位置するブリストル市で事件が起きました。

Black Lives Matterのデモ活動に参加していた1万もの人々が、市内中心に建てられている17世紀の交易商人、Edward Colston(エドワード・コルストン)の銅像を壊し、それを海に葬り去ったのです。

Video from Evening Standard

この銅像は、100年以上前となる1895年に建設され、市民の生活の一部となっておりました。ですが、1998年には「奴隷商人」という落書きが見られたり、銅像を取り除くための署名活動には、約1万1千件の署名が集まるなど、近年民衆の間で「彼が過去にしたことを考慮すると、彼の銅像なんて存在するべきではない」という声が高まっていました。

民衆がこの銅像を嫌う、その理由とは一体何なのでしょうか。

実はエドワード・コルストンという人物は、17世紀に王立アフリカ会社という貿易会社に所属し、ブリストル市に繁栄をもたらした傍ら、その実態は奴隷売買を担当していたのです。彼が所属していた間だけで、男女年齢を問わず約8万4千人もの人々をアフリカから奴隷としてイギリスへ強制移住させたと言われています。
さらに17世紀後半には、アメリカ大陸への航海の為に彼らを使い、約2万人もの黒人奴隷が航海中に死亡したと言われています。

今回の銅像破壊を受けて、エイボン・サマーセット警察署長であるAndy Bennett(アンディー・ベネット)氏は以下の様に語りました。

「今回のブリストル市内で行われたデモ活動に参加した大多数の人々が、ソーシャル・ディスタンスなどのルールを守りながら、暴動なども起こさず本来あるべき姿のデモ活動をしてくれた結果、逮捕者が出ることもなかった。このように、政府が発表しているルールを守りつつ人々を導いてくれたデモ活動の企画者には感謝の意を示す。だが、銅像を破壊した小さいグループが存在したことも事実であり、何より彼らは器物破損という罪を犯している。安全なデモ活動を実行できるように働きかけてくれたブリストル市議会に感謝すると共に、我々は銅像破壊に関わった人々の身元の捜索を急ぐ。」

世界中で日々加熱するBlack Lives Matter。それはこれまで黒人や人種的マイノリティの人々が、白人至上主義という社会のシステムに如何程虐げられてきたかを表しているかのようです。

Source by The Telegraph


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