手帳と一緒に使えば、自分軸を育む力強い後押しに。自分軸手帳の「オリジナル文具」開発秘話
2024年で発行4年目を迎えた「自分軸手帳」では、「自分軸を育てる、仲間と育てる」を合言葉に、手帳の発行やオンラインコミュニティ運営を行っています。
この企画「自分軸手帳の舞台裏」では、運営現場の裏側や、手帳・活動に込めた思いなどを運営メンバーが語ります。
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既に自分軸手帳をご存知の方はもちろん、自分にピッタリの手帳をお探しの方、胸に秘めた得体の知れないモヤモヤを手放すための手がかりを見つけたい方も。ぜひ最後までご覧くださいね。
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今回はご紹介するのは、「自分軸手帳オリジナル文具」の開発の思いや裏話。
自分軸手帳がオリジナル文具を初めて発売したのは、2023年版の手帳の発売時。その後、毎年商品の顔ぶれを入れ替えながら、開発・販売を続けています。
間もなく来たる2025年シーズンは、好評の「インデックスシール」と、ユーザーの声を反映してバージョンアップした「オリジナルノート」をラインナップ。それらに込めた思いを、運営メンバーのようこが思いを語ります。
聞き手はライターの矢島美穂さんです。
【語り手】
自分軸手帳合同会社代表・ようこ
「自分軸を育てる後押し」ができる文房具を
―― そもそもオリジナル文具の発売に至ったのは、どのような背景があったのでしょう?
ようこ:自分軸手帳には、ユーザーコミュニティ「自分軸手帳部(以下 手帳部)」があります。ここに所属する部員さんたちは、コミュニティ内はもちろん、SNSで手帳の使い方を発信してくださる方が少なくないんです。すると、手帳に何を書いているかだけではなく、文具と組み合わせて楽しむ方法もシェアされる。それを見た部員さん同士が文具の話で盛り上がるのは日常茶飯事だったんですよね。
やがて「自分軸手帳をもっと楽しむための文具があったらうれしいよね」という声が、自然発生的に生まれるようになりました。
―― ユーザーさんの声から、文具プロジェクトがスタートしたんですね。
ようこ:みなさんの声がなければ、間違いなくあのタイミングで着手することはなかったと思います。
とはいえ、質が高くて魅力的な文具は既に市場に溢れていますよね。要望に応えたいという熱意や雰囲気に任せてスタートするのではなく、まずは「私たちがオリジナル文具を作る意味」をしっかり考える必要があると感じました。
―― では、文具開発に対してどんな方針や意味を見出したのでしょう?
ようこ:オリジナル文具があるおかげで、手帳を書くという行為がより楽しく、続けやすくなること。ひいては、自分軸を見つけ、育てる後押しになること。それがオリジナル文具開発の意味であり、大方針です。
ようこ:自分軸手帳に愛着が湧けば、より確実に、より自然に、手帳に向き合えるようになるはず。それはつまり、自分の人生と向き合う機会が増えていくことと同義ですよね。
そのために、文具を通して自分軸手帳への愛着が増すよう、市販品にはない「自分軸ならでは」の特徴があること。かつユーザーのみなさんがそれを手に取った時に、より自分軸を育みやすくなるものを作ることを強く意識しています。
―― 先ほど、「既に高品質で魅力的な市販品が溢れている」という言葉がありました。そのせいでしょうか、改めて考えると手帳ブランドがオリジナル文具を開発・販売しているというケースは意外と少ないですよね。
ようこ:まさにおっしゃる通りなんです。オリジナル文具って、実は手帳業界では横綱的存在がようやく手を出す分野だと思うんですよ。
ようこ:たとえば、2025年シーズンも販売する自分軸手帳の「オリジナルインデックス」。これは、愛用者の多い『チラッとインデックス』(ミドリ)をベースに、自分軸手帳オリジナルデザインで作ったものです。カバーからはみ出ない2.5mm、再剥離タイプで貼り直しもできて、とても使いやすいんですよね。では、こういうオリジナルインデックスを作っている手帳はどこかと考えてみると……おそらく手帳好きの方々でも思い浮かべることができるのは、大手の数ブランドだと思います。
―― インデックスって手帳に合わせたオリジナル商品として作りやすそうなのに、作られているのは大手中心とは意外ですね。オリジナル文具の制作や販売は、それほどハードルが高いのか……。
ようこ:自分軸手帳のような規模の手帳でオリジナル文具開発に着手しているところは本当に少ないかと。文具は手帳本体よりも購入数が少ないのは間違いないですし、販売数の予測も立てにくいですから、非常に計画を立てにくい!私たちが特殊なんだと思います(笑)。
そういう意味でも、現時点では「利益を得るための文具」というよりも、「自分軸手帳との毎日を後押しするためのお手伝い」として力を注いでいる色が強いですね。この実態からも、オリジナル文具に対する私たちのスタンスや思いが伝わるといいのですが……!
―― 以前のインタビューでも「我々は手帳屋さんではない。あくまでも目的は自分軸を育ててもらうこと」というお話をなさっていましたが、文房具開発でもその哲学を感じます。
ようこ:そうですね。ファッションとしてのオリジナル文具は自分軸手帳らしくないし、そういう素敵なものを作る偉大なプロはたくさんいますから。限られた私たちのリソースを何に割くか、「自分軸手帳ならでは」をどう表現するかは毎回丁寧に議論します。
ようこ:たとえば、2024年シーズンに発売した「戦略的○○シール」は、自分のことを大切にする予定を最優先に予約しようよ、という思いを詰め込んだ商品でした。
きっかけは、開発に着手する前年(2022年)に手帳部で発足した「7つの習慣実践サークル」です。部内の希望者が、手帳を活用しながら自己啓発の歴史的名著「7つの習慣」の教えを実践していったのですが、この中に「最優先事項を優先する」というものがあるんですね。要約すると「緊急ではないが重要なこと」にこそ優先的に取り組もうという考え方です。
これはまさに自分軸手帳の考え方とリンクするんですよね。
ようこ:ユーザーのみなさんは、家庭や社会で役割をたくさん引き受けてがんばるうちに、ついつい自分のことは後回しにしてしまいがち。でも、自分軸手帳巻頭の年間ページを見渡して、毎月1回自分のための有休を取るとか、2ヶ月に1回自分のための美容院に行くとか……そうやって自分を優先して大切にすることが自分軸を育てる上で重要なポイントだよね、と。
そんな思いを乗せて、年間カレンダーのマスに合わせたサイズで、一人ひとり異なる最優先事項に対応できるような汎用性のある絵柄のシールを作り上げていきました。
2025年シーズンのオリジナル文具ラインナップ
―― そんなストーリーをうかがうと、ますます2025年シーズンの文房具が楽しみになりますね。
ようこ:ありがとうございます。今回は過去に発売した中から、2つの商品をリニューアルして販売します。
◎オリジナルインデックス
ようこ:1つめは、毎年人気のオリジナルインデックスです。
自分軸手帳はワークページとスケジュールページを行ったり来たり……いわば「反復横跳び」(※)しながら手帳を活用して自分軸を育ててほしいという思いがあります。
ですから、それを実現しやすいよう、インデックスにも2つの工夫を加えています。
まず、目的のページをスムーズに見つけられるよう、自分軸手帳のワーク名がすべて印字されていること。印字がないものも数枚ご用意しているので、オリジナルリストが作れるワーク「私の○○リスト」や巻末のフリーページにインデックスを付けるとさらに反復横跳びがしやすくなるはずです。
ようこ:もう一つの工夫は、表紙側だけではなく裏表紙側から見ても印字がされていること。手帳後半のスケジュールページを開いている時にも、その状態のまま前半のワークページにすぐアクセスすることができます。
―― 今年リニューアルしたポイントはありますか?
ようこ:こちらは質を高めるための大きなリニューアルを昨シーズンに済ませておりご好評をいただいているので、機能面での変更はありません。先ほどお話した通り、大人気文房具「チラットINDEX」と同品質の商品ですから、耐久性もあり再剥離可能で貼り直しでき、非常に使いやすいと思います。色味は2025年バージョンに変更しているので、前回購入した方も新たな気持ちで楽しんでいただけます。
◎オリジナルノート
―― もう一つのオリジナル文具、オリジナルノートについても詳しく聞かせてください。
ようこ:自分軸手帳は「書く」という行為を強く推奨しています。頭の中にあるものを書き出し、それを眺めるのは、自分を客観的に捉え直す第一歩。普段の自分と少し距離を置くことで、自分の内側に抱え込んでいた時には気付かなかった視点に気づくことができます。
一方で、自分軸手帳のウィークリーページは見開き1週間のバーチカルタイプですから、毎日たくさん書きたい人にとってはスペースが足りないことも。頭の中にたくさんの思考があるのに、紙が足りないから書ききれなくて、思考や気持ちが整理できないのはもったいないですよね。
そこに思い切り書けるノートがあれば、外付けハードディスクのように、安心して頭や心の内を吐きだしきれるのではないかと思い、ご用意しました。
―― そんな思いと同時に、もちろんこだわりも詰め込まれているんですよね?
ようこ:はい。まずは自分軸手帳と同じ用紙を使用しているという点ですね。
自分軸手帳開発時は、書くという行為に集中してもらえるよう、無用なストレスを感じさせない紙選びにこだわりました。具体的にはペンが引っかからず滑りすぎない書き心地の良さや、裏抜けのしにくさなどです。その甲斐あって、ユーザーさんからはこの紙質が大好き!という声を多くいただきます。
ようこ:オリジナルノートでは、自分軸手帳と同じ用紙に手帳巻末のフリー方眼と同じ間隔で罫線を引いていますから、まさに「手帳の拡張版」として活用いただけると思います。
もう一つのこだわりは、サイズと薄さですね。
ぱっと見は手帳と同じA5サイズなのですが、幅を若干狭く、そして薄く仕上げています。これは「手帳に挟んで一緒に持ち歩きやすいように」という工夫です。
リニューアルはユーザーのリアルな意見と運営側の思いの掛け合わせ
―― 自分軸手帳と同時に使ってこそ良さが活きる商品ばかりですね!どちらの文具も、開発段階で部員さんの意見を積極的に募っていましたね。
ようこ:ここまで語ってきたような「自分軸手帳としての思い」はもちろんあるのですが、それだけでは見落としてしまう部分が必ずありますから。みなさんのご意見はぜひ聞きたいと思いました。
―― 今シーズンの開発で、「部員さんの声があったからこそ気づくことができた」というような部分はありましたか?
ようこ:はい。たとえば、オリジナルノートの方眼についていただいたご意見ですね。
2023年シーズンに発売したオリジナルノートの初版は、方眼の大きさも濃さも、自分軸手帳のフリーページそのままで作成しました。さらに上部の3行だけはページタイトルが書きやすいように薄くするといった工夫を施しました。
ところが今回再販にあたり改めてアンケートしてみた結果、「上部にタイトルスペースを設けるより、全面方眼の方がいい」「ノートの方眼は自分軸手帳の方眼よりも薄めの印刷がいい」という声が非常に多かったんです。
ようこ:初版にも部員さんのご意見を反映していましがた、実際使ってみて初めて「ここがこうなっていた方が使いやすい」という気づきが生まれた、その結果だと思うんですよね。実体験から寄せられたご意見には非常に説得力がありました。
先ほどお話した「自分軸手帳の拡張版」という言葉に則って形にするなら、手帳のフリーページと全く同じ方眼を束ねたノートを作っていたと思います。幅広くご意見を募ることで、より自分軸が育てやすい商品を実現できたと感じています。
―― とても多くの意見が集まったからこそ、取捨選択する難しさもあったかと思います。最終的に運営メンバーが判断を行う上で、判断の基準などはあったのでしょうか?
ようこ:大きな拠り所になるのは、ミッション・ビジョン・バリューですね。さらに、これまでお話した「自分軸手帳を使って、自分軸を見つけ育てる」ことに寄与するかというポイントで最終的には判断しました。
「私はこういう使い方をしているから、それに合わせてここを変更してほしい」というご意見をいただくこともあります。そのアイデアはとても魅力的で面白いものであることも少なくありません。けれど、それに応えることが、違う道のりで自分軸を育てたい人にとってのハードルになったりする可能性があるとしたら、Yesとは言えないんですよね。
―― 「自分軸を見つけ育てる」という目的はぶらさず、ユーザーの幸福度を最大化する様子がうかがえます。
ようこ:今回は、ノートの厚さに関しても様々なご意見をいただきました。「もっと厚い方がいっぱいかけるよね!」というご意見はごもっとも。でもそのニーズを❘賄《まかな》える既製品はあるし、手帳にも挟みにくくなりますよね。
あるいは運営内で、「繰り返しワークに取り組めるように、ワークページが印刷された『おかわりノート』はどうだろう?」という意見も出ました。製品化されたら便利だと感じる方はいるでしょうけれど、ワークページはPDFでデータ配布しているから文具にする必然性はないのでは、ということで候補からは外しました。
こんな風に、自分軸手帳が文具として提供しなくてはいけないゾーンはどこなのか。本当に多くのユーザーにとってうれしいのか。その視点は大切にしています。
―― とはいえ、部員さんと近い距離感でたくさんのご意見を受け取ると、そのスタンスを貫くのが大変なこともあるのでは?
ようこ:もちろん、全員のご意見を聞いて、喜んでいただきたい!でも、全員の意見を立てようと最大公約数的な商品にしたら、おそらく誰にとってもうれしくない中途半端なものしか出来上がらないと思うんです。
だからこそ、最後は運営メンバーが信念と責任を持って決める覚悟を胸に、恐れることなくいろいろな意見をいただくようにしています。そこには必ず、私たちが思いつかなかい視点をもらえるというプラスの側面があるはずですから。
使い手の数だけ、関わる人の数だけ、可能性が広がる
―― そんな思いが凝縮された文具たちがユーザーのみなさんの手に渡るときが、間もなくやってきますね。
ようこ:特にオリジナルノートは、使い手の数だけ使い道がありますからね。頭の中のモヤモヤを吐き出す用途に使ってもいいし、読書ノートや自由研究ノートにしてもいい。自分の好きな言葉を集めるのも素敵ですね。
以前発売したオリジナルノートの活用例も蓄積されていますので、そういった実例も今後ご紹介したいと思っています!
―― その実例を見てまた新たな活用法が生まれる……素敵な無限ループが待っていそうです。
ようこ:昨年まで、オリジナル文具は公式ストアでのみの販売だったのですが、この夏からはAmazonでの販売もスタートします。より手軽にお買い物してもらえるようになるので、自分軸手帳と文具の組み合わせで活用してくださる方が増えたらうれしいです。
―― 気が早い話ですが、今日のお話を聞いて、2026年シーズン以降のオリジナル文具も楽しみになりました!
ようこ:今後どんな展開になっていくかは未定ではありますが、大きな可能性を秘めていると思います。
手帳部の中には、いま本業で文具開発に携わっている方や、将来的にステーショナリーブランドを立ち上げたいという方もいます。興味ある方々を募って「オリジナル文具開発」という部員さんプロジェクトにするのも面白そうですよね。
これまでの話と重複しますが、文具開発の中心にあるのは「自分軸を見つけ、育てるために」という考え方。そのお手伝いが実現できる新たな文具があれば、ぜひ作りたいと思っています。そういった意味でも、まずはより多くの方に自分軸手帳とオリジナル文具を実際に使っていただき、ご意見を寄せていただきたいですね。アイデアを一緒に育てながら展開していくであろう新たな未来が、私たちも楽しみです。
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文責:矢島美穂(ライター、自分軸手帳部員)