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疑問6 1.5度目標は達成できそうなのか?問題
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今回参考にしたサイト、感想
なんとか1月中にと思いつつ、ギリギリアウトで2月になりました。
日々が飛ぶように過ぎていきますね。
さて、今回は「で、1.5度目標は達成できるのか!?」という単純にすごく気になるテーマで調べてみました。調べている過程で、トランプが選挙に勝つわ、日本の新NDC検討が進むわ、パブコメはあるわ、豊昇龍が横綱になるわ(おめでとう!)、いろんな動きがありましたが、今回は今時点で言えるざっくりした状況をまとめてみました。
参考にしたサイトなどは以下の通り。
●IPCC第6次調査報告書 2019年を基準にしたCO2排出量
情報元は以下のIPCCレポート。
▶IPCC 第 6 次評価報告書 統合報告書 政策決定者向け要約
このレポートが掲載されているのは以下のページ。
▶環境省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル
当該の記述は29ページにあります。
なお、今回「1.5度目標達成のためには」という表現で書きましたが、IPCCの記述では、この通りに削減をしても1.5度以下に抑えられる確率は50%とのことです。
ちなみに、調査報告書を見ると「オーバーシュート」という記述がありますが、これは「一時的に1.5度を超えて、あとから1.5度レベルにまでまた下がってくる」ということを想定した上で、一時的に1.5度を超えた状態をオーバーシュートと言っています。
余談ですが、ここにある2050年CO2の99%削減がカーボンニュートラルってことか!と思いましたが、カーボンニュートラルと言う時は二酸化炭素だけじゃなくて温室効果ガス全体を指すみたいですね。
●カーボンバジェットについて
カーボンバジェットの定義に関しては以下のサイトを参考にしました。
いずれのサイトも、定義から始まり、カーボンバジェットにまつわる現状や論点を紹介してくれているのでご参考に。
▶国立研究開発法人 国立環境研究所 社会システム領域 コラム「誰がどのように<炭素の負債>を返済すべきなのか?」
▶京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 No.290 カーボンバジェットと2030年までに急ぐべきこと
1.5度に整合したカーボンバジェットの量「2020年から5000億トンCO2」の記述は、すでに上でご紹介したIPCCレポートの中にあります。
▶IPCC 第 6 次評価報告書 統合報告書 政策決定者向け要約
対象箇所は27ページで、次のように書かれています。
「人間の活動によって 1000 GtCO2排出されるごとに、世界平均気温は 0.45℃(可能性が高い範囲が 0.27~0.63℃の最良推定値)上昇する。2020 年の初めからの残余カーボンバジェットの最良推定値は、50%の確率で温暖化を 1.5℃に抑える場合に 500 GtCO2」500ギガトン=5000億トンでした。
なお、次回もう少し調べて書きたいと思っていますが、このカーボンバジェットを国別に分配する、つまり国ごとにそれぞれあとどのくらい排出してよいか?という議論もあるようです。今回はあくまでも世界全体での話になっています。
●各国の排出量について
▶全国地球温暖化防止活動推進センター 使える素材集 3-01 世界の二酸化炭素排出量(2021年)
今回引用したのは2021年のデータですが、2023年時点も上位国の順位に変化はなさそうです。日本は5番目なんですね。中国とアメリカがすごすぎるので、日本の3パーセントを少なく感じてしまいますが、それでも全世界で5番目に多いのでちゃんとその責任を果たしたいなぁと感じます。
今回は総排出量の円グラフを掲載しましたが、一人当たり排出量のグラフも以下にあるので見てみてください。
▶3-02 世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較(2021年)
一人当たり排出量は国による差がものすごく大きいことを再確認します。
完全に余談ですが、以前アフリカのタンザニアに行ったことがあるのですが、普通の民家でトイレを借りる機会がありました。土の壁と土の床、トイレはカーテンで仕切られただけ、あまりにも手作りでシンプルな家でした。「日本は十分省エネできている!」と、いくら豪語しても、もともとの消費レベルが全く違うということを改めて痛感した経験でした。
生活レベルを下げましょうという話をしたいのではありません。うちは十分やってるんで他をあたってください、というのはさすがに言えないよなぁと、つくづく感じてしまったという話でした。
●削減目標について
▶全国地球温暖化防止活動推進センター 使える素材集 3-06 各国の温室効果ガス削減目標
掲載しておいてなんですが、これ、分かりにくい!というより、これ見ても何も分からん…!!
基準年も違えば、CO2だったり温室効果ガス全体を対象にしていたり。
比較できないものがただ列記されていて一体なんなんだこれは…?と思いました。
まぁ各国がそれぞれ作った内容をそのまま書いているのでこうなるのは理解できますが、NDC作成の際に基準年揃えることくらいはルール化してほしかった…!!
ちなみに日本のNDCの基準年が2013年なのはその年が最も二酸化炭素排出量が多かったからのようです。ピークを基準年にすることで削減幅を大きく見せているんですね。
そして環境省の資料なんかは今回見てみたら結構いやらしくて、他国のNDCも比較用にかっこ書きで2013年比に換算していたりします。比較できるのはありがたいのですが、そうすると例えばイギリスなんかは2013年時点でピークよりすでに結構削減が進んでいるため相対的に目標数字が低く見えたりします。え、そんなアケスケに印象操作っぽいことしちゃうの!?とびっくりするともに、そもそもそんな小細工の余地を残しちゃっているやり方が問題だろう!と思わざるを得ませんでした。これなんとかならんのですかー!!
●NDC通りに進めても3度近く上がってしまう
▶日本経済新聞 2024年10月25日 温暖化対策、現状続けば気温3.1度上昇 国連
この記事では国連環境計画(UNEP)の報告書の内容について書かれています。該当の箇所は次の通り。「各国が定めている現在の個別の削減目標が達成されたとしても、気温上昇は2.6〜2.8度に達すると試算」
なお、記事中に「報告書によると、2023年の温室ガス排出量は前年比で1.3%増加し、二酸化炭素(CO2)換算で571億トンと過去最高を更新した。〜1.5度目標達成のためには、35年までに毎年7.5%ずつ減らさなければならない」との記述もありますが、コロナで世界中の経済活動や物流が滞った2020年に前年比5.4%減だったそうなので、7%の削減というのはものすごい急激な削減が必要ということです。
ロックダウン以上の削減を毎年追加継続する・・・正直言うとちょっとできる気がしない…と世界の片隅でひとり弱気になりました笑
コロナの際の排出量変化については以下のサイトに掲載がありました。
▶国土交通白書 第1節 脱炭素化を取り巻く動向
ちなみに、NDCと1.5度目標との乖離がどの程度あるのかということについては、国連環境計画が毎年「排出ギャップ報告書」というものをまとめており、常に現状整理がなされています。
2023年版の翻訳がありました。精読できていませんがグラフも豊富で、色々へーっ!てなりました。
▶IGES 排出ギャップ報告書2023(エグゼクティブ・サマリー):記録更新―平均気温は過去最高となったが、世界は(再び)排出量の削減に失敗(日本語翻訳版)
このギャップ報告書2023の内容の要約は以下のサイトにありました。ナナメ読みですが一応。
▶JAPAN BEYOND COAL 【レポート】GHG排出量が記録更新 – ギガトンギャップ埋まらず、強化必須
●NDCの引き上げ要請
NDCの見直しは5年毎に行われることになっており、5の付く年と0の付く年がそのタイミングです。今年は2025年なので改定年のようです。
では何を根拠にNDCの見直しをするかですが、パリ協定の目標達成に向けて世界全体の進捗状況を評価する「グローバル・ストックテイク」という根拠提供の仕組みがあるそうです。
「グローバル・ストックテイク」の第一回目が2023年にUAEのドバイで開催された「COP28」で実施されました。そこでの結果を今回引用しました。
グローバル・ストックテイクの仕組みや結果概要は下記サイトを参考。
▶資源エネルギー庁 気候変動対策、どこまで進んでる?初の評価を実施した「COP28」の結果は
このサイトでは記事後半、日本の成果をPRしていますが、一方でCOP28で日本は石炭火力のフェーズアウトへの消極姿勢も指摘されたりもしたようですね。何事も立場によってそれぞれの総括があります。
以下も参考に見ました。
▶WWF パリ協定第1回グローバルストックテイク:これまでの議論と日本への示唆
●余談:アメリカのパリ協定離脱について
トランプが勝って温暖化対策どうなるんだろう…?と思いましたが、以下の記事が面白かったです。アメリカは州の権限も大きく、またビジネス環境は脱炭素の影響を完全には避けられないので、アメリカ全体が一枚岩になって温暖化対策が一気に停止するというわけではなさそうです。つくづく、世界は複雑ですね。複雑すぎ!
▶2025年1月22日 ロイター 焦点:米のパリ協定再離脱、影響は前回2017年より甚大
▶WWFジャパン トランプ政権とともに世界の温暖化対策は後退するのか?
●まとめ
はい。今回は以上です!
キーワードが多くまとめるのに苦労しましたが、結果はシンプルに「1.5度目標達成は正直けっこう絶望的!」でした。ガーン!
けど、未来はもちろん、現時点ですでに人の命や、生態系の劣化に関わっている以上、あきらめるというわけにもいかず・・・どうする人類。ただ仮に1.5度が無理でも、地球に生息している以上、対策の継続以外の選択肢はないですもんね。ベストを尽くしましょう。としか。
そして、次男ぎんこまちゃん、4月からの保育園入園が決まりました!やったね!でも、ということは育休もあと二か月・・・。調べたいテーマがまだまだあるのにどこまでできるか。復帰後も続けられるかな。やってみながらだな。
さて次回は「では日本の対策はどうなっているのか」を調べてみたいと思っています。しかし各論に入っていくと色んな立場があるし、自分がどの立場で書くかによる影響も大きくなるし、まとめるの難しそうだなー。まぁとりあえずやってみよう。
ではまた次回!