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自分の脳の不器用さも、まあわかってあげてさ。

ごちゃっとしていて統一感のない、わたしの本棚。

「揃えること」を無視してガタガタと並ぶそのさまは、「散らかっていなければいいでしょう?」というわたしの性格をよく表している。

しかしそれ以上に「自分らしいな」と感じるのが、本のジャンルが雑多なところ。

エッセイ、心理学の本、小説、ビジネス本、詩集、ハウツー本。

書店であれば絶対に隣り合わないであろうカテゴリの本達が、お隣さんとして並んでいる。読んだ本を棚のあいている箇所にひょいと並べているので、ジャンルの雑多さは、そのままわたしの頭のなかが雑多であることにつながる。

そんなことだから、読書の話になったときに「どんな本をよく読むの?」と聞かれると、答えに困ってしまう。

ある時は、やわらかい文章のエッセイばかり読んでいる。またある時は、経済の仕組みに関するビジネス本を読んでいる。自分の興味の方向がそちらに向いているとき、他のジャンルはいっさい脳が受け付けなかったりもする。

こんなふうに、極端な没頭が交互にくるのはたぶん「自分のバランス」をとっているから。

自分のなかが仕組みや方法論などの「堅苦しいこと」で支配されるとき、やわらかい文章を摂取して中和したくなる。表現のほうに重きを置きすぎてうまくいかなくなっているときは、方法論やフレームワークが記されたお堅いビジネス本が読みたくなる。

ちなみに数日前までは "エッセイや詩集ばかり読む期" が到来していた。

最近はなんだか難しいことばかり考えすぎていた。「やったほうが良いこと」が自分のなかに雪崩れ込んできて、「いやいや!そうじゃないんだ!わたしはもっと表現のほうに振っていきたいんだ!」と、自分が反発していたのだと思う。

これはあまり人に話したことがないのだけれど、わたしはたぶん、どちらかと言えば「ビジネス出身」なのだろうと思う。

ものづくりをする人/クリエイターには出自が2つあって、ビジネス出身の人と、クリエイティブ出身の人がいるんじゃないかと思っていて。それで、わたしはどちらかというと、ビジネス出身。

ビジネス出身とは何かというと。
例えば経営や、マーケティング、ブランディングなどの思考が得意な人。そういう本を読むのが昔から好きだった人。仕組みづくりが好きな人。

わたしは大学の卒業論文が「PRやブランディングについて」だったので、まさにそうだ。マーケティングを勉強するのも好きだった。就職活動もそっちの方向を志望していたし(実際の配属は経理でずいぶんと落ち込んだけれど)、フリーランスになってからも、自分が仕事をしていくための仕組みづくりは割と得意だったと思う。ライターとして取材する相手も、経営層が多かった。ビジネス分野に明るいからこそ、できたことだったと思う。

一方で、クリエイティブ出身は、読んで字のごとく、表現がスタート地点の人。多くのクリエイターは、そうなんだろうなと思う。わたしのまわりに居る素敵な表現者たちの8割ぐらいは、そう。彼らはビジネスのことにはうとかったり、あとから勉強して知識を身につけたりしている人達。

それで、ある時からわたしは「もっと表現のほうへ行きたい」と思った。

いまからクリエイティブ出身になることはできない(出身地は変えられない!)。けれど、寄っていくことはできるはず、と。

そう思ってから1年半くらいの間、ビジネス本を読むのをやめた。その期間がおわったのは、つい最近のこと。

わたしはあまり要領がよくないので、ビジネスとクリエイティブの両方を頭に置いておくのが難しい。どちらかしか、考えられないみたい。そうすると、もともとビジネスが出自であるわたしの場合、足りてないのは「クリエイティブ」のほうだったし、実際わたしはもっと表現に力を入れていきたいと思ってた。

自分がつくりたいものを、表現したいことを、純粋な気持ちでコンテンツにしていきたい。生計を立てるためとか、当然そういうことも必要なのだけど、いまこの期間は思いっきり、表現のことだけ考えてみたい。

もともと思考がそちら寄りなこともあって、ビジネス本を少しでも読んだだけで、考え方がぐぐっとそちらに引っ張られてしまう。だから、しばらくの間、触れないようにしよう。そんな気持ちだった。

その結果、どうなったかというと。

たぶん経営判断としては、笑ってしまうほど、たくさん間違えたと思う(!)。

利益の出ない価格設定とか、ボランティアになってしまうようなやり方、あとから「これでは良くないね」と発見されたことがたくさんあった。プロダクトを作ってたくさん手に取ってもらっているのに、なぜか売れれば売れるほど赤字になっていく、みたいなことになっている部分もあって、それはもう本当に笑うしかなく、実際おもしろくなってしまってめっちゃ笑った。

でも、そのおかげでわたしは、思いっっっきり自分のつくりたいものをつくって、書きたいものを書いて、自分が欲しいと思えるブランドを立てられたと思う。

こんなに振り切らないとそれができない自分も、なかなか可笑しいのだけれど。それが自分なのだから、仕方がない。

それで最近、ようやく自分の脳がクリエイティブ寄りになったと感じられるようになったからか、ビジネス本に手が伸びた。それまではビジネス本コーナーに入るだけで息苦しさを感じたりしていたので「ああ、自分は変わったんだな」としみじみ思った。

ただ、ひとつ、あきらかに以前と違うところがあった。それは、流行を追いかけないこと。簡単に言えば、話題のビジネス本は手に取らないこと。むやみやたらに読んでいると、たぶんまた頭の固い自分に戻ってしまう気がするから。

だから、摂取するものを吟味する。

その基準として、わかりやすくキャッチーな新刊本ではなくて、どちらかというと読むのが面倒くさそうな、でも長く愛されていたり、信頼できる人が書いていたりする本を。

それもこれも全部、「自分がどうありたいのか」というイメージに、向かっていくため。

ビジネス出身だったわたしは、表現の方に向かいたかった。だから表現に集中して、思いっきりそちらに舵を切って進んできた。

そして、これから。
表現を中心に据えながらも、じぶんジカンを丁寧に育てていきたい。つまりいまは、ビジネスもクリエイティブも、バランスを取って進みたい。

それは「大きなブランドにしたい!」ということではなくて、自分と向き合う時間を大切にしたいと思っている人達に、もっと心地よい時間を届けられるように。自分を心地よく生きる人を、増やせるように。

また仕組みや方法論でガチガチに頭が固まってしまうかもしれないから、摂取のしすぎに気をつけながらも、「こうありたい」という自分のイメージに近づけるように、バランスを取っていきたいと思ってる。


おわり
***

[ おまけ ]
ちなみにいま読んでいて「手に取ってよかった!」と思っているのは『ビジョナリーカンパニーZERO』。これはビジネス本には珍しく、やわらかい頭のまま読める感じが、わたしはしてる。経営の内容が多いけれど、フリーランスとか、自分で何かを始めようとしている人にもおすすめできるかも。

運営しているブランド「じぶんジカン」では、自分と向きあう時間をつくるノートを販売しています。毎週月曜&金曜が発送日です。

エッセイ集も、ぜひ。


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じぶんジカン松岡
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