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「わがまま」だって、工夫すれば「生き方」に。

心がめちゃくちゃ疲弊し、ぐったりしていたここ最近。

静岡県・伊豆高原に工房を移転して、一ヶ月が経つ。

とても穏やかな場所で、鳥たちのさえずりに囲まれて過ごす日々は本当に気持ちがよく、新たにすてきな人生が始まったなと感じている。

それなのになぜ心がすり減っているのかというと、「安心して一人になれる時間」が圧倒的に不足していたからだ。

入居した店舗の設備の点検や、カフェ内装の打ち合わせなどで毎日誰かしらがやってくることと、補助金の申請や行政とのやりとりで一日何本も電話が入ること。事前に予定した時間に来てくれるのならば全然良いのだけれど、「今から行きます」と不意に来客があったり、いつかかってくるかわからない電話を待っていたりするものだから、常に気持ちが休まらない日々が続いていた。

わたしは文章を書いたり考え事をしたりする時に、どうしても細切れの時間では難しく、「安心して一人になれる時間」が必要で。誰にも話しかけられない、自分の世界に没頭して良い心理的安全。それが、まったく足りていなかった。

つまり自分のペースで日々を過ごせず、テンポが狂ってしまっていた。それでぐったり疲れていた。

「誰かのペースではなく、自分のペースで生きたい」というのは、会社員からフリーランスになった一番大きな理由だ。

あらためて書くようなことでもないが、わたしが持っている協調性には限りがあって、ほんの少しぐらいだったら人にも合わせられるけれど、基本的には誰かの歩幅に合わせるのが大変苦手である。自分で行き先を決め、ペースを調整し、黙々と進むのが好きだ。好きな運動は一人でジョギングすることで、チーム競技なんて人生でほとんどやってこなかったというのも頷ける人間に仕上がっていると思う。

今も昔も、突然自分の時間に侵入してくる「電話」が嫌で、お仕事は基本テキストのコミュニケーションで進めてきた。メールやチャットワークやslackがあれば仕事ができる世の中で、本当に良かった。

自分のペースで生きたい、なるべく電話は避けたい、急に話しかけられたりしない環境で仕事をしたい、自分の好きな時に、好きな場所で、自分でスケジュールをコントロールして、生きていたい。どれも言葉にすると "わがまま" のように聞こえるけれど、人生はおもしろいもので、意外とこのわがままを通しても生きていられたりする。

むしろちゃんと自分の気持ちを大事にすることで、自分のペースを守りながらも、誰かと一緒にできることが見つかったり、お互いの大事なことを尊重しながら手を取り合える人達と出会えたり。

わがままだって、やり方を工夫すれば、それは立派な生き方になるのではないかと思う。

工房移転から一ヶ月、ようやくここ数日で、来客や電話も落ち着いてきたところ。

先日はカフェで一時間半ぐらいノートを綴れたし、今日は誰と会う予定もなく、自宅で一人ひたすら文章を書ける。ただそれだけのことで、解放感と満足感が身体中に広がる。全細胞が喜んでいる感じがする。

さて、ここからもう一度、自分のペースで生きる日々を、築いていかなければ。わたしのわがままを生き方へと昇華して、自分が楽しく生きることで誰かもちょっと幸せにできるような、そんな日々を整えていけたら。


おわり


運営している「じぶんジカン」では、自分と向きあう時間をつくるノートをお届けしています。もっと心地よく自分を生きるための一歩目に、よかったらどうぞ。


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また2024年の4月頃に「エッセイ集#03」をお届けできるよう制作中です。お楽しみに。



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じぶんジカン松岡
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