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引っかかって、長く効く。

引っかかって、長く効くこと。

なんか花粉症薬の謳い文句みたいだけれどそうではなくて、わたしが何かをつくる上で目指している "理想のカタチ" だ。

誰かの頭や心に向けて何かを届けたいと思ったとき、それは言葉であれ物であれ、作用の方向性としてはふたつある。

ひとつは大きな衝撃とともに、瞬発的かつ劇的に効くこと。もうひとつは、小さな引っかかりで、地味に長く効くこと。

「瞬発的に劇的に効く」のほうが、華があると思う。人を惹きつける力も強い。本で言えば強い言葉で刺激する自己啓発本みたいな。

一方で「地味に長く効く」は、その地味さゆえに華はないし、人を惹きつける力も弱いのだけれど、心の奥底にちいさく長く残って、そこからじわじわと何かが変わるもの。本で言えば小説みたいな。

これはどちらが良いという話ではなくて、きっと日々にはどちらの刺激も必要。

だけれど今は「瞬発的に劇的に」に触れることのほうが多いような気もしていて、そこになんとなく違和感があるからなのか、わたしは「地味に長く」に憧れているのかもしれない。

すぐに "意味のあること" じゃなくても。わかりやすい効用がなくても。じっくり練ること。ゆっくり気づくこと。遠くの景色を見ること。ちいさく引っかかって、長くその人の中で生きるものを。

これはひょっとすると、わたしの中の反動なのかな。

2019年まで毎日のように書いていたブログでは、「わかりやすい結論」を書くようにしていた。どちらかと言えば「瞬発的に劇的に」を目指してた。それがブログのフォーマットだと思っていたからなのだけど、たしかにそうすると広がりは大きい。たくさん読んでもらえたりもする。

でもパッと咲いて、しゅわっと消えてしまう花火みたいなもので、それがなんだか寂しかった。

わかりやすいものは、その時々の人のエネルギー源になりやすい。栄養ドリンクみたいなものだ。背中を押してくれるので、時と場合によっては必要である。

けれどわたしは一瞬で飲み終える栄養ドリンクよりも、毎日ゆっくり飲んでもらえるような、じんわり身体を温めるような、あったかいお茶みたいな方がいいかもなあと、今は思う。

もちろん「瞬発的に劇的に効く」も「地味に長く効く」も簡単じゃない。ただ、どちらを目指すのかによってつくり方が全然違うから、意識をしておきたい。

わたしが運営している『じぶんジカン』は、「ちいさく引っかかって、地味に長く効く」を目指してる。

本当ならば何かに悩んでいる人には、わかりやすい答えやフォーマットがあった方が瞬発的に効いて喜びになりやすい。だけれど、じぶんジカンのプロダクトはまったくそうじゃない。答えがないし、「問いをお届けするので自分で考えてね」のスタイルだし、例えば「これをやれば月収10万円」みたいなわかりやすさはない。

なんというか、わたしがやりたいのは、「種を渡すこと」なのかなと思う。

どんな葉が出るか、花が咲くか、いつ芽が出るのかも、わかりません。

でもこの種は、だいじに育ててみてほしい。

その「だいじに育てる」ということ自体が、本当は楽しさなんだよって、伝えたいのかもしれない。


おわり


じぶんジカン」では、自分と向きあう時間をつくるノートをお届けしています。

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じぶんジカン松岡
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