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とらぶるめいかー

以前、こんな記事を書いた。

この「こわい同僚」以外にも、20年以上も国内、海外を出張で飛び回っていると、アレな人と同行する羽目になることが、結構な頻度で、有る。
意図的に要注意人物とカップリングされているという疑惑を持つほど、私の同行者は曲者が多かった。

キャッシュカード使いのSくん

日韓ワールドカップよりも前だから2000年頃だったか、6人程のチームで2週間の韓国出張にでかけた際、メンバーの一員だったSくんの話。

釜山・金海空港に降りて、タクシーで釜山駅に向かい、列車のチケットを買ってから「時間が有るのでちょっと買い物でもする?」ということになった。

「このカードどうやって使うんですかぁ?」

そこには、某地銀のキャッシュカードを持ち、うきうきのSくんがいた。
最近のデビットカード機能付きキャッシュカードなんてハイカラなものは、無かった頃の話だ。

出張前に、初海外だった彼に「クレジットカードは必ず作って持ってきてね」と説明をしたはずだったが、彼は地銀のキャッシュカードを持ってきた。出張の仮払金は問題のキャッシュカードに全て入っている。恐る恐る手持ちの現金はいくらあるのかを確認すると

「7,500円くらいです。」

現金7,500円で海外出張に来てしまったSくん。2週間の出張期間を7,500円では乗り切れない。

それでもSくんはあっけらかんと笑っていた。

結局、カードで支払うものはチームリーダーが建て替えて、現金はS君以外の同行者が手持ちを出し合ってSくんに貸し与えて乗り切ることになった。

翌週Sくんがポン引きに一本釣りされて、単身ラウンジに乗り込んで財布を空にして帰ってきた話は、また別の機会に。

1Lペットボトル2本の男

Sくんと同じチームで韓国に行ったときのMさんの話。

何かと心配性のMさん、Sくん事件の際はその心配性が幸いして、多額の現金を持っていたため大枚10万円を貸し与えて最大の債権者となった。

そのMさん、海外出張の際は80Lオーバーの大型スーツケース、パソコンバック、ボストンバックの3点セットが基本装備である。
スーツケースには工具類も入っているため優に30kgを超えている。
パソコンバックにはパソコンは当然として、その他に機械のデバッグをする際に使うケーブル類、変換プラグ等々、パソコン関連の諸々が入っている。
マウスやUSBケーブルは万が一壊れたときの為に2つ。
単3と単4の電池も10個ずつ。その他各種業務用ソフトの取扱説明書(紙のやつ)も一式持ってきている。このパソコンバックも10kg近くの重さになる。

ボストンバックには身の回り品いろいろ。

当時、釜山の駅には広く大きく長い階段があった。
空港からのタクシーを降りて、重い荷物を担いでこの階段を登らなくては切符も買えない。

「Mさん、手伝うよ」

巨大なスーツケースと、漬物石のように重いパソコンバックを持っていることは知っていたので、一番軽い荷物だけでも手伝おうかと、ボストンバックに手を伸ばして驚いた。

これも肩が抜けるほど重い。

何が入っているのか訪ねた処、1Lのミネラルウォーター2本、50mm単焦点を装着した一眼レフカメラ、18-180mmのズームレンズ、55-200mmのズームレンズ、フラッシュ、1年程前のJRの時刻表(大判)、その他身の回り品とのこと。

ミネラルウォーターは釜山の空港で買って持ってきたとのこと。
クソ重たい一眼のレンズは3本とも丸被りの焦点距離だ。このラインナップなら18-180mmズームだけで良かったのでは?
時刻表は、帰国した後、成田から東京事務所(五反田)に移動する必要があるため。成田から五反田なんて時刻表が必要なんだろうか?
どうしても必要なら、復路、成田に降りてから買えばよかったのでは?

いつもニコニコ現金払いのKさん

Kさんもかなりの頓珍漢である。
喫煙者のKさん、初海外、初台湾出張の程1週間前から

「成田の免税店でタバコ買うと安いらしいよ」

と、免税店での買い物を楽しみにしていた。

羽田発のリムジンバスが成田に到着したが、チェックインまでまだ時間があったので、一旦解散して2時間前にチェックインカウンター前に集合することになった。

いつものように文庫本3冊程を買い込み、本屋とカードラウンジで集合時間までの時間を潰した。

集合時間にチェックインカウンター前に行くと、レジ袋に入ったタバコのカートンをぶら下げたKさんが居た。わざわざ到着ロビーのコンビニまで降りて、カートンのタバコを買ってきたらしい。

「成田はあんまり安くないね。羽田で買えばよかった」

Kさんが免税店でタバコを買う事を覚えるまで、あと3回の海外出張が必要だった。

そんなこんなで台北・桃園空港に到着した。
台湾は空港で両替するのが一番確実。市中でもそれなりに両替出来る場所はあるが、銀行が手数料が安い。……気がする。

自分が台湾出張で両替する場合は、一日あたり2,000円見当といったところ。日式居酒屋やちょっと良いレストラン、ホテルの宿泊費はカードが使えるので、現金が必要なのは昼の社食と夕食くらい。10日の滞在なら30,000円も両替しておけばまず大丈夫。緊急時はちょっとレートは悪いがホテルでも両替出来る。

さて、問題のKさん。
両替所から財布に入り切らないほどの札束を鷲掴みにして歩いてくる。

「30万円両替してきた!」

成金か……?

その場で騒ぐと色々と面倒な事になりそうだったので、とりあえずはホテルに向かい、夕食の席で事情聴取をしたところ、

「ブラックリスト入りではないけど、カードの審査に通らない。
 思い当たる理由も無い。」

だそうで、滞在中の費用は全て現金払いの必要があるため、あの金額になっているそう。それにしても多いけど。

30過ぎて海外出張ありの職種でクレジットカード無しって、縛りプレイとしてもちょっとキツイ。今なら

「クレジットカード無しで海外旅行に行ってみた!」

的なタイトルでYoutuberあたりがトライしそうなネタではある。

その他にもKさんは、

「台湾で楽しみなのは韓流ドラマのテレビ」

等など、いちいち言動が頓珍漢で噛み合わない人であった。

Sくん、Mさん、Kさん。一緒に出張に出ると細かなトラブルが耐えない人々だった。ほかの話はまたいつか。

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