一過性脳虚血発作で入院したお話②
前回は、救急車で病院に到着して、あれこれと装着されたものの症状はほぼ消えたところまで。
緊急MRI
「あとどれくらいで終わるかなあ?」
などとぼんやり考えながら、表示されている血圧を見て驚きました。
「150-100mmHg」などという数字が表示されていて、血圧が高いとは思っていなかったので、本当に驚きました。
受入時のチェックが終わったところで、緊急MRIを受けることになりました。
このあたりで、ちょっとやばいのかな?と思い始めたのですが、MRI室に運ばれるストレッチャーからカミさんの顔が見えてちょっとホッとしたのを覚えています。
MRIは酷くうるさいとか、暗くて怖いとか色々聞いていましたが、ガンガンと響く音を子守唄にぐっすり眠ってしまい、終わって声をかけられるまで熟睡していました。
MRIが終わったあとも、そのまま救急センター一角のコーナーにストレッチャーを置かれ、「安静に」ということで寝ていました。
しばらく待ったところで、ストレッチャーから降りて廊下の長椅子に座っても良いと言われて、始めて家族と話したと思います。
救急車で付き添ってくれた父、家からカミさんに連絡をとった後に車で駆けつけた母、早番の途中で早退して飛んできたカミさんが心配そうに待っていてくれたので、心配掛けてごめんと伝えた後に、左半身麻痺の症状が無くなったこと、特に痛みやめまいも無いことを伝え、「念の為」に搬入時に刺された点滴針を取って、会計が終われば帰れるのかな?などと話をしている所に、空の車椅子を押してやってきた看護師さんがやってきて
「MRIの結果はまだ出ていませんが、入院になります。」
と言ったときは、「え?」という感じで状況がつかめませんでした。
今考えると何か深刻な疑いがなければ、沢山の予約を押しのけて緊急MRIは行わなかっただろうし、それほどの疑いがあるのであれば、無罪放免とは行かないよと思うのですが、当時は本当に寝耳に水といった感じでした。
病名確定
外来フロアから、人生初の車椅子で入院病棟に移動し、これから主治医となるI先生から説明を受けました。曰く
・MRIの画像では出血、血栓等は見られないこと
・半身麻痺の症状が出たということで、脳内の血管に血栓が詰まり、一時的に脳梗塞と同様の症状が出たと思われること
・病名は「一過性脳虚血発作」で48時間以内に脳梗塞となるケースが多いこと
・発作から4.5時間以内に「t-PA」という薬を点滴することで、劇的な効果が望めること
・今回は発作の時間が分かっていて、発作からまだ2時間以内なので、上記のt-PA静注療法が使えること
・症状とMRI画像から、大きな血栓が詰まったのではなく、細い血管が小さな血栓でつまった「ラクナ脳梗塞」を発症したのちに血栓が溶けたと思われること
などなど、詳しく説明があり、2~3週間の入院治療を受けることが決まりました。
この他、病名はTIAで確定ですが、血栓の発生源を調べるため、午後からCTと超音波が空いたタイミングで、胸部のCT検査と、頸動脈の超音波検査を行うことも決まりました。
胸部CTで心臓由来の血栓が詰まる「心原性脳塞栓症」の診断ができ、頸動脈の超音波検査では高脂血症等で動脈硬化した頸動脈の血栓が脳血管に詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」が診断できると説明されました。
発作から入院までのタイムスケジュール
ここまでのタイムスケジュールは、
7:00 起床
7:30 片麻痺発作
8:00 救急車要請
8:30 救急センター到着
9:00 緊急MRI
10:00 t-PA静注療法開始
10:00 入院手続き開始
といった感じで、病院以外で発症した脳梗塞の治療としては最短のタイムテーブルに乗っかっていると思います。
これより2時間ほど早く、眠っている間に発作が起きていれば、発作自体に気づかずに48時間以内に高確率でやってくる脳梗塞に見舞われていたかもしれませんし、通勤の運転中や、勤務時間中、特に出先での作業や出張時であれば、救急車の要請を躊躇って、発作をやり過ごして病院での診察を受けず、脳梗塞になっていたと思います。
主治医のI先生は、説明も丁寧で分かりやすく、高圧的なところもなく、看護師さんにも穏やかに指示を出していて、とても好感が持てるお医者さんで安心できました。
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