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大人の音読

寝たきりだと声が出なくなる‥‥と母が言うので、大人の一分音読の本を買ってみた。
見開き2ページに、名作と言われる作品の一説が載っていて、一分で音読できるようになっている。夏目漱石や太宰治など、教科書に登場する作家の作品が多い。
今日は母の調子がいまいちだったので、ためしに私が読んでみた。音読なんて、子供の頃以来だ。あまり得意でないので、少し気恥ずかしいかんじもしたが、声を出すとなぜか気持ちが落ち着いてすっきりした。
吾が輩は猫である、と、坊っちゃんを読んだ。
昔の日本人っておもしろい人が多かったのかな、と思うような内容だった。
母も、ひとつだけ読んでみる、といって、音読を始めた。元気なころより、しゃがれて弱々しい声だけど、本人が音読は得意というだけあって、聞いていて心地よかった。聞いていて泣きそうになったけど、明日から毎日のルーティーンにしようね、と言って、ぐっとこらえた。
そして今泣いている。やっぱり泣いてばかりだ。

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