真空管アンプ第2号
「はじめての真空管アンプ」という記事を投稿したのは、もう1年ほど前のことになります。何事も一度ハードルを越えてしまうと、今まで見えてこなかった世界が見えてくるものです。前回作成したのはトランスレス用の真空管50EH5を使ったもので感電や漏電の危険があるので、今回は真空管機器用のトランスを使って、また、出力トランスも一回り大きなものに変えて音質向上を図ってみました。
今回使ったのは、6X4という整流管と、6005Wという5極管です。6X4は秋葉原のラジオデパートで箱入りのものが手に入りました。6005WはNPO法人ラジオ少年で以前購入していたものです。回路的には特に凝ったことはしていません。NFBすらかけていないので真空管の裸の特性が出てきます。電源回路はコンデンサと抵抗によるリプルフィルタを左右のチャンネルごとに入れました。
シャーシの大きさの関係で、出力トランスはシャーシの内部にとりつけました。そのため、配線に使える空間がかなり狭くなってしまいました。あまり参考にはならないと思いますが、備忘録として写真を載せておきます。パイロットランプは回路図に書いてありません。これは6X4のヒーター回路から点灯させています。
配線が終わったら一息ついて誤配線がないことを確認し、まずはテスターで真空管ソケットの端子とシャーシ間の抵抗を測ります。回路図から予想される値から大幅にずれていたら配線間違いを確認する必要があります。幸い、今回はそのような個所は見つかりませんでした。つぎは真空管を差さずに電源を入れる、いわゆるスモークテストを行います。この回路では整流管を使っていますので、真空管を差さないと高圧が供給されません。そのため、ヒーター電圧、整流管のプレート電圧だけ確認します。ここまで問題がなければ、いよいよ真空管を差してのテストです。こんどは高圧が印加されますので、抵抗が燃えたりコンデンサが破裂したりする可能性も出てきます。スイッチを入れて、ヒーターが点灯して数分間は何事もおきないことを確認します。妙な匂いや煙がでてきたら即座に中止して配線を確認しなければなりません。今回は幸いにして問題ありませんでした。この状態で、高圧回路の電圧を測り、プレート電圧、スクリーングリッド電圧、そして抵抗の電圧降下からプレート電流を測ります。設計と大きく異なっていないことが確認できたら、スピーカーを接続し、次に入力端子に適当な音源から信号を入力します。音が出てきたら大成功です。
シャーシにはまだ文字を入れていませんので少々寂しい感じですが、気にせずに好きな音楽を聴いてみましょう。今でこそ真空管アンプというと特別な機械のように感じてしまいますが、なぜか秋葉原や通販では長期在庫品が流通していますし、部品も手に入ります。トランジスタの回路設計ができる人なら、この程度の回路は簡単に設計できるでしょう。一つ作ってみるだけで世界が変わるものです。 de JM8SMO