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メガバン体験記ープライベートバンキング編

今度は個人富裕層(当時は金融資産3億、不動産など含めて5億以上の顧客)を担当していた時期の話をしたいと思います。

銀行ではプライベートバンキングという業務があります。これは個人の富裕層の方々に対して、総合的に金融資産、不動産、その他相続や事業承継、税務対策など様々なお手伝いを総合的に行うというサービスをする業務のことです。

当時渉外課に配属されていたときに、個人富裕層を300名管理していた時代がありました。

顧客は主に中小企業の社長、役員、あるいは地元の土地もち(地主さん)、変わった方だと銀座のクラブのママをされていた方、一部芸能人(私の担当にはいませんでしたが)などの方々がいました。

また暗い話になってしまいますが(笑)、正直かなりの金融資産を持った方々とのお話は楽しかった部分もあったのですが、ほとんどが暗いものでした。何かというと、とにかく猜疑心が強い。お金を持っている方々というのは、とにかく人が寄ってきてはあれやこれやと提案されるそうで、その中には良い話も、とんでもない話も混在しているそうです。そして、大抵の方が一度は痛い目に遭っており、そういった状況から人に会う際に猜疑心を持たざるを得ないとおっしゃっていました。

ある地域で不動産・金融資産合わせて40億強ほどお持ちになっていたおばあちゃんがいましたが、旦那さんも亡くなられて1人暮らし、親族とも仲が良くなく、しかも、豪邸にお住まいかと思いきや普通の何十年か経った1軒家に1人でお住まいでした。とにかくお金を持ってることの不自由さや怖さなどを語っておられたのが印象的でした。

また、一番嫌だったのが相続です。相続の際に、かなりの資産をお持ちの方は、銀行員もお通夜から参列し、その後の遺産相続に立ち合います。

大抵の場合、銀行員、弁護士、交渉人役場の方、司法書士(土地関連)がずらりと並び、人が亡くなったばかりなのに、親族集めて物々しい雰囲気で会合が始まるというのが常でした。

これが嫌で嫌で、当時本当にいきたくないなあと思っていました。

銀行員のリテール業務というのは不思議な業務で、銀行員でいる限り信頼を置いていただけるパターンがほとんどで、結局家に伺い、毎回何時間もお話ししていく中でその方の悩みや家庭事情などなどほぼほぼ知ることになります。
もちろん守秘義務によりどこに話すということはないのですが(個人が特定されるレベルで)、それにしてもその際に思ったのは幸せは必ずしもお金と結びついてはいないということでした。

よく言われることではありますが、お金を稼いでいらっしゃる方はとにかく戦っている人が多く、多大なエネルギーを使うからかプライベートは静かで、苦しい胸の内を語られることが多かったです。

金銭を渡してくる方もいて、もちろん一切受け取ってはいけないので固辞していましたが、食事は大丈夫ということで色々と普通ではいけないお店なども連れて行っていただきました。
ある都市で、入り口がどこかもわからないお寿司やさんに連れて行っていただき、最後のお会計で離れてはいたのですが金額を聞いてしまい驚愕したこともありました。

プライベートバンキングはアパートローンが楽しかったですかね。
これは何かというと、有休不動産をそのままにしておくよりも賃貸物件にしたり、駐車場にしたほうが税務上軽減されるので、そのお手伝いをする業務でした。

これは顧客のためにも良かったですし、他の業態(デベロッパー、住宅関連の会社)とも協働で良い条件探しを行って提案するというのは楽しい作業でした。

また、物件が出来上がっていく過程を現地確認したり、引き渡しにも立ち合ったりとなんとなく一緒にやっている感があって面白かったですね。

プライベートバンキング編は以上でしょうか。

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