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教員研修を創る!(3)-箕高でカリマネをまわす-

箕高でカリマネをまわす

こんにちは!
毎週ご高覧いただきありがとうございます!

今週からは、箕高で、先生方との協働で創った教員研修を数回に分けて紹介します

校長が、教員研修を先生方と協働で創るというイメージがなかなか掴めないかも知れません
校長に必要な資質・能力、マネジメント力は、「卓越性」と「同僚性」だという強い信念で、校長職の六年間を過ごしてきました

先生方が教材研究・部活動指導、教頭先生が服務管理・文書作成・調整に費やす膨大な時間、校長はその時間を「卓越性」を磨き拡め深める時間として活用できます

文科や教育委員会からの行政説明・行政文書の理解、専門書・研究論文、国研の指導資料・事例集・学習評価に関する参考資料等々、を精読して知見を拡め深める。時間がいくらあっても足りません

こうして知見を深めているからこそ、先生方の評価育成に係る授業見学のフィードバックとして、「先生の授業は、三宅先生の協調学習でめざされている実践に近いよ」「先生の授業構成なら、OPPA(一枚ポートフォリオ)で整理すれば生徒たちの主体性評価の参考になるよ」「先生の授業は、石井先生が仰る『メインターゲット(授業の中核目標)を絞り込んだうえで、に子どもたちに生じさせたい変化(行動・ことば・作品など)を想像して、具体的な子どもの姿で目標を明確化』できているよ」等々、磨いた「卓越性」を先生方の授業改善に貢献できるのです

さらに、磨いた「卓越性」を駆使して、個々の先生方が積み上げ練り上げてきた学校文化に、学術的な評価と方向性を指し示すのが校長の役割です
加えて、いかに先生方の想い・考えを聴き、先生方の納得解を得て、マネジメントの共有を図り、実践を進めていくのかが、校長の「同僚性」発揮しどころです

箕高は、創立61年の、グローバル科・普通科併設校として、生徒・教職員がともにChallenge し、校訓である「自主自律」「和親協力」のマインドを持って国際社会で活躍できる生徒を育成してきました

「海外大学に一番近い府立高校」として多くの海外大学進学者を輩出し、北米大学進学に必要なSAT(Scholastic Assessment Test)、共通エッセイ・サプリメントエッセイを指導できる教員も擁しています
北米・オーストラリア・ヨーロッパ・東南アジア・中東の海外大学に進学した卒業生たちが、毎年夏・冬の二回、「海外大学交流会」を対面&オンラインで実施してくれていて、箕高生のみならず、大阪府立学校の生徒・保護者・教員にも開催を周知し、毎回、箕高生以外の参加者もいらっしゃいます

私が16代目 校長として箕高に着任した2020(R2)年には、「海外大学に一番近い府立高校」としてのミッションは十二分に役割を果たしており、私の箕高でのミッションはカリマネをまわすことだ、と理解していました

箕高は、2014(H26)年より「海外大学進学」のOne issue(近隣のGLHS(グローバルリーダーズハイスクール)高の教頭として少なくとも私はそう見ていました)を掲げ、選択と集中で、「TOEFL iBT特設レッスン」を開設等、そこで鍛えられ、それに応えた生徒たちは、平成29年度、8名でのべ36校の海外大学に合格しました
ひとりで、ウェズリアン大学、ミネルバ大学、オーストラリアG8のメルボルン大学・シドニー大学・クィーンズランド大学を始め計10校の海外大学、阪大・上智大・同志社大に合格した生徒も!
これらの実績・成果を受けて、2016(H28)には、国際教養科がグローバル科に改編されました(大阪府立高校で、グローバル科を併設するのは、箕高と和泉高校の二校です)

当時の校長のミッションは大阪府の支援を得た「海外大学進学」に特化した学校づくり、でしたが、現場の先生方は、選択と集中ではなく、より多くの生徒たちに一連の組みの成果還元に努めていきます

「特設レッスン」では、数多くの独自教材を作成し、論理的思考力、デザイン思考の育成方法も研究・開発・実践してきました。これらを先ず英語科の授業に取り入れられます

TOEFL型授業、クリティカルシンキング、デザインシンキングなど論理的思考力の育成、マインドマップやTチャート等の合意形成、意思決定のためのノートテイキング法の習得、ワークショップスタイルの授業を展開していきました
 
グローバル科・専門教科「英語」の学校設定科目として、全学年に「骨太英語」2単位、2年,3年生に「創造英語」2単位を設定しました
 
「骨太英語」は「特設レッスン」の内容をブラッシュアップし、発音、対話、スピーチ、作文、ディスカッション、エッセイ、プレゼンテーション、マインドセットの醸成、クリティカルシンキング、ロジカルシンキング、ノートテイキング等の力の育成を重視しています
 
「創造英語」はPBLを基本とし、新しい価値観の創造、教科横断、4技能を統合した創造的思考力、プレゼンテーション等の力の育成を重視しています
 
さらに、グローバル科の「骨太英語」「創造英語」で育成をめざすマインドや思考スキルは、普通科の授業においても、拡充していきます

ファシリテーターとして「特設レッスン」の運営に携わった英語科以外の教科の先生方を中心に、PBL型・デザイン思考型の授業づくりがChallengeされるようになりました

が、グローバル科改編時に、グローバル科ではどのような生徒を育てるのか、国際教養科の財産をどう継承していくのか、という学校経営における最も本質的な議論がなされていなかったようです。また、教職員全体での共有もなされていませんでした。地元中学校にも丁寧な説明がなされていなかったと感じています
北摂地域の伝統ある進学校としての箕高は、地域に必ずしも根ざすわけでもなく、「海外大学進学」に特化した学校になっていったのです
 
私は、校長として「海外大学に一番近い府立高校」である箕高は、大阪府立高校全体の海外大学進学を考えている生徒・保護者・進路指導、担任の先生方にとって大きな役割と責務を担っていることから、今後も継承すべき大きな財産だと考えています
 
ただ、箕高が今まで大切にしてきたこと、継承していくべき財産、地元中学校や箕面市との連携等々、海外大学進学以外にもっともっと全教職員で学校を挙げて取組むべきことがあるだろう、と考えました
 
箕高に着任した令和2年度の1学期、令和3年度の国際関係学科改編(LETS10校として、グローバル科2校の改編、国際教養科の国際文化科への改編)にともなう新しいグローバル科のミッションは何か、国際教養科から引き継ぐべき財産は何か、箕高はどのような生徒を育ててきたのか、について、教職員の意識・意欲を丁寧に探っていきました。
 
東百舌鳥高校時代から支援していただいている 関西学院大学 時任 隼平 教授(当時、准教授)に、指導・助言をいただき、令和 2 年 12 月 23 日 教員研修「箕面高校で学ぶ生徒たちはどのような力を習得するのか〜”グローバル”に着目して〜」を開催しました

2学期当初より、新しいグローバル科のミッションは何か、国際教養科から引き継ぐべき財産は何か、箕高はどのような生徒を育ててきたのか、について、12月23日に教員研修を実施し、教職員皆の思い・考えを整理し、共有し、協働で実践を進めていきたい、旨のことを、職員会議で訴えていきました
学識経験者の指導・助言が必要なので、関学の時任先生をお招きしたい、ということも併せてお話しし、大変失礼ながら、時任先生の研究者・教育実践者としての資質・能力、お人柄についても紹介していきました

そして、時任 隼平 先生によるファシリテートで、国際教養科時代、グ ローバル科改編以降、箕高はどんな生徒を育ててきたか、特に印象に残る生徒像を取り上げ全体で 共有し、
1.教師として、箕面高校を卒業するまでに生徒にどのような力を習得して欲しいのかを再確認・ 言語化する
2.箕面高校教職員は、箕面高校を卒業するまでに生徒にどのような力を習得して欲しいのかを再 確認・言語化する
という教員研修を実施しました

令和 2 年 12 月 23 日 教員研修

次回は、研修についての具体的内容、ねらい等について紹介していきます

何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします

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