
靴ひもが結べない、と泣く気持ち
こんにちは、しえるです。
バタバタしていた最近、途切れ途切れに観ていた韓国ドラマ「海街チャチャチャ」をやっと見終わりました。
一言でいうと、[都会から来た歯科医のヘジンが、小さな港町のコンジンにやってきて、小さくて濃すぎる村の人間関係の中で、泣いたり笑ったりしながら村に溶け込んで、村人全員の息子同然のドゥシクと恋に落ち、幸せになる]そんな物語。温かくて、のほほ~んとしている。
ヘジンとドゥシクの見ていて恥ずかしくなるほどの初々しい恋愛や、村のおばあちゃんの沁みる温かさ。バタバタと疲れている私には、ほっと一息つけるような、気楽に見られる作品であった。
そんな物語のなか、唯一、共感しすぎて涙が止まらなかったシーンがある。村の小さなスーパーを経営するユンギョンは第二子妊娠中。大きなお腹を抱えながら、仕事に子育てにと奮闘しているが、夫のグムチョルはいまいちその大変さがわかっていない。悪い人ではないのだけれど、言葉の端々、行動の端々に、思いやりがないのだ。その度にユンギョンは呆れたり、怒ったり、夫婦のバトルが繰り広げられていた。
ある日、妻ユンギョンは夫グムチョルに頼んだ。
(妻)靴ひもを結んでくれない?
いつ生まれてもおかしくないくらい大きくなったお腹では、足元も良く見えないし、そもそもお腹がつかえて靴ひもが結べない。
(夫)子どもか?その年になって靴ひもを結べだなんて
あーあ…。
(夫)泣いてるのか?泣くことかよ。今すぐ結んでやる
(妻)もういい
(夫)すねたのか?全部ホルモンのせいだよ、産めば楽になるはずだ
堰を切ったように涙が溢れるユンギョン。もちろん靴ひもが結べなくて泣いているわけじゃない。いままでの色んなことが積もり積もって、言葉より先に涙が溢れるのだ。その気持ちが手に取るようにわかって、こちらも涙が止まらなかった。そもそも身体が自由でなくて、いろんなこと我慢していて、それなのに労うどころか理解もしてもらえず、できないからお願いしているのにバカにされる。靴ひもさえ結べない自分にも嫌気がさし、そんなことで泣いている自分にも腹が立つ。
(妻)何?楽になる?ふざけないで
(夫)え?何か間違ったことを言った?
(妻)勘違いしないで、出産は命懸けの仕事よ。産後の体は全身ボロボロの状態なの
(夫)俺は…(そんなつもりで言ったわけじゃない)
(妻)その体で数時間おきに授乳するつらさを?授乳して寝かしつけてオムツを替えて…産めば楽になるですって?
これも本当にそうだ。
産んだら終わりじゃない。産んでも楽になんかならない。お腹がへこんだからって元通りじゃないのだ。(そもそも、お腹だってへっこまない!)
でも、悪気ないんだよな…。
(中略)
(夫)分かったよ、俺が悪かった
(妻)またうわべだけ?怖くて寂しいのは私で、あなたは見ているだけでしょ、私のつらさは分からない。手足はパンパンにむくんで腰も痛いし、お腹が邪魔してかがめもしない。一人で靴ひもも結べない、この気持ちが分かる?
悔しくて情けなくてしんどくて、わかってほしい人にわかってもらえなくて、どうしようもなく泣けてしまう気持ち…わかるな…。
でも夫グムチョルは全然わからないよね…。当事者じゃないとどうしたってわからないってことは、たくさんある。私にだってある。だからやっぱり、想像すること、想像しようとすることは大切だなと思わされる。
(すったもんだの末、子どもは無事に生まれ、夫も改心いたしました)
さて、今週もポッドキャストを最新話公開しています♪
ドラマの中に登場したチPDは主人公ヘジンの大学時代の先輩で、これまた良い人。ずっとヘジンが好きだったけど、タイミングが悪くて2回も恋に破れてしまった。そんな、恋における「タイミング」について話しています。
それではまた来週♪