ラグビートップリーグ全試合中止発表、その理由と順位はどうなるの?
日本ラグビー協会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて4月以降に予定されていたトップリーグの今シーズンの残りの全試合を中止すると発表しました。
2019年のラグビーワールドカップ日本大会の盛り上がりから、約5カ月。ONE TEAMのラグビー界の試練だ。
全試合中止の理由
ジャパンラグビー トップリーグは、新型コロナウイルス感染拡大防止に鑑み、全試合を中止する理由を以下のように説明しました。
▽選手や関係者の健康と安全を確保すること。
▽感染の世界的な拡大でニュージーランドやオーストラリアなどの選手に対して帰国が呼びかけられていること。
▽すべてのチームが企業スポーツとして活動していて選手やスタッフが感染した場合に企業に与える影響が大きいこと。
トップリーグは、ことし1月12日に開幕し、全15節のうち第6節まで消化していた。各会場各試合ともにラグビーを楽しむファンが押し寄せ、社会現象になっていた。
4年前のラグビーワールドカップ大会では、その盛り上がりをトップリーグにつなげることができず、ラグビーの炎を大きくするどころか、消火してしまった苦い経験がある。
その経験と反省を踏まえてか、今季のトップリーグは、開催をずらし、全チーム総当たり、かつ地元にチームがない地方でも試合を開催するなど、より身近で日本最高峰のラグビーに触れることができる機会をつくってくれていた。日本ラグビー界が本当にONE TEAM、スクラムを組んで盛り上げていた。
新型コロナウイルスは、世界的な拡大を見せ、世界規模での対策が取られている最中なので、今回の判断は致し方ないと思いたい気持ちはあるが、プロ野球やJリーグなどは開催を模索しているにもかかわらず、なぜラグビートップリーグは、全試合中止を決めたのだろうか。
ラグビーは企業スポーツ?
スポーツ文化・育成&総合スポーツニュースサイト「THE ANSWER」によると、
一部のリーグ参画企業から、自分たちの業種を考えるとラグビーの試合で社員に感染者を出した場合に大きなイメージダウン、社会的に叱責を受ける恐れがあるという意見がでたことも、中止の判断を後押ししたようだ。もちろん、多くの外国出身選手が政府からの要請もあり帰国していることも近日中の再開を難しくしている。もし4月一杯を休止にすれば、5月に残された試合は代替開催日を含めてわずか2節。再開してもリーグ戦として成立させるのは難しいという判断もあった。
引用:https://the-ans.jp/rugby-top-league/108940/
そして、もっとも大きくて特別な理由として、ラグビートップリーグは、プロ選手を抱えているとはいえ、いまだに企業スポーツという形態で運営されていることを挙げている。
トップリーグの場合、選手の給与を含めたチームの運営費は、試合の入場料や広告、放映権収入ではなく、会社の広告費や福利厚生費などから捻出される。そのため、プロ野球やJリーグなどのプロスポーツに比べると公式戦開催が死活問題にはならないという。
ラグビーを盛り上げるためプロリーグ構想が盛り上がっているが、足踏み状態に陥っているおかげで資金面の被害を少なくし、早急に全試合中止を決断できたようだ。
トップリーグ、すべての試合が無効に
1月に開幕し、第6節まで消化していた今季リーグの成績はどうなるのだろう。結論から言うと、リーグ不成立となり、順位は確定しない。
これに伴い、5月23日(土)から開催を予定していた「第57回日本ラグビーフットボール選手権大会」に出場する4チームは別の方法にて決定することを検討しているという。
一方、リーグ開催中に発覚したリーグ所属選手の薬物使用による中止とその後の対応については、ラグビー協会側から具体的な説明はなされていない。これについては、選手会からも批判を受け、声明文を出しているだけに、ウイルス感染問題とは別の方針を示す必要があると感じる。
●ジャパンラグビートップリーグ2020開催休止の決定についての声明文
https://www.japan-rugby-players.com/topics_detail21/
ラグビーの盛り上がりの炎は消してはいけない。そのため、選手たちは日々、SNSを更新して、ファンとの接点を消さないように奮闘している。
夏にはイングランドなど世界のティア1と呼ばれるチームとの対戦も予定されている。選手たちの活動を後押しするためにも、ラグビー協会やトップリーグもしっかりと選手をバックアップして欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?