【勉強会レポート】“パンデミック後に留学する意義”
JHIHでは、ヘルスケア・ライフサイエンス領域のスペシャリストをお招きし、毎月オンライン勉強会を開催しています。
2023年6月は、University of California, San Francisco Assistant Professorの森岡 和仁 先生( @KazuhitoMorioka )をお迎えし、「パンデミック後に留学する意義」をテーマにお話しいただきました。
スピーカー
モデレーター
▷基礎研究、トランスレーショナルリサーチを経てファカルティに
基礎研究を臨床研究に繋げ、臨床応用することをモットーとしている
整形外科領域のコミュニティにも積極的に関与し、2年間の留学はとても充実していた
▷医学分野に特化した大学院大学 - UCSF
西海岸を代表する病院の一つでもある。UCLA 10個のキャンパスのうち6つに医学部がありそれがUCSFと呼ばれている
学生数5,000人、ノーベル賞が5人
大学としての売上の2-3割が企業や政府機関からの研究費というところが特徴的
医学に特化した大学院大学であり、企業とアカデミアが非常に近い関係にある
他の医学部と比較して学費は安く、レベルは高い
NIHグラントの獲得額では米国で2位
医学に特化していることを考えると1人の研究者が集めている額が大きい
チームで年間300本の論文をpublishしている
▷ 異文化適応曲線の変遷
縦軸は精神的満足度で、高いほど幸福。横軸はタイムスケールで0-4年くらい
最初はハネムーン期、次にカルチャーショックを受け、次にメンタルアイソレーション、孤独を感じ、最後にインテグレーションしていく。見ていて多くのケースはこの通り
予想外のことが発生し、当初無給医としてJ1ビザで留学。途中でオーストリアの研究費を自力で獲得し、ポスドクに。そこから研究費だったり各所支援があって長く滞在することになりH1Bビザに変わり、その後O-1Aというメジャーリーガーがよくとっているビザを取得。ファカルティの公募に通ったため、大学からの支援もあり一番早いプロセスでグリーンカードを得た
環境のサポートとオープンなマインドでサバイブし、現在に至る
▷ 新しい研究留学のかたち
ファカルティになり、分担者としてR01(Independent Research Project Grants)という研究費にも申請しにいくことを試みている
UCSFをハブとして留学も可能なかたちとした国際共同研究を基盤展開している
いくつかの日本の大学や企業と連携しており、日本とアメリカの国際共同研究を拡大していく予定。新しい研究留学のかたちを作っている
▷ 日本人コミュニティの活動
現地で日本人コミュニティを運営。有志で集まって立ち上げ、世代交代もしてきている
日本人互助の会としてネットワークをつくる機能を持っており、これから留学する人の助けになるものになっている
ベイエリアの日本人整形外科の会を立ち上げて30以上の医療機関、100名以上の整形外科医を集めてオンラインで勉強会を開催したりしている
UJAという日本人研究者ネットワークも構築し、留学中の方をサポートしている
10周年6,000人の留学生の所属実績があり、50以上のコミュニティと連携
留学時だけではなく、留学の全てのフェーズでサポート。留学の体験談がコメントとともについていておすすめ
▷ 米国と日本の研究環境の違い
米国は研究費が圧倒的に多い。中でもNIH(National Institutes of Health)がトップ
退役軍人の研究費も大きい
研究費を申請し、お金がとれたら論文を提出する。研究もビジネスで、医療もビジネス。研究費を取るのが研究者としての至上命題
日本の研究室は教授を筆頭としてピラミッド構造でトップダウン。アメリカの研究室は教授が研究スタッフとダイレクトにつながっている
臨床研究でも役割分担が高度に進んでいる。チームサイエンスが実践されていて、できること・できないことが明確化していて、補い合っている
ラボ同士のコラボも進んでいる
研究費が獲得できれば残ることができるが、獲得できないとポストを維持できない
長期留学、例えば3年以上残る場合はサバイバルする術を身につけていく必要がある
ポスドクがファカルティという職につける割合が10%未満。残ることがなかなか困難で、企業に就職するケースが非常に多い
一旦企業に就職してもまた大学に戻るということもある
まとめ
研究もビジネス
研究者としてサバイブするには研究費獲得が欠かせない
米国は積極的に研究者間やラボ間でコラボが進む環境
最初4年は精神的に変動あり辛いときもあるが徐々に安定
アカデミアに留まらず企業やコミュニティとの連携も大事に留学する研究者のコミュニティに積極的に参加して欲しい
参加者の声
参加者の方々からいただいた声を一部ご紹介します。
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