いまさら聞けない「#通信制高校」のこと ~通信制高校を「卒業」するには?~
みなさん、こんにちは。
前回に引き続き「いまさら聞けない#通信制高校のこと」シリーズ第2段をお送りしたいと思います。
前回は、私が通信制高校の担当となり、「通信制高校って...なにが?どう違うの?」ということから、通信制高校が一般でいう「全日制高校」との違った仕組みについて書かせていただきました。
では今回は、実際に通信制高校を卒業するためには、どのような条件があるのか?について、書いていきたいと思います。
通信制高校で卒業資格を取得するためには、「3つの条件」があります。
その3つとは?
1)高校の在籍期間が3年以上あること
2)また在籍3年間以上で74単位以上の履修単位を取得していること
3)特別活動の時間が30時間以上あること
この3つが条件になります。
「えっ?通信制高校だから、何かもっと違った条件があるのかと思った!」とおっしゃる方も居られると思いますが、いま紹介した「3つの条件」をクリアーすることで、高校の卒業資格を取得することができるのです。
では、どうやって上の3つの条件を満たしていくのでしょうか?
次からは、その疑問にお答えしたいと思います。
【条件1】在籍期間3年以上
通信制高校も全日制高校もこの3年以上の修業年数については、高校卒業資格を得るために3年間勉強しなくてはいけないというのは、全日制高校と通信制高校のどちらも変わりません。
通信制高校の場合、毎日、決まった時間に登校するといった通学日数に関係なく「自分のペースで学習ができる」という点において、全日制高校とは違います。
しかし、3年以上在籍することが、卒業要件であるため「1年間で多めに単位を修得して、3年未満の短期間で通信制高校を卒業する」ということはできないわけです。
では、中学卒業から通信制高校へ入学した場合は、そのまま3年間在籍すれば問題ありませんが、一旦、違う全日制や通信制高校へ入学し、途中で転入学や編入学をした場合、いったいどうなるのでしょうか?
前籍校の在学期間を引き継ぎできる!
前籍校から転・編入学した場合は、転・編入先の学校の在籍期間に前籍校で過ごした期間を引き継ぎすることができます。
例えば、仮に前籍校に3月まで1年間在籍していた場合...
⇒ 2年目から転入した場合は、転入先の学校で、残りの2年間を在籍す れば在籍期間が3年となり、卒業資格取得の対象となります!
ですので「学校を変わりたいなぁ...」と考えた場合は、学校を辞めずに在籍したまま次の学校を探すことが大切なのです。
⇒ 学校を辞めてしまうと、在籍期間がその時点で止まってしまいますの ので、卒業時期がズレてしまいます。 ※今度、詳しく...
【条件2】履修単位74単位以上取得
前回の記事で、「全日制高校」との大きな違いとして、「時間制」と「単位制」という点があることを書きました。
全日制高校では「学年制」が導入されており、1年ごとに取得する単位が決められています。また出席日数が足りなかったり、成績が一定の基準を満たしていなかったりして、単位をひとつでも落とすと留年が決定してしまいます。つまり、同じ学年をもう一度やり直さなければならないのです。
「単位制」こそが大きなポイント!
しかし、通信制高校では「単位制」という仕組みが取られているため、卒業要件である74単位以上の単位を修得すれば卒業資格が得られます。
また通信制高校の単位修得には、履修している「科目のレポート課題提出する」「面接指導を(集中スクーリングなどで)受ける」「単位認定試験を受けて合格する」ことで単位数を履修することができます。
ですので、最終的に「卒業までに必要な単位数を修得できれば良い」ため、学年制でいう留年という概念が存在しないのです。
【条件3】特別活動の時間が30時間以上あること
最後の1つの条件は「特別活動」です。
特別活動と聞いて「やっぱり通信制高校だけそんな条件があるんだ!」と思われたかもしれませんが、実は...ホームルームや遠足、体育祭や文化祭といった学校行事のことです。
この活動は、毎年1年ごとに30時間取得するのではなく、3年間のうち30時間以上参加すると単位が認められます。
またこの活動時間は、転入・編入学の場合において、前籍校での活動時間が引き継がれるので、転・編入の場合は、少なくて済む場合もあります。
この特別活動は、ほとんどの場合で集中スクーリングの期間中に実施することが多く、その地域の体験学習などを行うことで、単位を取得することが多いようです。
最後に...
今回は、高校卒業資格を取得するための3つの条件について綴りました。
仮に在籍最短の3年で卒業ができなくても3つの条件をクリアーすることで、卒業資格が取得できるというメリットを活かすことで...
例えば...働きながら通信制高校に通ったり
育児や家事をしながら学校に通う など
本校にも実際に「社会人で仕事と両立しながら、卒業資格を目指している人」もいます。
通信制高校で20歳から60歳以上の年齢で在籍している生徒の割合は、公立通信制高校で27,475人(59,718人中45.8%)、私立通信制高校で5,994人(122,797人中5.56%)となっている。
公立と私立で人数や年齢構成に違いがあるが、どちらも30代未満が多く、少数にはなるが40代、50代、60代といった年代の方も学ばれている。
(引用:平成29年度 文部科学省「学校基本調査」データより)
またどの年代においても高校卒業資格を取得する意味は大きく、高校卒業資格取得後の生活も大きく変わります。
例えば...中卒では取れなかった資格取得にチャレンジできたり
諦めていた進学を改めて考えたり
仕事面で今までと給与など処遇が変わったり
「自由な時間を多く持てる通信制高校」だからこその悩みもある。
通信制高校は、全日制高校と違い自宅学習が基本で、学校に行くことが少ないため、自由に使える時間多く「実現できる学習スタイル」と言えます。
しかし、その反面で自己を管理することが必要となり、途中で挫折してしまう人も少なからずいます。
しかし、そうならないように、本校の場合もそうですが、学校によっては、生徒のみなさんが、計画的に単位を修得できるように、科目レポート課題や単位認定試験などのサポートを行なっているところもありますから、ぜひこの機会に高校卒業資格を目指してみてはいかがでしょうか?
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは次回は、「通信制高校の学習スタイル」について綴っていきたいと思います。