『福音を宣べ伝える』
いわきホームチャペル牧師 黒田望師
全世界に出て行き、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい。
マルコの福音書 16章15節
今年で「いわきゴスペルフェスティバル」は10回目を迎えることができました。東日本大震災の翌年2012年に、被災された方々を励まそうとJGCFが開催してくださったゴスペルフェスティバルです。当時、私は震災で先行きの不安と何も出来ない無力さでいっぱいでした。周囲では盛んにボランティア活動がなされる中、私は、がれき撤去すらできず、自分の教会のことで精一杯でした。たくさんの方が支援を必要としていました。それなのに誰のためにもなれていない自分を責めていました。誰かのためになりたい気持ちがありながらも、何から始めたらよいのか分からなかったのです。
しばらくすると、がれき撤去に代わり、心の復興支援が求められるようになりました。そしてJGCFによってゴスペルが、いわきに届けられたのです。神様は、人の心に使命を与え御心を示されます。そして、それに応答する人を集められました。こうして神様の素晴らしい救いのみわざが、首都圏から地方に届けられました。たくさんの方がいわきに来て励まして下さいました。それはまさに「全世界に出て行き」福音(ゴスペル)を伝える姿でした。
実は、今でも津波に流された家族の帰りを待つ人々の悲しい現実に涙を流すことがあります。でもいまは誰かのために、何から始めたら良いのかJGCFはお手本となりました。寄り添うことの大切さ、喜ぶ者とともに喜び、泣く者とともに泣く、慰めと励ましをいわきは受けました。聖書に書いてある神の愛の素晴らしさを改めて教えられました。震災で何を信じたら良いのか分からない人々の心に、神の救いと賛美の力をゴスペルが教えてくれたのです。そうして多くの人がゴスペルフェスティバルで神の愛にふれて、試練を乗り越える力が与えられる体験をしました。結果、たくさんの救いに立ち会うことができました。
いわきで3年連続でJGCFにより、ゴスフェスを開催していただいた私たちは、その後バトンを渡され、今度は自分たちで、ゴスペル(福音)を広げていくことになりました。その都度、神様が備えて下さった方々(クワイア)がいわきに遣わされました。ほとんどの方がボランティアでした。神様が備えて下さって呼び寄せて下さった人たちは、私たちの教会だけでなく、被災した地域のキリスト教会にとっても大きな励ましとなりました。
10回目を迎えることができた「いわきゴスフェス」は、JGCFが蒔いてくれた喜びのたねです。その成果は大きいです。JGCFの皆さんの賛美の力が、多くの人の明日を生きる力になっていることを主に感謝します。