「思いがけない恵み」
亀有教会副牧師 毛利佐保師
ラインホルト・二ーバー(Reinhold Niebuhr、1892年-1971年)というアメリカの神学者がいました。 彼が礼拝の中で何気なく祈った、"The serenity prayer"(平静の祈り)という祈りがありました。 その祈りを、アルコールや薬物依存症などの克服支援をする団体が採用したことから、全米に広がってい きました。その一部をご紹介しましょう。
【二ーバーの祈り(平静の祈り)】
神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)
変えられないもの、それはたくさんあると思います。まず、過去は変えられません。親も子も、生まれてきた 国も、育った環境も変えることはできません。犯してしまった罪も、その事実は変えることはできません。 ですから私たちには、それらを受け入れるだけの冷静さが必要です。
しかし、未来は変えられるはずです。未来を変えるためには、勇気が必要です。
このコロナ禍において、ゴ スペルクワイアの活動も苦しいところに置かれました。しかし、苦しいところにいる時こそ、自分を変えるチャ ンスです。変わることを恐れず、主に寄り頼み、祈り、助け手を求め、チャンスを逃さないようにしましょう。
そして、この二ーバーの祈りで何よりも私が驚くのは、神からの思いがけない恵みです。二ーバーが礼拝 の中で何気なく祈ったこの祈りは、思いがけずアルコールや薬物依存症に苦しむ人々に、勇気と力と冷静 さを与えました。実は二ーバー自身は、自分がどう祈ったかすら覚えていなかったそうです。それなのにこ の祈りは全米に広がり、世界中が知るところとなりました。
神の恵みは、このように思いがけないところから広がって行きます。私たちが、ただ主にすがり、このコロナ 禍においても勇気を出してゴスペルを歌い、祈り、語ったことが、どこかの誰かの心に届き、二ーバーの祈 りのように多くの人を励ますことに繋がるかもしれません。誰かの未来を変えるきっかけになるかもしれませ ん。主はそのような思いがけない恵みを与えてくださる御方です。
私たちのこの活動が、神の思いがけない恵みで満ち溢れることを信じて、JGCF2022で思い切り主を賛美し ましょう!