「障害者は最低賃金」という常識を変える。僕たちJPTが見据えるその先の未来。
「障害者は最低賃金」
こう聞いて、皆さんはどう感じますか?
単純作業しかできないから当たり前?
仕事があるだけいい?
いやいや、障害があっても優秀ならそんな扱いは受けないだろう?
知識の有無や考え方はいろいろあるとは思いますが、現実では障害者枠での就職は、驚くほど賃金が安いのが常識のようになってしまっています。
今回は社長×副社長対談企画の第1弾として、この常識を覆した先にJPTが目指す未来像を、社長の成川、副社長の阿渡に存分に語ってもらいました。
「『障害者は最低賃金』という常識を変える。僕たちJPTが見据えるその先の未来。」というテーマで3つの記事に分けてお送りします。
(執筆:ミッションパートナー ちひろ)
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初回のこの記事では、JPTの活動を通じて変えたい社会について、社長の成川目線で掘り下げていきます。
ミッションの先に見る「社会」って誰のこと?
ーJPTが障害者雇用における社会の常識を変えようとする上で、お二人の中で「社会」の具体的なイメージは共通しているんでしょうか? それとも見ている対象は違っていますか?
(成川)
対象は違っていますね、という話は阿渡さんとよくします。
僕はどちらかというと組織のマネジメントをする人たちを想定しています。
それはおそらく、本社の採用担当をしていたときに感じた違和感がきっかけになっていると思います。
本社で採用担当をしていたとき、障害者採用は中途採用のおまけのような感じでついてきました。前任者たちが作ってきたマニュアルどおりに、応募があれば中途採用の募集要項と照らし合わせたり、一般事務で雇用できるか検討したり。
いい人が採用できればラッキーくらいに考えていましたが、事業系の部門が多い子会社では一般事務の仕事がなく、障害者雇用率の不足が危機的な状況でした。
即戦力で、配慮の要らない あるいは そこまで必要ではない障害者人材の採用競争は熾烈です。
うちの会社を選んでもらう魅力づけには、これまでの制度を大きく変える必要がありました。
※詳しくは成川のnote「JPT設立記②~障害者採用の難しさ~(公開準備中)」で詳しく述べています。
(阿渡)
僕も障害者雇用の実務をしていましたが、結局一人も採用できませんでした。
理由は「会社の採用ハードルが高すぎる」ということ。
成川さんの言うとおり、必要なポジションで即戦力でありながら、健常者と同じ場所で働くうえでの配慮があまり必要ではない人なんて、なかなか見つかりませんでした。
(成川)
そもそもそんな人材は、障害者ではなくとも難しいものなんですよね。
また、休んだときの給与保障などのセーフティネットが手厚すぎることも、採用時のハードルを上げている要因の一つです。
障害があったり、過去に休職や離職を多くしている人は、そういったセーフティネットを利用する可能性が高く、ともすればフリーライドされかねないと思ってしまうのです。
実際には障害者だからといって、過去に何回も休職したり離職しているからといって、入社後にもそうなるとは限らないのですが、保険会社でもない私たちがそのリスクを正確に見積もることは不可能です。
手厚すぎる保障は、入社した人にとっては嬉しいかもしれないけれど、リスクが高いと思われる人にとっては不利益になる、というのは僕にとって大きな気づきでした。
苦労して採用しても、定着しない
(阿渡)
たしかにそれはあるかも。
それと、これは障害者仲間とも話していたんですが「入社後の定着率が低い」ことも課題です。
本社の人事制度では、出社の義務やコアタイム、時短勤務の制限があります。
健常者には当たり前でも、障害を持っているとこれらのことが負担になるケースが多く、なかなか定着しないという課題がありました。
(成川)
僕は、そのあたりは制度を柔軟に変えれば解決できるはずだと考えています。
JPTの運営を通して、障害があってもなくても同じように活躍できる制度や仕組み、企業文化を作れることを証明したい。
フェアであり、かつ健全な経営が可能であることを社会のマネジメント層が認識してくれれば、いろんな会社が変わっていくはずです。
同時に、障害を持つ人たちの職場環境が変われば、その周りにいる家族や友人や同僚たちの目も変わるはずです。
→次回「両手のない僕が伝えたい『やればできる』の本当の意味。(2/3)」に続く
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