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あるアンバサダーのぼやき ~ここがヘンだよ障害者雇用~
こんにちは、JPTアンバサダーに加わったばかりのみなみです!
私はこれまでずっと学生の就職支援をする仕事をしてきました。その中で障害学生の支援担当も務め、障害者雇用や、そもそも今の日本における「働くということ」にモヤッとすることが多く、今回はそんな諸々を書き綴ってみたいと思います。
(執筆者:みなみ)
大事なのはそこ…? 障害者採用のモヤモヤ
「仕事内容はそれほど負担にならないものにしているので、とにかく週5日、朝の8時半から17時まで安定して出勤できそうなことが大切ですね」
これは私が仕事をする中で、特例子会社の担当者や、障害者雇用セミナーの登壇者から、何度か聞いた台詞です。これを聞いた私は思わず「え…それが一番ハードル高くないですか?」と思っていました。勿論心の中でそっと呟くだけですが(笑)
安定した勤怠が大切なのは重々理解しています。しかし今の時代、必ずしも「朝8時半に職場で朝礼に参加し、17時まで自席で作業すること」
だけが、安定した勤怠なのでしょうか?
特に発達・精神障害を持つ方の多くは、感覚過敏や易疲労性を持っていたりします。感覚過敏とは、一般の人よりも、音や光・においなどに敏感に反応することで、易疲労性は読んで字のごとく、疲れやすいということです。こういった特性により、そもそも通勤時間帯の電車に乗れない、もしくは乗れるけれどそれだけでどっと疲れてしまうような人が一定数居ます。
一方で知的能力には問題がなく、むしろこれに関しては特性がプラスに働いて、高い集中力を発揮したり、高度なパソコン系の作業をこなしたりといった人も居ます。
中には発達障害に併せて知的障害を持つ人も居ますし、複雑な作業は確かに難しいという人も勿論居ます。障害も十人十色です。
こういった人は、「環境の調整」さえ行えば、仕事内容は高度で複雑だったとしても、充分に取り組んでいけるポテンシャルを持っています。それがまさにJPTだと私は思っています。
「フルリモート・フルフレックス」「なるべく一人で完結できる業務を割り振る」「急ぎはしないが重要度の高い仕事を請け負う」
初めてこれを知ったとき、とても合理的だと感じました。日本にも、こういった取り組みを実現している特例子会社があるのだと驚いて、育休中に関わってみたいと思ったのが、JPTアンバサダーに加わったきっかけでした。
「働き方」をもっと柔軟に
誰もが働きやすい会社
私は主に大学生の就職支援に携わっていたので、大学生ということは、つまりは大学に入学して授業を受けるというハードルは超えて来た子たちです。しかしいざ就職活動となったときにコミュニケーション面でうまくいかない、就職しても結局毎日人波に揉まれての出勤で体調を崩したり、職場に蔓延する「暗黙の了解」的なものについていけなかったりで短期離職となるなど、勿体なく感じるケースにたくさん出会いました。
障害を持つ人の一部にとっては、仕事内容云々というよりも、環境や働き方の調整が最大のキーになると私は思っています。
そして、
障害を持った人にとって働きやすい会社 = 誰もが働きやすい会社
なのではないでしょうか?
例えば、車椅子の人のために、段差のある場所にスロープを作る。
それによって、足の上がりにくいお年寄りや、ベビーカー、一般の人でも台車を運ぶときなんかに便利です。
得をする人は居ても損をする人は居ないわけです。
リモートやフレックスはこれに近いものがあります。
障害のある人だけに特別配慮をする、という考え方よりも、皆にとって働きやすい環境を、と捉えた方が良いように思います。
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在宅勤務制度って…
私は妊娠中つわりがひどく、電車に揺られると吐き気がしたり、そもそも朝化粧をしてかっちりした服を着て電車に乗って、職場で同じ姿勢で夕方まで過ごす…というこの一連の流れ自体が苦痛でした。といっても脳が衰えている訳ではないので、もし在宅勤務が許してもらえるのであれば、資料を作成したりオンラインで打ち合わせしたりメールで学生とやりとりをしたりと、それほど負担なく業務として貢献できることも多くあります。
しかし、在宅勤務の制度はほぼない職場でした。認める場合もあると聞いたので相談してみると「妊娠しているからと言ってあなただけ認める訳にはいかない」「基本的に皆出勤しているのだから不公平」「出勤が辛いなら家での作業も辛いだろう」「しんどいなら休職の方が良いのでは」といった反応でした。
コロナ禍でせっかく浸透した在宅勤務制度も、今では一部の大企業以外はほぼ活用しなくなったとも聞きます。しかも活用しない理由として、周りの話を聞いていると、合理的な理由があるというより、会社上層部の「気持ち」的な部分が大きいのではと感じています…。
自身がこのような経験をして改めて、妊娠や子育て、介護、障害や病気を抱えた人…仕事内容というよりも、働き方が壁となり「働きたいけど働けない」人たちの存在に思いを馳せました。
さいごに
また、今は昔以上に社会が複雑化しています。例えば昔であれば、寡黙だけれど黙々と部品を作るのが上手、といった個性を持つ社員の、それはそれで居場所がありました。しかし今では、世の中全体的に、高度なコミュニケーション力や先読みして提案する力など、多元的な能力が求められるようになってきました(ハイパー・メリトクラシーという造語があります)。
発達障害の診断が増えていると言いますが、背景にはこういった社会要請もあるのではないかと感じています。
このnoteに書いたことはもしかしたらきれいごとなのかもしれません。
経営者の方からしたら「現実問題として難しいよ!」と突っ込みが入るかもしれません。JPTにも、まだアンバサダーになったばかりの私が知り得ない課題があったりもするのかもしれません。
ですが、まずは、JPTの取り組みや自身の感じたことを発信することから、始めてみたいと思っております!