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イギリスの歴史(3)女王エリザベス1世のインテリジェンス
こんにちは!自由主義研究所の藤丸です😊
今回は「イギリスの歴史シリーズ」の3回目✨
女王エリザベス1世のインテリジェンスに注目です‼😆
エリザベスはとても有名ですが、学生時代に習ったときは、
「インテリジェンス」の視点はまったくなかったなあ…💦
大人になってから、目的をもって学ぶことは楽しいですね😊✨
※2回目はこちら ↓
1,イングランドの対外政策(スコットランド、ヨーロッパ大陸との外交)
さて、このころのヨーロッパ大陸は、宗教戦争まっただなか‼
↓ 図の
・「黄緑」部分がカトリックの勢力地域で、
・「紫」の部分がプロテスタントの勢力地域です。
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このころからイングランド外交の基本姿勢として、
「大国間の勢力均衡」が始まります。
当時の大国はフランスとスペインです🔥
外交やインテリジェンスが大事になっていきます!
エリザベスは、スコットランドでのプロテスタントの反乱を利用し、
これを支援する軍を派遣して南部スコットランドを占領しました。
結果、スコットランドの衛星国化に成功します😆
イングランドは一応「島国」となります。
陸続きのスコットランドを衛星国化できたのは、
安全保障上とても重要ですね😊
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大国のスペイン・フランスは、
両国とも国内で宗教戦争中です。
エリザベスは双方のプロテスタント勢力に、
慎重に裏から資金や情報を提供し、戦争を長引かせます。
頭脳戦ですね😁
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ところが1567年に大事件が‼💦
スペインがイングランドの生命線といえる「低地」に進駐したのです‼
※「低地」:ネーデルランドのこと。現在のオランダとベルギー。
下図の赤字で囲んだ部分で、イングランドの対岸に位置。
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スペインの低地への進駐により、勢力均衡が困難になります。
これは、もう一つの大国フランスがユグノー戦争(宗教内戦)中で、
スペインに対抗する力を一時的に欠く中でのできごとでした。
しかし、実はフランスも低地を狙っていたため、
イングランドはフランスを支援することもできません💦
イングランドは危機を迎えます。
「低地」こそは「イングランドの外堀」だからです。
※日本にとって朝鮮半島みたいな感じ…??(個人の感想です)
「軍事力がそこにある」ということは、
その意図とは無関係に脅威とみなす」
カトリックであれプロテスタントであれ、
「低地」を支配しようとする勢力が、エリザベスの「主要敵」なのです。
エリザベス以降、現在まで
「イギリスは【低地】が軍事大国に支配されることを許容しえない。
低地の独立こそイギリスの主要利害」
ということが、イギリス外交の伝統、国民心理として明瞭に定着します。
※第一次世界大戦で、ドイツがベルギーに侵攻したことで、
イギリスがドイツに宣戦布告したことが思い出されました💦
2,イギリス情報部(007、MI6につながる)の伝統のはじまり
「情報」こそ生命線😆💦という国民的認識が、
この時期に生まれ定着します。
情報を適切に分析し、危機を乗り越えるための作戦が議論されました。
「小国イングランドが、超大国スペイン軍の「低地」からの撤退を、
どのように実現させるか?」が最重要課題です。
軍事的対抗手段を持たない小国イングランドが、
超大国スペイン軍の「低地」からの撤退をどのように実現させるか!?🤔
①エリザベスに求婚してたスペイン王との個人的関係を利用し、撤退の説得
②オランダ人の反徒に秘密支援(金と武器)
③駐留スペイン軍への海賊を使った補給妨害
④「噂」を流して相手を孤立させるアングロ・サクソンが得意としている「ささやき作戦」により、金融市場でスペインの信用を傷つけ軍事資金調達を妨害
⑤海賊を使い、新大陸でのスペイン船への襲撃
(当時は国家間の戦争行為とは見なされなかった)
→間接アプローチ的な戦略
スペインのライバル・フランスの力を利用することもありましたが、
同時にフランスが低地に進出することは防ぐ必要があります。
低地におけるスペインの「政治的」プレゼンスは、
フランスへの対抗として維持させました。
また、プロテスタントであるオランダ人の独立は、
フランス(カトリック)の進出を助長させるため妨害しました。
※イングランド、小国なのにすごいですね…!😊
3,スペイン無敵艦隊とのアルマダの戦い
このようなイングランドにとって危機的状況の中、
適格な情勢分析の前提として、
第一級の情報の収集と評価が必要とされました。
まさにインテリジェンスです‼😆
イングランドの宰相フランシス・ウォルシンガムは、
各国外交の中枢にスパイを送り込み浸透させていました。
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外交組織とは別系統の情報組織をつくり、
外交情報をダブル・トリプルチェックできる体制をつねに確保しました。
エリートである外交政策立案者は、
自己の政策的立場に有利なように情報をねじ曲げる傾向があるためです。
大事なことなので、もう一度書きます😊 ↓
外交組織とは別系統の情報組織をつくり、
外交情報をダブル・トリプルチェックできる体制をつねに確保しました。
エリートである外交政策立案者は、
自己の政策的立場に有利なように情報をねじ曲げる傾向があるためです。
※このあたりの考え方は、今でも見習う必要があると思います😆!!
江崎道朗先生が、安全保障の分野で防衛予算の使い道などを、
外部からチェックできる仕組みが重要だとおっしゃっていることに、
つながる考え方だと思います。
「状況の詳細観察と事実に基づく判断に徹しようとする執拗なまでに(💦)冷静な分析の姿勢」による、
以下のような徹底した議論を行います。
①追い詰められたオランダ人の抵抗はもつだろうか。
②スペインが低地を完全支配したら、イングランドを攻撃するか。
③イングランドの中のカトリック(スペイン側)のスペインへの協力の可能性はどうか。
④具体的にスペインの対英攻撃手段はなにか。
⑤イングランドがスペインによる低地の没落を阻止したら、対英攻撃は回避できるのか。
⑥もしできるとしたら、その阻止のための具体的手段はなにか。
⑦低地救援のためのフランスの協力の是非と可能性。
⑧イングランド単独でも低地支援の介入に踏み切るべきか。
⑨その場合、対スペイン戦争のリスクは。
⑩イングランドの対スペイン戦争の手段と資源、支出額はなにか。
⑪戦争の際、スペインのとる戦略はどうか。イングランドの貿易に与える影響はどうか・・・等等
イングランドとスペインの関係は、
低地問題や宗教問題などで悪化し、
ついに1588年アルマダの戦いが起こります。
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実は、ウォルシンガムの「情報」(インテリジェンス)により、
イングランドはスペイン無敵艦隊の来襲を一年前から(すごい😆!!)予測していました。
ちなみに、スペイン王フェリペ2世は、
妻のイングランド女王メアリー1世が1558年に死去するまで、
イングランドの共同王でした。
敬虔なカトリックであるフェリペ2世は、
プロテスタントである義妹エリザベスを異端者であり、
違法なイングランド統治者であるとみなしていました。
一方、妻である女王メアリー1世の死後、
フェリペ2世はエリザベスに求婚(異端者だと思ってたのに😳!?)しますが、1559年に拒否されています💦
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イングランドは海賊を利用するなどの総合的な戦略により、
スペイン無敵艦隊のネーデルランド寄港を許さず、
スペイン無敵艦隊を破りました。
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エリザベスはインテリジェンスの力を活用し、
イングランドの独立を維持し得たのです‼
↓ エリザベス1世の映画は、エンタメとしても面白くとてもオススメです😆
※個人的な感想です😊
エリザベスは優柔不断でふらふらしていたとの話をよく聞きますが、
議会がしっかり機能して、インテリジェンスを活用できたことで、
イングランドの独立を維持できたことに繋がったのかなと思いました😊
このようなイギリス政治のあり方が、自由主義にもつながっていくのかもしれません。
また、エリザベスは「手紙魔」で、各国の王侯たちに手紙を書いて友好を訴えたそうです(外交)。
人間関係ってどんなときでも重要ですよね。
エリザベスやウォルシンガムのインテリジェンスについては ↓ の本が面白いです‼😊
この発表や、江崎道朗先生・蔵研也先生のコメントは以下の動画です。
よかったら見てくださいね😆
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