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Tableauでデータドリブン運営を実現する!第2回:データを見やすく伝える!最適なグラフの選び方

ECサイトのアクセス実績や販売実績を「見える化」し、データに基づいた意思決定を行う「データドリブン運営」を実現したい。そんなあなたに、Tableauを使ったダッシュボード作成をステップ・バイ・ステップで学ぶ連載記事をお届けします。

第2回目は、データを見やすく伝える!最適なグラフの選び方をご紹介します。


データを分析する際には、その結果をわかりやすく伝えることが重要です。そのためには、適切なグラフやチャートを選んで、データを視覚的に表現する必要があります。

認識しやすいグラフ

データを見やすく表現するためには、人間の視覚特性を理解することが大切です。

分かりやすい視覚の要素

人間は、見たものを無意識のうちに検出し、最大1秒間記憶します。短期記憶に保持できるのは7つ程度ですが、複数の短期記憶を基に理解や判断をおこないます。

例えば:
「増加している」「青が大きい」「外れ値がある」を検出すると、「増加した理由は青のカテゴリーが影響しており、特に外れ値のデータが押し上げている」と情報を組み合わせて理解します。

人間は、要素数が少ないほど認知は早くなり、「形」よりも「色」のほうが認識し易い特性があります。

認識しやすいグラフ

人間は、位置や長さを最も簡単に認識でき、次いで角度、色、サイズ、形状の順に認識しやすくなります。したがって、グラフやチャートを作成する際には、これらの視覚特性を意識することが重要です。

目的とグラフの組み合わせ

データを視覚化するそれぞれの目的に適したグラフやチャートを以下に示します。

  • 大きさの比較:棒グラフ、ブレットチャート、Bar in Barチャート

  • 時間推移:線グラフ、ステップラインチャート(階段グラフ)、スロープチャートバンプチャート(順位変動グラフ)

  • 割合や構成比:100%積み上げ棒グラフ、ツリーマップ、円グラフ、パレート図、滝グラフ

  • 2つの変数の関係性:散布図、バブルチャート

  • 分布やばらつき:ヒストグラム、箱ひげ図

  • 地理的な関係性を踏まえた分析:マップ、色塗りマップ、密度マップ、比例シンボルマップ、パスマップ

  • 値の表示:テキスト、クロス集計、棒グラフ、ハイライト表

  • 業種、業界で普及している表現:ガントチャート、ファネル、ボリンジャー・バンド

グラフの目的と特徴

① 棒グラフ

棒グラフは、以下のシーンでよく利用されます。

  • 大きさの比較:複数の値の大きさを比較する場合、棒グラフは最もわかりやすいグラフです。例えば、商品の売上や顧客の満足度などを比較する場合に利用されます。

  • 順位の把握:棒グラフは、値の大小順に並べ替えることで、順位を把握することができます。例えば、成績やランキングなどを表示する場合に利用されます。

  • 参考値との比較:実績と目標値の比較や、異なる地域や年代などのデータを比較する場合に利用されます。

棒グラフのメリットは、以下のとおりです。

  • わかりやすい:人間は、位置や長さを最も簡単に認識することができます。そのため、棒グラフは、一目で値の大きさや順位を把握することができます。

  • シンプル:棒グラフは、比較したい値の数だけ棒を配置するだけで作成することができます。そのため、比較する値が多い場合でも、簡単に作成することができます。

② 線グラフ

線グラフは、時系列の変化を把握するのに適したグラフです。横軸に時間、縦軸に値をとり、値の変化を線で結んで表示します。

線グラフは、以下のシーンでよく利用されます。

  • 売上や利益などの数値の推移を把握する

  • 気温や降水量などの天候データの変化を把握する

  • 人口や出生率などの社会情勢の変化を把握する

  • スポーツの試合のスコアや順位の変化を把握する

線グラフのメリットは、以下のとおりです。

  • 時間の経過とともに値がどのように変化したかを、直感的に把握できる

  • 複数の値の変化を比較検討しやすい

  • データのトレンドや季節性などの傾向を把握しやすい

線グラフは、以下の点に注意して作成する必要があります。

  • 軸の単位や目盛りを明確に表示する

  • 値の変化をわかりやすくするために、色や太さなどを工夫する

  • データの量が多い場合は、範囲や間隔などを適切に調整する

例えば、ある商品の売上を月ごとに集計した場合、線グラフで表示すると、売上がどのように推移しているかを直感的に把握することができます。また、複数の商品の売上を比較する場合も、線グラフで表示することで、売上の伸び率や差異などを比較検討しやすくなります。

このように、線グラフは、時系列の変化を把握するのに適したグラフであり、さまざまなシーンで活用することができます。

③ 割合や構成比

100%積み上げ棒グラフと円グラフは、どちらも割合や構成比を表現するグラフです。しかし、それぞれの利用シーンやメリットは異なります。

100%積み上げ棒グラフの利用シーン

100%積み上げ棒グラフは、全体に対する割合を表現するのに適したグラフです。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 売上構成比

  • 顧客属性

  • 支出内訳

100%積み上げ棒グラフのメリットは、以下のとおりです。

  • 全体に対する割合を直感的に把握しやすい

  • 複数の割合を比較しやすい

  • 棒グラフはシンプルなデザインで、見やすい

円グラフの利用シーン

円グラフは、4つ以下の分割に適したグラフです。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 売上比率

  • 顧客満足度

  • 商品人気度

円グラフのメリットは、以下のとおりです。

  • 円の形状で、割合を直感的に把握しやすい

  • シンプルなデザインで、見やすい

100%積み上げ棒グラフと円グラフの使い分け

100%積み上げ棒グラフと円グラフは、どちらも割合や構成比を表現するグラフですが、それぞれのメリットや利用シーンが異なります。

全体に対する割合を表現したい場合は、100%積み上げ棒グラフがおすすめです。複数の割合を比較したい場合も、100%積み上げ棒グラフが適しています。

4つ以下の分割にしたい場合は、円グラフがおすすめです。シンプルなデザインで、見やすい点もメリットです。

具体的な利用シーンや目的に合わせて、適切なグラフを選ぶようにしましょう。

④ 2つの変数の関係性

散布図は、2つの数値データの相関関係を調べるために使用されるグラフです。x軸とy軸にそれぞれ2つの数値データをプロットすることで、そのデータ間の傾向や関係性を視覚的に把握することができます。

利用シーン

  • 2つの数値データの相関関係を調べたい場合

  • 2つの数値データの間の変化を比較したい場合

  • 2つの数値データの分布を調べたい場合

メリット

  • 2つの数値データの関係性を直感的に把握できる

  • 相関関係の強さを視覚的に確認できる

  • 2つの数値データの変化を比較しやすい

バブルチャートは、散布図の一種で、点のサイズや色で3つ目のデータ(属性データ)を表現したグラフです。

利用シーン

  • 3つ目のデータ(属性データ)と2つの数値データの関係性を調べたい場合

  • 3つ目のデータ(属性データ)の分布を調べたい場合

メリット

  • 3つ目のデータ(属性データ)と2つの数値データの関係性を視覚的に把握できる

  • 3つ目のデータ(属性データ)の分布を視覚的に把握できる

具体的な例

  • 商品の売上高と顧客の年齢の関係性を調べる場合、散布図を作成することで、売上高が高い商品は顧客の年齢が高い傾向にあるなどの相関関係を把握することができます。

  • 商品の売上高と顧客の居住地の関係性を調べる場合、バブルチャートを作成することで、売上高が高い商品は都市部に住む顧客に人気があるなどの相関関係を把握することができます。

このように、散布図やバブルチャートは、2つ以上の数値データの関係性を視覚的に把握するために有効なグラフです。目的に応じて適切なグラフを選択することで、データの意味や傾向をより深く理解することができます。

⑤ 分布やばらつき

分布やばらつきをビジュアル化するグラフの利用シーンは、大きく分けて以下の3つです。

1.データの特徴を把握する

分布やばらつきをビジュアル化することで、データの特徴を簡単に把握することができます。例えば、身長や体重などのデータの分布をヒストグラムで可視化すると、データの平均値や中央値、標準偏差などの特徴を理解することができます。

2.データの異常値を検出する

分布やばらつきをビジュアル化することで、データの異常値を簡単に検出することができます。例えば、ヒストグラムでデータが大きく外れたピークが見られる場合は、異常値の可能性があると考えられます。

3.データの比較を行う

分布やばらつきをビジュアル化することで、複数のデータの比較を行うことができます。例えば、異なる地域の平均気温をヒストグラムで比較すると、地域ごとの気候の違いを把握することができます。

分布やばらつきをビジュアル化するグラフのメリットは、以下のとおりです。

  • データの特徴を簡単に把握できる

  • データの異常値を簡単に検出できる

  • 複数のデータの比較が容易にできる

分布やばらつきをビジュアル化するグラフの代表的な種類には、以下のようなものがあります。

  • ヒストグラム

  • 箱ひげ図

  • 散布図

ヒストグラムは、データの分布を棒グラフで表現したものです。箱ひげ図は、データの分布を箱やひげで表現したものです。散布図は、2つのデータの相関関係を表現したものです。

⑥ 地理的な関係性

マップグラフは、地理的な関係性を視覚的に表現するグラフのことです。地図上にデータの値や情報を重ねることで、データ間の相関やトレンドを直感的に把握することができます。

マップグラフの利用シーンは、大きく分けて以下の2つに分けられます。

  • 地理的な分布や傾向を把握する

マップグラフは、地理的な分布や傾向を把握するのに適しています。例えば、人口密度、気温、降水量、犯罪率などのデータをマップグラフで可視化することで、データの地域ごとの差異や傾向をわかりやすく把握することができます。

  • 地理的な関係性を把握する

マップグラフは、地理的な関係性を把握するのにも適しています。例えば、交通ネットワーク、物流ネットワーク、経済圏などのデータをマップグラフで可視化することで、データ間のつながりや相互作用をわかりやすく把握することができます。

マップグラフのメリットは、以下のとおりです。

  • 地理的な関係性を直感的に把握できる

マップグラフは、地図上の位置関係を視覚的に表現することで、地理的な関係性を直感的に把握することができます。そのため、複雑な地理的な関係性も、簡単に理解することができます。

まとめ

データの視覚化は、データ分析の成果をわかりやすく伝えるために重要なスキルです。適切なグラフやチャートを選ぶことで、データの意味や傾向を正確に理解することができます。

次回の記事では、チャートにおけるデザイン要素の効果的な活用について解説します。


参考書籍は、「Tableauによる最適なダッシュボードの作成と最速のデータ分析テクニック」です。

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