日本人として途上国で担うべき役割
ネパールに来てから数ヶ月。
まだまだ知らないことだらけではあるものの、少しずつ日々が日常になっていく感覚があります。
私が後発開発途上国と呼ばれるネパールに来たのは、観光やボランティアではなく仕事をするためです。
ですので、その視点から数ヶ月経ったネパールでの仕事の中でできることや求められていることを考えてみます。
日本人というだけで
現地人からの印象がいい
現地での移動手段としてよく配車アプリを使うのですが、現地のドライバーは私が外国人だと分かると、どこの国から来たのかを必ず尋ねられます。
そこでもちろん「日本」と答えるのですが、その発言によって相手からネガティブなリアクションを受けたことは今まで一度もありません。
他の国を卑下する人でも、日本を悪く言う人には本当に一度も会ったことがないのです。
これは私が今まで行った他のアジアの国でも同じです。
※日本人を平和ボケしてる小金持ちだと思って騙したりしようとする人もいますが、それは別の話です。
もちろん私に対してリップサービスで言っている可能性もあるかもしれませんが、いずれにしても悪い気持ちはしません。
そんな好印象な理由を尋ねると、大抵は自動車企業などの製造業の企業名を挙げられるのですが、他にも「日本人は人を騙さない」「新しいものを生み出そうとする」などと言ってもらえます。
私はアジアしか行ったことがなく、中南米などでは「中国と日本の区別がつかない人がいる」というような話も聞くため、世界の国全てがというわけではありませんが、少なくともアジアにおいては日本人であるというだけで、まずはポジティブな印象を相手に与えることができます。
第二次世界大戦でアジア各国へ侵出していた国である日本は、その後の発展の中で途上国に対して援助や輸出を通して各国でのプレゼンスをポジティブなものに変えてきました。
これは本当に、ただただ先人に感謝すべき事だと思います。
日本人として持っている情報量や感性
そして日本で生きてきた中で自然に入ってくる情報や培われる感性も途上国においては特別なことになる可能性を秘めていると感じます。
日本語は英語に比べてインターネット上の情報量が10分の1しかないとよく言われることがありますが、他のマイナー言語で手に入る情報量なんてさらに圧倒的に少ないです。
また、単純にインターネット上の情報量が10倍だからといって情報の質が10倍高いというわけでは全くありません。
日本の未来は危ぶまれていますが、先進国として洗練された日本の日常の中で見聞きできる生の情報や備わる感性、それをアジアの一員として他のアジアの途上国と共有しやすい土壌にあるあたりは日本ならではの情報についての利点だと思います。
数ヶ月でできること、できないこと
そういった日本人としての生来のメリットを携えてネパールに来ているわけですが、数ヶ月しか経っていない時点では上記の生まれ持ったメリットにある程度依存する形で、できることを探すのが定石なのかなと考えるようになったので、それを踏まえて仕事において数ヶ月でできること(すべきこと)とできないことを整理してみます。(あくまで一意見です)
数ヶ月でできること(すべきこと):管理系
すべきこと、できることだなと感じたのは管理についての業務です。
個人差はあれど日本人の特徴として、几帳面であることが挙げられますが、ここはいい加減な人が多い途上国では人材として差別化できるポイントになります。
そして、それを突き詰めたときにすべき業務が管理系の業務になると考えています。
具体的には計画立て、資金や在庫の管理、スタッフの動きの管理、掃除、その他雑務などです。
この辺りは日本人の「しっかり仕事をする」スタンスが業務と合う部分だと思います。
日本でサラリーマンをやったことのある人であれば、ワードやエクセルはある程度いじれると思いますし、この辺りをガツガツやって組織の仕組みを作っていくことが組織としての差別化につながっていくのではと思っています。(まだ数ヶ月なのでかなり個人的見解ですが)
数ヶ月ではできないこと:ガツガツ動く系
逆に現段階ではできない、もしくは中長期的に見ても現地人に任せた方が良いと思われるのは現場でガツガツ動き回る業務です。
もちろん自分もオフィスに留まるわけではなく一緒に動くのですが、現地語がまともに話せないので、交渉をスムーズにまとめることはできませんし、土地勘も移動手段もないのでどこへいくにも非効率になります。数ヶ月の段階ではコネクションも現地人の方が持っているケースが多いです。
とはいえ、計画立てはこちらがやるべきと書いてあるように、どのような内容で交渉を進めるか、どこへ行って何をしてもらうかの計画はこちらで立てて、そこを現場の肌感覚を持っている現地スタッフと擦り合わせるのがいいのかと思います。
※特に役所周りは外国人が行くと足元を見られて賄賂を請求されることがざらにあるそうなので行かないほうがむしろ良かったりする一方で、逆に日本人ということで信用を得るために営業では出向いた方がいいケースもあるなど、ケースバイケースではあります。
リスクは小さい
上記で書いた、「数ヶ月でできること、できないこと」は中長期的に見ても日本人として途上国に来た際に目指すべき姿とそんなに変わらないのではないかと思います。
日本人が日本で生きていく中で生来のメリットを享受すると同時に、現地の人たちも日本より数段カオスな現地で生きるためのスキルを培っています。経験豊富な人であればバイクの修理などのメカニック関連のハード面の知識や相手の懐に入っていくコミュニケーションなどのソフト面のスキルも持ち合わせています。
完璧な人材というのは余程の高給を提示できないと集まらないので、現地スタッフを採用する際もその辺りのお互いの得意分野を考慮できると理想だなと思います。
日本の将来が危ぶまれる中で海外に出稼ぎに行く人も最近はいるようですが、途上国と呼ばれる国に行くと日本人として還元できることがまだまだあると気づきます。
しかも、日本人というだけで無条件にポジティブな印象を持ってもらえます。
日本人の抱える将来へのリスクというのは現地で平均的な水準の生活を行っている人たちからすると圧倒的に小さいですし、そういう地でチャレンジすることはその人自身の人生の満足感と社会全体への貢献度を両方とも大きく引き上げることになるのではないかなと思っています(自戒を込めて)。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Twitterでも農業やネパールについての情報を発信しているので良ければ見てみてください。