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三河に葛城・鴨の残像を求めて① 船山1号墳


愛知県豊川市八幡町上宿にある前方後円墳。豊川市指定史跡に指定されている。
全長95mの東三河地方(愛知県東部)では最大規模の古墳で、5世紀後半頃の築造と推定されています。
被葬者については
菟上足尼命(うなかみすくねのみこと)ではないかと考えます。

1. 墳丘盛土の築造法が畿内でみられる「表土積換工法」であること。
2. 築造時期が5世紀後半
3. 菟上足尼命は葛城襲津彦の4世孫で、5世紀後半葛城氏を滅ぼした雄略天皇によって、穂国(ほのくに・東三河地方(現在の豊橋市・豊川市)にかつて置かれた国)の国造に補任されていること。(異説有り)
4. 畿内でみられる食物供献儀礼の遺物が出土。同古墳が出土事例の東限となる。
5. 別図の通り墳丘が葛城襲津彦の墓と考えられる室宮山古墳と同じ設計計画に基づくと考えられること。
※設計計画について
御所市教育委員会の室宮山古墳の復元図と、豊川市教育委員会の「発掘だよりNo.43・墳丘測量図及び調査区位置図」「発掘だより No.44」を基に朱線・破線等を入れて比較検討しました。
1. 前方後円墳の型式学的研究の開拓者・上田宏範氏の手法による検証
船山1号墳はB-C:C-P:P-D=6:1:3となり、これは上田氏の著書・「前方後円墳」記載の室宮山古墳と同じ比率でB型式Ⅰに分類される(ただし復元図によれば7:1:3)。
2. 情報考古学者・堅田直氏の手法、
B-C後円部径:C-D前方部長:E-F前方部幅  の比率から類型化
・室宮山古墳
御所市教育委員会・室宮山古墳範囲確認調査報告の43.44ページ記載の室宮山古墳の復元図等によれば
B-C 148m、C-D墳丘長238mから後円部径148mを引いた90m、E-F 152mで、
比率は     1:0.60:1.02
・ 船山1号墳       
発掘だよりNO.44によれば
B-C 58m C-D 墳丘長95m-58m=37m E-F 62m    
比率は       1:0.63:1.06
いずれも計数が近似値を示していて、Ⅱ型に分類出来る。


後円部より前方部
前方部より後円部
室宮山古墳
前方部・道路に開削されている
船山1号墳

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