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RJC(責任ある宝飾品協会)のセルフアセスメントで自社のSDGsチェックしてみませんか?
みなさんこんにちは。ジュエリーローヤーの新田真之介です。
最近ではジュエリー産業でもSDGsの取り組みに関する話題が増えてきました。
もちろん各社が自社にあった方法で取り組むのが一番なのですが、ある程度取り組みが進んできたら、
「自社の取り組みが、国際的なスタンダードと合っているかな?」
と気になってくるかもしれません。
そんなときは、RJCのセルフアセスメントキットを使ってみることをおすすめします。
Responsible Jewellery Councillとは?
RJC(Responsible Jewellery Council:責任あるジュエリー協議会)とは、金及びダイヤモンドを取り扱う宝飾業界を対象とした、社会・環境責任の範囲をカバーする規範と規格を開発する国際的な非営利組織です。
世界に名だたるグローバル企業(リオティント、デビアス、カルティエ、ティファニー、グッチなど)を含む350のメンバーを有し、国連のグローバルコンパクト(10の環境・倫理などの原則から成る企業への戦略的方針イニシアチブ)にも参加しています。(ビューロベリタスジャパンより)
RJCは、主要なグローバルブランドはほとんど所属していますが、日本企業で認証を受けているのは現在4社のみです(2020年9月)。
言葉の壁や資金力以外にさまざまな障壁があるとは思いますが、加入するか否かに関わらず、自社のコンプライアンスチェックの指針になるのは間違いないと思います。
RJCのCoPはネットで公開されている
ガイドラインやセルフアセスメントなど以下のリンクから、一通りのものは会員登録など不要でダウンロードすることができます。
おおまかに、RJCの行動規範は以下のジャンルがあり、これまでの貴金属流通のガイドラインやISOなどよりも範囲が広くなっています。
○ 企業倫理;法令遵守、贈収賄、マネロン、社会貢献
○ 人権・労働者の権利;労働時間、賃金、児童労働、強制労働、組愛
○ 安全衛生;作業環境、教育訓練
○ 環境保全;有害物質、廃棄物管理、省資源
○ 製品情報の開示;本物、情報開示
また、いざ加入を検討しようとしたときには、
加入から2年以内に監査をパスする必要かあるため、
おおよそ加入前からセルフアセスメントくらいはやっておいてから入るほうが良いと思います。
これから先、もしJJAなどが『倫理的な調達ガイドライン』などを作ろうとしたとき、最も歴史のあるRJCガイドラインを参考にするでしょうし、はやくから、企業規模の大小に関わらず、国際的スタンダードを知っておくことは有益だと思います。
現在は英語以外はフランス語とイタリア語のみとなっていますが、英語ができるスタッフがいれば、ハードルはそこまで高くはないと思いますし、今後は日本メンバー間、また日本拠点を持つ監査機関の協力により日本語版はいずれ必要になるはずです。
今後おそらくCIBJOガイドラインと並んで重要度を増してくる宝飾業界の国際スタンダード(ソフトロー)の1つになっていくはずなので、日本の宝飾(ジュエリー、時計)業界全体で取り組んでいくべきものになると思います。
RJC監査やSDGsの取り組みに関するご相談は「お問い合わせ」フォームからお願いいたします。
自分自身のことだけでなく、取引先のことも考えなくてはならない
あるファッションローの弁護士から、「最近は取引先ともSDGs条項(お互いにSDGsを遵守していますということを約束しあう条項)の相談が増えた」というお話を聞きました。
まだジュエリー業界では聞きませんが、そのうち、反社条項(反社会的勢力でないことを保証し、もし反社であることが判明したら契約解除などができるというもの)のような当たり前の条項になっていく可能性があります。
このように、自分自身が遵守していることはもちろんのこと、
取引先が遵守しているかにも目を光らせる(相互に監視する)ことも必要になってきます。
なぜなら、「あのブランドの海外下請け工場でこんな児童労働している」などというスキャンダルが、ブランド価値そのものを毀損する可能性があるためです。
たとえば、あるジュエリー企業が、自社内ではきちんとコンプライアンスの体制ができているけれど、仕入れ先や回収・下取りした貴金属を売却する先はどんな会社かよくわかっていない(値段だけで決めている)というのでは、最終的に守れたことになっていない(間接的にテロ資金になっていないという保証ができない)のです。
ですので、ブランドや小売り事業者以外も、SDGsへの取り組みを「取引先や親会社から要求される」ようになるということも考えられます。
その意味で、アサヒプリテック株式会社が日本のマテリアル系企業で初めて(日本企業で4例目)RJCの認証を取ったのはとても画期的なことだと思います。
貴⾦属リサイクル事業を展開するアサヒプリテック株式会社(代表取締役社⻑:中⻄ 広幸)は、2019 年 7 ⽉ 29 ⽇に RJC(Responsible Jewellery Council:責任あるジュエリー協議会)の認証を取得いたしました。⾦やプラチナ等の貴⾦属サプライチェーンの⼀員として、RJC の厳格な審査基準をクリアし、国内では 4 社⽬、リファイナリー(精製業者)としては国内初の認証取得となります。
これまでは、0.1円でも有利な取引条件なら値段だけを見て取引先を決めていたであろう事業者たちも、これからは「トレーサビリティーの管理ができていない企業とは取引ができない」という要素が出てくるものと思われます。