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第16回 GIA Tokyo GemFest リポート(前編)

オーラムで行われた第16回GIA Tokyo GemFest に行って参りました。

アウトプットのために、ノートを公開します。

※宝石学について素人である私の個人的メモをもとに書いているため必ずまちがいもありますのでご了承ください。情報の正確性は全く保証できませ。「Gems & Gemmology」などの論文原典を参照ください。

小竹博士「特筆すべき天然カラーダイヤモンド」

<カラーダイヤモンド>
・カラーダイヤモンドの希少性>GIAで過去10年間に提出されたダイヤモンドレポートのうち、カラーダイヤモンドレポートは0.4%未満
・色相、再度、明度で決まる
・ファンシーカラーダイヤモンドは、通常フェイスアップでグレーディングされる
・2018年にGIAで検査されたカラーダイヤモンドのうち、64%がイエロー、19%がピンク→日本だけは特異で、イエローは13%,一番多いのはピンク4割

<ピンクダイヤモンド>
○ピンクダイヤモンド
・ハリーウインストンのピンクレガシー
・2008年~2016年にGIAで検査された9万件のピンクダイヤのうち、純粋なピンク40%、紫かかったものが28%、ブラウニッシュピンクが17%
・ピンク色の一般的な原因は光の波長550nmを中心とするブロードな吸収
550nmバンドの原因となる欠陥はまだ特定されていないが、塑性変形と関連している。

○吸収スペクトル
・窒素を含んだピンクダイヤモンドでは、550nmバンド以外のカラーセンター(N3やH3)ももつことがある
・ランダムに選択された1000個の天然ピンク系ダイヤモンドの統計データ>550nmバンドによる着色がほとんど。NVセンターによる発色は0.6%しかない。H3/N3の有無でわずかな違いはあるが、色を決めるのはそれらの特性の強度である。
・ピンクダイヤモンドでは、色のついた帯のようなものが見える。GIAではこれをグライドプレーンや、グレイニングと呼んでいる。

○グライドプレーン
・[111]面に沿って、はっきりと直線上に居ろがついている部分が見える。有色の部分以外は無色である。
・オーストラリア、カナダに多い

○グレイニング
・直線上には言えず、ぼんやりとした色の分布
・ダイヤモンドが高温にさらされて、窒素のペア[Aセンター]が結合してできる

○ブラウンダイヤモンド
・塑性変形によって空孔クラスターができる
・可視光全体を吸収、低波長を強く吸収

○パープルダイヤモンド
・多くはH3やN3の吸収が弱い
・550nmバンドの中心が、長波長側にわずかにシフト
・可視光の青色の透過が多くなる

○レッドダイヤモンド
・H3センターとその再度バンドおよび550nmバンドで着色
・アーガイルに多い

○ピンクダイヤ温度の産地
・歴史的な産地はインド、ブラジル、インドネシア、南アフリカ
・現在入手可能なものの多くはアーガイル産だが、2020年に閉山が予定されている

<ブルーダイヤモンド>

○ホープダイヤモンド[ブルー]
・短波紫外線を照射後、赤色の燐光を発するのが特徴

○BLUE MOON OF JOSEPHINE
・カラットあたりが歴代最高額のカラーダイヤ

○色の原因:ホウ素

○色の原因;GR1

○VIS-NIR吸収スペクトル

○ブルーダイヤモンドの産地
・歴史的な産地はインド
・タイプⅡbだと南アフリカ(カリナン鉱山)

<グリーンダイヤモンド>
○ドレスデングリーン(昨年泥棒入ったけどメトロポリタンに貸し出されていたから無事)

○色の原因:一般的なのはGR1(62%)
・地殻内で放射性鉱物や流体で暴露されることで生じる
・人工的な放射線照射でも再現できる
・表面の接していたところが緑色にみえる厳正でも、カットすると色がなくなることが多い
・石全体に緑色がついているものは、アルファ線だけではく、ベータ線やガンマ線(カリウム40から発生)によるものだろう

○色の原因:次に多いのがH3
・吸収ではなく蛍光を発光することで生じる
・620nm~860nmの範囲の2つの幅の広い吸収バンド

○色の原因:ニッケル関連の欠陥もレアだけどある
・窒素不純物やそのほかの欠陥とともに生じる

○グリーンダイヤモンドの産地
・ダイヤモンドを生産するほぼすべての国で報告がある

<イエローダイヤモンド>
○ティファニーイエロー(128.54ct)

○吸収スペクトル
・ケープシリーズをもつイエローダイヤモンドがほとんど(92.8%)
・孤立置換窒素による着色のイエローダイヤモンドもある(0.8%)

<ブラックダイヤモンド>
○色の原因
・マイクロメートルサイズの暗いインクルージョンやクラウド
・高密度の放射線ステイン
・多結晶ダイヤモンド(アモルファス状のカーボン)でも黒く見えることもあるが、あまり宝石に加工できる状態のものはない

<ホワイトダイヤモンド>
・通常のカラーレスではなく、ホワイトの色がファンシーででるものがある

○色の原因
・ナノサイズのインクルージョン転位ループ>光を拡散しているように見える
・ほとんどがtypeⅠaB(ダイヤモンド全体の0.1~0.2%しかない希な物)
・水素やニッケル関連の欠陥が多い

○DIAMOND ORIGIN REPORT
・原石をGIAで検査したことがある産地についてはオリジンレポートが発行できるようになった
・0.15ct以上の石


<私的な感想>※個人の見解です。
 カラーダイヤモンドはその希少性から高額な値段で取引されることも多く、さまざまな模造石や処理石によって価値を偽る手法が近年のネット販売の弊害として出てきています。
 ジュエリー法務の観点からは、消費者契約法や景品表示法に関連する相談、またオークションでも高額なカラーダイヤモンドは度々出品されますので、色因や産地についても知っておくことで、適切な取引における判断が可能になると思いました。

(つづく)

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