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法務視点から見たジュエリーSDGsの最新動向

SGDsを勉強しはじめると、世の中のニュースを17の目標に結び付けて考えるようになる、というあるあるがあるそうです。

そんな体になってしまった私が今週気になったニュースをご紹介します。

1 サステナビリティは、新しいジャンルではなく、消費者意識の変化

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ELLEオンラインの2020年夏のジュエリーの特集テーマは「サステナブル」

【2020夏】地球に優しいダイヤやゴールドが続々! 最新サステナブルジュエリー18選
持続可能なものづくりが重視される今、毎日身につけるジュエリーもエシカルなものを選びたい。憧れジュエラーから、新進気鋭のブランドまで、環境や人に優しい取り組みで生まれた新作をお届け。

ジュエラーとしては、とにかくファッション誌がこのようなトレンド特集を組む時代になったということを早く受けとめる必要があります。

サステナブルジュエリーという新しいジャンルがあるのではなく、消費者が購買選択をする際の指標が単純な素材価値やブランド価値から、サステナブルかどうかに変化してきているということだと思います。

具体的取組の根拠・活動報告についてのリンク先まで紹介されていますね。

世界的な外資系ブランドは、RJC(責任ある宝飾品協会)に加盟し、途上国支援に○億ドルを支出、などとPRしていますが、もしかしたら個人のジュエラーの方にはあまりぴんとこないのかもしれません。

2 Think Globally, Act Locally.(グローバルに考え、ローカルに行動しよう)

個人のデザイナーや地域の宝飾店も、足下からできるSDGsの取り組みを簡単なことからやってみて、そして発表してみることをおすすめしています。

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顧問先のあるジュエラーの方にSDGsのお話をしたところ、

以前LGBTカップルからペアリングの相談があり、オーダーメイドで提案したことがあるというお話をされていたので、「それもSDGsですよ!」というお話をしました。

おそらくLGBTカップルの方は、一般的なブライダルショップに入店しても男用・女用というペアでしか売ってくれないんじゃないかとか、

相談しても理解がない店員に冷たくされるんじゃないかとか、すごく心配だと思われます。

当店ではLGBTカップル向けのペアリングについても受け付けております(過去実績あり)

のようにホームページで表記することで、来店時の不安が少し軽くなるのではないでしょうか。

これだけでも、ジュエリー業界の多様性が広がる小さな取り組みの1つになると思います。

コツコツ活動を続けられたら、大手ブランドのように、かっこよく年次報告書を発表しても良いですね。

具体例:ティファニーALIGNMENT TO SUSTAINABILITY REPORTING FRAMEWORKS FISCAL YEAR 2018

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https://media.tiffany.com/is/content/Tiffany/GRI_and_External_Reporting_Framework

SDGsのロゴマークなどは、ガイドラインを守れば自由に使って良いようですので、よく読んで活用してみてください。

SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/

最後に、注意点です。

3 見せかけだけのSDGs広告は炎上のもと

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一方、今月はこんなニュースもありました。

辞任のきっかけは5月30日、「リフォメーション」がBLM(Black Lives Matter=黒人の命は大切)運動への寄付をインスタグラムで投稿したこと。これ対し、ブランドの黒人の扱いについての批判が集まり、元従業員の一人がブランドとして発信していることとその実態の間に矛盾があることを明かした。エル・サンティアゴ(Elle Santiago)元アシスタント・ストアマネジャーは、「いつも決まって私と同じか、私以下の能力の白人女性ばかりを採用してきた」と述べ、昇進の機会の不平等さを訴えた。さらに、アフラロ前CEOが自分と目を合わせて話すことは一切なかったと、個人的に接した際の経験にも言及。ブランドビジュアルの多様性を求める声に対して、同ブランドのシニアマネジャー陣が「今はまだその準備が整っていない」と切り捨てたこともあったという。この投稿はインターネット上で広く拡散され、ファッション界の暴露をすることで有名な一般アカウントのダイエット プラダ(Diet Prada、@DietPrada)やさまざまなメディアで取り上げられた。

外向きのダイバーシティ広告をしたところ、それをきっかけに社内差別を内部告発され炎上、辞任という流れです。

これまでは投稿内容や商品のデザインが差別的だったりして炎上パターンが多かったのですが、
今回のケースでは、募金キャンペーンを呼びかけるというその広告内容自体には何も問題がなかったパターンです。

よかれと思って考えた広告部門担当者にとっては予想外だったことでしょう。

エシカルなイメージを広告するからには、当然ながら周囲からの視線は厳しくなりますから、「どの口が言うのか」と思われないように足元を固める必要がありますね。

「あんなサステナブル広告してるあのブランド、実は中の職人にはこんなひどい待遇してるよ」というような元従業員からの告発がSNSで拡散してしまう時代です。

国内のジュエリー業者もアフリカの鉱山労働者の支援・フェアマイン認証も大切ですがまずは社内の労務体制や外注先とのコンプライアンスを改善するほうが先なのかもしれません。

ジュエラーの本質的な中身が問われています。


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