宝石は 天上に輝く星の化身 【ジュエリーの歴史編5】
6000年前メソポタミアに住むシュメールの人々は、星の運行リズムとともに移り変わる大地自然の変化を読み取り、暦を発明した人々です。星が大自然の移り変わりを司る‼ 当時の人々は偉大なる星を観察し神格化していきました。そして世界最初の神話「ギルガメシュ叙事詩」が編纂されました。
神話は時代とともに信仰としての原始宗教へと進化を果たし、やがて、イエスの出現によりキリスト教、ナショナル宗教へと更なる進化を遂げ、全世界へと広まっていきました。
星の運行リズムの輝きによって、大切な食糧である種まき刈り入れの時期を知り、さらにチグリスユーフラテス川の大洪水の時期を知ることができました。当時の人にとって、星の観察は生きるか死ぬかの最重要事項です。星の輝きはまさに“神の光”、星を観察する人は神官と呼ばれるようになりました
天上に輝く星の様に輝くもの、それは地中に眠る宝石です。地上に生きる人々にとって宝石はまさに天上の星の化身、天上と地上を結ぶ宝物、宝の石・宝石でした。
“宝石で身を飾る”とは、星の化身を身にすること、片時も天地自然を支配する星の畏敬の念を忘れず、おごり高ぶらぬこと。そして天上の神々に常に感謝を忘れぬこと。信仰としての宝石で身を飾る精神文化の源流です。今も昔も、宝石は大切な人の心のお守りです
(ジュエリー文化人類学より)
一般社団法人ジュエリー学協会
タイ支部長 門馬哲史
参考文献/資料
ジュエリーに心が宿る瞬間…(畠 健一著作)
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