大好きな金木犀と、まぼろしの銀木犀と
今年は特に暑かったせいでしょうか、金木犀が香る季節が半月ほど遅いですね。私が子どもだったころは、10月になるとどこからともなく漂ってくるあの香りで、秋だなぁと感じたものです。
少しずつその時期が早くなり、9月の末ごろに香りに気づく年もありましたが、今年はずいぶんと遅いようです。
咲きはじめるとすぐにそれとわかる存在感のある香り。にも関わらず花は小さなかわいい姿で、香りに気づくたび「どこで咲いてるの~?」と宝探しのような気持ちで探してしまいます。
子どものころに読んだマンガに「銀木犀」の花が出てきました。金木犀は知っているけど銀木犀というのもあるのか、ぐらいに思ってすっかり忘れていました。
33歳になった長男がよちよち歩きを始めた1歳のころ。駅前へ買い物に行こうとベビーカーを使わずに歩いていたら、金木犀の香りに気づきました。
見回すと、通り沿いに金木犀と同じかたちの小さなかわいい白い花をつけた木がずっとありました。香りは金木犀のようですが、花は白いのです。子どものころに読んだマンガをすぐに思い出しました。
「あ!これがもしかして銀木犀なの⁉」
思わず声に出して言うと、そばを通りかかったおばさまが足を止めて、
「へぇ~、これ? 銀木犀っていうの?」
と言いながら、どさくさに紛れて長男と手をつないでいます。はたから見たら、おばあちゃんとママと孫のように見えたでしょう(笑)。
それ以来、銀木犀の花を一度も見たことがありません。長男の手を引いて通ったあの道は、駅前の開発でもうなくなっています。毎年金木犀の香りが漂ってくるたび、長男と手をつないで歩いたあの道を、小さな白いかぐわしい花を思い出すのです。
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