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まんまとしてやられた
好きなお酒はワインだ。
蘊蓄を語れるほどではないが、父の故郷山形県で毎年の夏、主食のように食べていたデラウェア、巨峰。大好きな本を読んでいると、たまに出てくる「ぶどう酒」という響きに憧れたものだ。
お酒が飲める年齢になって親や親戚と居酒屋へ行った時、母方の大叔父に「もう飲めるんだから、ビールどう」と言われて口にしたものの、こんな苦いものを大人はどうして美味しいと言ってたくさん飲むのだろう?と不思議で仕方がなかった。
それが‼︎だ。
ついうっかり、林さんの小説を読んでしまった。「恋はいつもなにげなく〜」は買い求めてあっという間に読んだ。婚活を後押しするコミュニティを立ち上げたので、そこで恋愛から遠ざかっている迷える子羊たちにおすすめの本として紹介して行こうとも考えている。元書店員、書店員じゃなくなっても、本への拘りと発信は続けたい。
脳内に広がる渋谷のバーの風景。行ったこともないロンドンやミュンヘンの空気を想像力フル回転で思い描きつつ、ビールを探す旅に出た彼にやきもきしながら読み進んだ。読み終わって、ほっとした時にはまんまとそのビールが飲みたくなっていた。美味しいビール、という響きがワインと違うのは、よりカジュアルな楽しみ方だろうか。洋服に喩えるとしたら、ワインならちょっとよそゆきのワンピース、ビールならTシャツにデニム。
かくして、読んだ翌日にスーパーでの買い物中にこのヱビスホップテロワールを目敏く見つけてしまい、夫に「ふたりで半分こして飲もうよ‼︎」と買ってもらう(笑)。ちょっとお洒落な細いグラス(実はワイン用のグラスだ)にきれいに半分ずつ注ぎ、日曜日の夕方、早い時間に大切に味わっていただいた。夫も私も、「フルーティーだね」というのが感想だった。もう私の舌は、苦味を美味しいと感じるほど大人になったのだ。そして、今が旬の俳優さんをCMに起用するのではなく、林さんに小説を依頼する、しかも無料で公開するサッポロビールさんの心意気‼︎さすが。粋よねぇ、とわかったふうな口をきいて、グラスをあけた。
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