タイムマシンなんて要らないと言える日々を
BIGMAMAを知ったのは「秘密」のMVをYouTubeで見た時だと思う。9年も前の日だ。高校生になったばかりのあの頃の私は、スペースシャワーTVをかじりついて見ており、その過程でどこかのバンドが気になって、そのMVのおすすめ欄にあったBIGMAMAのMVを見た。
衝撃を受けたとか、一瞬で恋に落ちたとか、そんなことはなかった。
なんとなくいいバンドだなと思ったくらいだったはずだ。TSUTAYAでCDを借りて、ライブの情報をチェックして、気付いたら高校時代で最もライブに足を運んだバンドになっていた。
あの日から9年以上経った今でもBIGMAMAは私にとってかけがえのない存在だ。
薄情すると、9年間ずっとBIGMAMAが大好きだった訳ではない。金井さんのあの事件が起こっていた時期、私は少しBIGMAMAから離れていた。新譜はチェックしてライブにも足を運んでいたけれど、高校生の時のような熱意はなかった。
しかし、ちょうど1年前くらいだと思う。
BIGMAMAのライブを最前列ど真ん中で見た時があった。仙台の小さなサーキットフェスで、BIGMAMA目当ての人は少なかったのだと思う。ちょうど空いた場所に滑り込んで、最前列ど真ん中という、高校生の時に通い詰めたZepp Tokyoでは考えられない場所に辿り着いたのだった。当時の私は精神的・身体的ともに疲弊しており、このフェスに行くことも迷っていた。
そこで聴いた「Paper-craft」で私のBIGMAMAが再熱したのだ。高校生だった私が大好きだった曲。当時カラオケに行く度、周りの冷ややかな目に負けず歌いまくった曲。手が届くほどの至近距離で、まるで観客は私一人のように演奏された「Paper-craft」。何度も何度もライブで聴いてた曲だったのに、なぜか涙が止まらず、BIGMAMAのライブが終わった瞬間にぐしゃぐしゃな顔で言葉にならぬ感情を連れに話し続けた気がする。
この時、やっぱりBIGMAMAが好きだと痛感した。
その後、リアドの脱退が発表され、心の整理がつかぬまま仙台でのライブに行った。そのライブがまたとても良くて、複雑な感情のまま母の日にリアドの最後の姿を見に行こうと心に決めた。しかし、母の日のライブは開催されることはなかった。
We Don't Need a Time Machine 2020
私から言うことはない。見てくれ。
配信で感動して、アーカイブで更に感動した。過去があるから未来があって、BIGMAMAは過去を糧に未来に進んでいってくれると確信した。新曲も昔の曲も全部BIGMAMAで、その全部が好きだと思った。
一瞬でもBIGMAMA好きだと思った人は全員見て欲しい。
そしてサポートドラマーのビスたんに最上級の感謝を。全21曲、まったく違和感なく完遂してくれた。もちろんリアドとドラムの音は違う。それでも、ビスたんが鳴らす音がBIGMAMAにはまっていた。本当に素晴らしいドラマーなのだと感じた。今後もBIGMAMAが楽しみなのは彼のおかげでもあると思う。ありがとう。
BIGMAMAの未来に何の不安はない。心から新制BIGMAMAを祝福しよう。