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セックス、トラック&ロックンロール・酔いのピンチヒッター…4

     ……吉川は、アタシが野良猫時分、何度かアタシを抱いていた。ドロップアウトしていたけれど、JK時分のティーンのアタシを。
その頃、一匹狼やってたアタシは、吉川の企業グループの末端がやっていたデリの連中にとっては、目の上のたんこぶ以外の何者でもなく、なにせ現役JKにしてセックス大好きなアタシを買った男たちが、それ以降にデリ嬢たちへ求めるプレイにおいて、グレーの域を優に飛び越え兼ねず、「まったくもって迷惑千万、あの身勝手で、派手に縄張りを荒らすJK 崩れをなんとかしてよッ!」ってな案配のデリ嬢たちからのクレームが高まる度に、その落とし前として当然アタシが痛め付けられているものとデリ嬢たちに思わせるだけ思わせておきながら、その裏で経営者としての吉川は、一石二鳥のわたりに船とばかり、自らのビジネスへのみかじめ料として、アタシの身体を各所へ提供していたし、アタシはそれと引き換えに取り敢えずの自粛に従うことで目こぼしを受ける、そういうナアナアな流れがいつしか落とし所として用意される様になっていった。で、その際には1週間ほどホテルに拘束を食らっていたのだけれど、その期間の終わり頃には決まって吉川が、アタシの身体が汚れきったのを見計らった様に、その身体を味わいに顔を出したものだった。
    ただ、吉川も最初はそんな甘い対応をアタシ相手にするつもりはなかったんだと思う。あくまで、グレイゾーンまでが射程内の企業家だから、切った張ったでもなかろうが、スタンガン、注射、目付きの悪い中国人などがアタシの制裁に用意されていたところをみれば、二度と彼の健全な商売の圏内に、このアタシを踏み込ませないようななにかは恐らく考えていたはずだ。けれど、アタシは、アタシの肢体をそれとなく睨めつける吉川の視線に賭けてみたのだ……。

    吉川さん、そっちがアタシの身体を必要な時に、公私どちらであっても、一肌脱ぐわ、って。

    で、アタシは賭けに勝った。ただ、結局アタシは、吉川の領土でとあるゴタゴタを起こして、例えグレイゾーンではあっても、時に取りうる超法規的措置を実行される寸前、リョウ兄さんとルミ姉さんの二人に救われ、以来、金と引き換えに身体を売るのは自らの手で封印して、つまり更生したって訳だ。ちょっと前、埼玉で金と引き換えにやりそうになったけど、それはただのブラフで勿論受け取らなかった……、それが、アタシの矜持ってこと!

    プップー!!

    クラクションが鳴って、我に返った。スクリーンは車窓へと戻っていた。アタシは前へ向き直った。と、横顔へ懐かしい視線を感じた。アタシは、その視線の方へ、つまり吉川へと顔を向けた。
    吉川はなにもなかったかの様に、自分の側の車窓を向いた。今度はアタシが男の後ろ髪を眺める番だった。アソコの湿り気を意識しながら……。
                                                                       続く

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