巡礼の道
歩いてみたい道がある。
一つは四国・お遍路。
もう一つはフランスからスペインまでのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路だ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラとは、スペイン・ガリシア州の州都の名前である。9世紀ごろ、キリストの12使徒の一人であった聖ヤコブの墓が見つかり、その地に教会が建てられた。エルサレム、バチカンに並ぶキリスト教の三大巡礼地の一つでもある。
サンティアゴ・デ・コンポステーラのミサでは、動画のように大きな香炉が天井高く舞う。その神々しさは動画だけでも圧巻だ。
この教会への道は、遠くイギリスからやポルトガルから続く道もあるが、フランスからの道が4本ある。
私は自分が少しだけ暮らした南フランスから歩いてみたい。
巡礼者はリュックや杖にホタテをつけている。そしてサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの道標もホタテ貝。
フランス語で聖ヤコブはSaint Jacques、そしてフランス語でホタテ貝は聖ヤコブの貝を意味するのである。
老いも若きもただひたすら聖ヤコブに導かれながら、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。
キリストへの熱い信仰で歩く人、人生を変えたくて歩く人。病気を克服したいと歩く人…。きっとこの道を歩く人のきっかけや目的は様々だろう。
私もいつかこの道を歩いてみたい。
それはフランスにいる頃からの夢だった。なぜだろう…。
観光ではなく、ただひたすらに巡礼の道を歩き切りたいのだ。たった一人歩く中で自分をとことん見つめ、沢山の人とすれ違いながら何を感じるのかを知りたいといつも思う。
お遍路では同行二人という言葉を使う。これは常に自分と弘法大師が共にあるという意味だそうだ。サンティアゴまでの道のりも聖ヤコブと一緒なのだろうか…。
たとえ信仰がなくても、何か一つのことをやりきるということは、人生に大きな意味をもたらしてくれるのではないかと思う。
たとえ何かを掴めなかったとしてもそれはそれでいい。
私は一つのことを長く続けることは得意だが、いつも途中で電池が切れてしまう。潔くスパッとやめてしまう。そんな自分を見つめ直したい。
今一番長く続いていることが生きること。(それが一番すごいことだけど)
巡礼の道を歩き切ること。
人生という道を歩き切ること。
死ぬまでにやりたいことの一つだ。