見出し画像

10月の甚平と「ダメ!」という親


「今日着たい服、持ってきて〜」


寒くなってきたから秋用のベッドカバーに昨日やっと替えた。
だから夏用のベッドカバーを洗濯機に押し込みつつ
リビングでYoutubeを見ている娘に言う。

娘は名残惜しそうにしながら、自分の部屋に向かったようだ。

3段になっている引き出しの、1番上の段を引き出しているのが、脱衣所から見える。


「今日はお休みだから、その下の段の引き出しの服でもいいよ」


そう伝えると、ちょっと目を輝かせながら1段目の引き出しをしまい、
2段目を開ける娘。



1番上の段は、保育園の日用の洋服を入れている。
汚れてもいい動きやすい上の服と、
ちいさなハンカチを入れられるようにポケットがついているズボンが入っている。

真ん中の段は、お休みの日用。
フリフリだったりスカートだったり、保育園には到底着ていけない服が入っている。

洗濯機のボタンを押し、よっこらせとダイニングに腰を下ろした私に向かって
娘が嬉々として「これにするー!」と両手に持って走ってきたのは、なんと甚平。



もう10月よ。
今日の最高気温は27度だけど、最低気温は19度ってさっきめざましテレビが言ってた。寒くなって風邪ひきそう。

そんなもんもんが頭を駆け巡って

「それはダメよ。寒い」
とちょっとマジトーンでいう私。

娘は何度も「やだ!これがいい!」と食い下がるも
鉄壁の「ダメ」にとぼとぼと肩を落とし甚平を持って自分の部屋に戻っていく娘を見てなんだか申し訳なくなる。


「まあ風邪ひいたら保育園休んで看病すればいいことか、休職中だし」
と私の中の楽観的なヤツがつぶやいた。


急いで「ごめん!やっぱりそれ着ていいよ!」
というと、「いいの!?やったー!!」と戻ってくる娘。

自分で頑張ってズボンは履いて
上の紐は難しいから私のところに助けを求めに来る。
「もし寒くなったら教えて。長いのに着替えよう。」というと、
こくんと頷く娘。

「ダメ」って最初から言わなくても、これでよかったのか。
娘はもう「寒い」も「暑い」もわかってきてる。
その時に必要なことをしてあげればいいのか。

そんなことを考えながら、無事着終わる。


うん、かわいい。
前着たのを見たのは、7月の花火大会だったような。

体調とか利便さとかいろんな私のエゴを掲げて
「ダメ」って一蹴しまうことが多い自分。

余裕がある時だけでも、娘の「やりたい!」を優先できる自分になりたい。

今日はそれができて、その先に娘の可愛さと笑顔を見れた。

そんな朝。


いいなと思ったら応援しよう!