草色の風が吹いている 〜ひと色展〜
頬を撫で 髪を揺らす
少し冷たさを感じさせる風が
日々の雑多な出来事に攫われどこかに彷徨っていた心を
この場所に引き戻した
草がサラサラと音を立てている
あの時と同じ風景
それが今も目の前に広がっていることが
自分でも驚くほどの安心感を感じさせてくれる
なんの躊躇いも疑いもなく 世界と自分を信じていた
世界に愛されているという感覚
この世界に存在することを許してくれている
他に何もないこの風景は あの頃の小さな自分にそれを教えてくれた
いつも1人でここにいた
陽の光 草の匂い 吹き渡る風 私を拒絶するものは何一つなかった
孤独など微塵もなかった
包まれていたのは 愛そのものだった
圧倒的安心感
大人になって萎れた心を抱えて またここに、この風に吹かれにきた
大きく呼吸する 草色の風が胸いっぱいに満たされていく
心の草原をサラサラと音を立てて風が吹き渡る
そう
そうだった
私も愛されていたのだった
誰もが愛されているように 私も愛されていたのだった
草色の風が吹き渡る
サラサラと風にゆれる草の音
あの頃と同じ
優しい草色の風は 変わらずこの世界に吹き渡っている
イシノアサミさん「ひと色展」コラボ企画に参加させていただきました
コラボ企画は初参加で不慣れなところもあると思いますが
参加させていただき楽しかったです ありがとうございました