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人との程よい距離感とは

 運動習慣がなくて、仕事も体を動かすものではなく、体が凝り固まりやすいので、定期的にマッサージを受けています。

 ご夫婦だけで運営しているお店なので、他のお客さんと顔を合わせることはほとんどないのですが、今日は平日昼間だったためか、珍しく別のお客さんが施術を受けている隣で施術を受けました。

 お店の中に、大人の等身大の骨格模型が置かれていて、カーテン越しのその方と施術者との会話の中で、「先生(施術者)には私がこの骨格標本に筋肉がついているように見えているのではないですか?街で会っても顔では誰だかわからず、体を触ってみてああこの人だとわかるとか」と笑いながら言っているのが聞こえ、思わず笑い出しそうになりました。

 (決して皮肉や悪意のある言い方ではなく、施術者も爆笑していましたし、聞こえてきた会話の雰囲気からもちゃんと信頼関係ができている間柄でのジョークのようでした。)

 内心、そのくらいの距離感だからこそ、体を委ねられるんじゃないの?と心の中でつっこみながら、すごく昔のあることを思い出しました。

 当時仕事をしていた職場の近くの路上で、何年か前に同じ部署で色々お世話になった男性に数年ぶりにバッタリ遭遇しました。

 定年にはまだまだあるのに退職されたと聞いていましたが、その方から聞いた近況は驚きでした。

 マッサージ師の資格を取り、職場の目の前のビルの一室にマッサージ店を開業したというのです。

 話をしたその場所からも見えるビルの2階を指さして、「あそこだからぜひ一度受けに来てね」ということばに「そのうち伺いますね」とは答えたものの、結局行くことはありませんでした。

 まだその方のことを知っている人もたくさんいる職場の目の前であれば、その縁で来てくれる人もたくさんいるだろうという目論見だったのかもしれません。

 実際、そうしたご縁で行った人もいたのかもしれませんが、結局、気づくと1年も経たないうちに、そのお店はなくなっていました。

 私自身は当時まだ20代で、とても良い方だったとはいえ、仕事場で知っている人だからこそ、マッサージのような個人の体そのものを委ねることには抵抗がありました。

 たとえその方が女性であったとしても、よほどの友人でなければ、元同僚がマッサージ師の資格を取ったから受けに来てねと言われても 多分行かないだろうなと思います。

 マッサージを受けるというのは外から見えない体の状態を知られることでもあります。だからこそ「マッサージ師と客」という関係で知ること以外のことは知らないくらいの距離感の方が安心して体を委ねられる気がします。

 私が受けているマッサージ師の方とはパートナーも同じ人に施術を受けていて、もうお付き合いが長く、一時、高齢の親の訪問マッサージをお願いしていたこともあったので、ご出身やご家族のことをたまに話をすることはありますが、それ以上のことに踏み込むことはありません。

 人との距離感って難しいですね。近くなればいいというわけではない。その人との関係性の中で、程よい距離感というのがあるし、人によっても感覚が違うのでしょう。

 普段は「距離感」などをことさら意識せず、でも程よい距離感を保っていられる、そんな関係が自然にできるようになれたらいいなあと思いつつ、気持ちの良いマッサージを受けていつのまにか爆睡していた私でした🤣




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