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読みかけ日記 「雨を、読む」佐々木まなび

 少し前に梅雨入りし、雨の日が多くなってきた。

 外出しなければならないのにけっこう強い雨。バスの中で読む本を選んでいる時に、少し前に買ってあったこの本が目に止まる。

 こんな雨の日に読むのはこれがいいかもとカバンの中に入れて出かける。 

 バスの中は少しエアコンが入っていて暑くはないけれど雨の湿度を含んだ空気が満ちている。

 座れた座席で本を広げる。最近は新聞や紙の本をバスや電車の中で広げる人もほとんど見かけない。

 雨にまつわる言葉はこんなにあるのかと驚く。解説というよりむしろ上質な言葉で満たされた辞書のように、その言葉の意味と、時にはそこから広がっていく筆者の子供の頃の経験だったり、今の想いだったりが記されている。

 「梅雨花(つゆばな)」はザクロの別名だとのこと。小さいけれど真っ赤な花の印象が強くて、梅雨?と思ったけれど、今、まさに咲いているのだから梅雨時の花だったのだと改めて見直す。

 「墜栗花(ついり)」「栗花落」とも書いて梅雨入りのこととも。栗の花が落ちる頃と重なることからこの字が当てられたとか。

 先日の栗の花から実が付き始めたところを見たこととも繋がる。私のいるところはすでに梅雨入りしていて、栗の花が落ちるのはまだこれからという感じだけれど、これもそういう時期に重なるものなのだと知る。

 雨の日は夜空がかえってぼんやり明るい。「降りしらむ」という言葉があるのか。

 雨の降り方についてもいろいろな言葉がある。

 今は梅雨時なので、梅雨から初夏の雨についての言葉が実感を持って入ってくるが、違う季節に読んだら、また違った言葉が気になるのだろうな。

 季節ごとの雨が少し楽しみになりそうだ。

 


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