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クンティの婿取り(カルナ誕生) / ワヤン版マハーバーラタ(2)


スーリヤ神の子を授かったクンティ


一方、マンドゥラ王国では、プラブ・クンティボジャが妻のデウィ・バンダンダリ(ハスティナ王、故プラブ・サンタヌの娘)との間に4人の子供をもうけた。 4人の子供は、ラデン・バスデワ、デウィ・クンティ、ラデン・ルクマ、ラデン・ウグラセナと名付けられた。 皇太子ラデン・バスデワにはすでにデウィ・マヒラという妻がいたが、まだ子宝に恵まれず、デウィ・クンティは成人して、さまざまな国の王や王子から求婚されていた。

クンティボジャ王は、デウィ・クンティ自身が希望する求婚者の首に花の花輪をかけて選ぶという、婿取りの行事を開催することにした。 しかし、デウィ・クンティが女性用の部屋に閉じこもり、父や母のところに行かなくなってから4ヶ月が経っていた。 クンティボジャ王は、娘に何か悪いことが起きたのではないかと疑った。 そこで彼は、デウィ・クンティの状態を確認するため、ラデン・バスデワを見に行かせた。

バスデワはすぐに女性用の部屋に入り、デウィ・クンティがこもっている部屋に向った。 バスデワは部屋に入る許可を求めたが、デウィ・クンティは教師のレシ・ドルワサの命令でタパ・ンゲブレンの修行を受けているという理由で拒否した。 バスデワは不審に思い、女性用の部屋の部屋のドアを壊して中に入った。驚いたことに、彼の妹が膨らんだ腹を押さえているのを見た、 クンティは妊娠していた。

バスデワは怒ってデウィ・クンティを姦通の罪を非難した。 彼は妹に、彼女を孕ませた男の名前を言うよう強要した。 しかし、デウィ・クンティは答えず泣くだけだった。 バスデワは、デウィ・クンティの教師であるレシ・ドルワサに疑いを持った。 彼はこの老僧を探し出し、処罰するつもりだった。

カルナ・バスセナの誕生

師が非難されるのを聞いたデウィ・クンティは、自分の妊娠はレシ・ドルワサのせいではないと説明した。 はっきりさせるために、デウィ・クンティはアジ・パメリンの術を使い、レシ・ドルワサを招いた。 すぐにレシ・ドルワサは現れた。

レシ・ドルワサはレシ・ドワパラの息子(レシ・マヌマナサの甥)に他ならなかった。 彼は非常に高齢であったが、その高い知識により、今でも多くの土地を旅することができた。 そしてマンドゥラ王国に立ち寄り、デウィ・クンティの師となった。

レシ・ドルワサは、デウィ・クンティにアジ・クンタ・ウェカシング・ラサ・チプタ・トゥンガル・タンパ・ラワンを教えたと主張した。 この魔法の目的は、神々に助けを求めることである。 ある朝、日の出とともに、デウィ・クンティはスーリヤ神の名前を呼んで、マントラを覚えながら入浴していた。 すぐにスーリヤ神が現れ、何のために呼んだのかと尋ねた。 デウィ・クンティは恥ずかしくなり、何の用もなく知識を試していただけだと認めた。

スーリヤ神はもて遊ばれたことに腹を立てた。 しかし、濡れた布で覆われただけのデウィ・クンティの体の曲線を見て、怒りは欲望に変わった。 彼はアスマラチプタの秘技を使い、デウィ・クンティの体に触れることなくセックスできるようにした。 触れなくても、デウィ・クンティはスーリヤ神の息子を妊娠した。

突然、スーリヤ神が天から舞い降り、部屋に降り立った。 彼は、欲望に流されてデウィ・クンティを婚前妊娠させたことをラデン・バスデワに詫びた。 彼は魔法でデウィ・クンティを清め、処女に戻した。

二人の関係から生まれた男の子について、スーリヤ神はバスデワに養子として育てることを禁じた。なぜなら、カルナ・バスセナはマンドゥラ王国を去ると偉大な英雄になると予言されていたからである。 赤ん坊が身につけていたイヤリングと鎧は、彼の家宝であった。 イヤリングはスーリヤ・クンダラと名付けられ、赤ん坊の胸に付けられた鎧はスーリヤ・カワチャと名付けられた。 この2つの家宝を身につけている間は、どんな武器もカルナ・バスセナを傷つけることはできなかった。

バスデワとデウィ・クンティは、赤ん坊のカルナ・バスセナがマンドゥラ王国を去ることを望む神々の決定に従った。 スーリヤ神がレシ・ドルワサに赤ん坊を引き取るよう命じると、デウィ・クンティは涙を流した。 その後、スーリヤ神は天に帰り、レシ・ドルワサは姿を消してマンドゥラ王国を去った。


レシ・ドルワサはカルナ・バスセナをキアイ・アディラタに引き渡す。

ハスティナ王国に仕えていたキアイ・アディラタという御者がいた。 彼はレシ・ラディの娘である妻ニャイ・ラーダとペタプララヤ村に住んでいた。 結婚して数十年になるが、まだ子供には恵まれていなかった。 夫婦は毎朝ヤムナ川のほとりで祈ったが、効果はなかった。 ついにその朝、レシ・ドルワサが男の子を抱いて川の上を歩きながら二人の前に現れた。

レシ・ドルワサは男の子をキアイ・アディラタとニャイ・ラーダに手渡し、この子は毎朝の祈りに答えてくれたスーリヤ神の息子だと説明した。 キアイ・アディラタとニャイ・ラーダはとても喜び、神の息子の世話を任されたことを大変光栄に思った。 十分満足すると、レシ・ドルワサは姿を消した。

キアイ・アディラタとニャイ・ラーダは、神々が自分たちの祈りに応えてくれたことにとても感謝した。 二人はまた、この赤ん坊を実の子のようにいつまでも愛することを約束した。 奇跡的に、ニャイ・ラーダの乳房から突然母乳が分泌され、彼女はすぐにハンサムな赤ちゃんに母乳を与えた。 男の子はバタラ・スーリヤの息子であったため、キアイ・アディラタはその子をスーリヤプトラ(スーリヤトマジャ)と名づけた。 しかし、日常生活では、あまり目立たないように、赤ん坊は単にラーデヤと呼ぶ事にニャイ・ラーダは同意した。 二人は幸せに家で暮らした。

続く…

普通はカルナは耳から生まれたという設定が多いけれど、これはちょっと違う。ワヤンの設定は地方によっても変わってきます。

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