The first destination 旅の始まり
新型コロナウイルスの影響で高校卒業後の渡米を諦めてから早一年半が経った。今思い返してみると怒涛のような日々で、一瞬で過ぎ去った。とも思えるし、ずいぶん長かった気もする。同じ時代を生きている全ての人々にとって辛い時期だったと思うし、その辛い時期がまだ続いている人たちもいることと思う。まずは、命を落とされた方々のご冥福とウイルスの一早い終息を祈ります。
高校卒業後の一年は、とにかくお金を稼ごう、貯めようと決めた一年。高校時代から続けていたアルバイトに併せて、コロナ禍にも関わらず幸いにも英語教室で雇ってもらうことができた。常に自分を忙しくさせることで現実を見ないように、考えないように。来年になれば私の夢は叶うのだから。でもそうして働いているうちに、一日一日を乗り切ることに必死な日々を送っているうちに、何が何だかわからなくなっていた。楽しみは給料明細と夜に飲むお酒。(わたしの学校は4年制だった為、卒業して間もなく20歳を迎えた😁)もうこのままここにいた方がいいんじゃないのか、私には結局どこかに行く勇気も力もないんじゃないのか。だって今楽しいし!生活に困らないし!なんのためにこんなに働いているのかも、なぜアメリカへ行きたいのかも、わからなくなってうまく説明できなくなった。周りは就職や進学をしている中、自分の目標は褒められたものじゃないとすら思えてきた。情熱が冷めていくの感じて同時に周りの評価も気になり始めた。完全に迷子になった。その頃ちょうど一年が過ぎていた。
これを機に、第二の道を考えるべきか。もういつからか思い出せないくらいにずっと夢見て備えてきた目標をここで諦めて現実を見るべきか。このまま夢を見続けていたら何も残らず時間が経って歳だけとってしまうだろうか。急に将来が怖くなった。手に職をつけようと本気で地元の看護学校に入ろうとしていた。家族も知り合いも『いい考え!よかった。応援するよ』『偉いね!!賢い選択だよ』と言って喜んだ。なぜ喜ぶのか、と疑問に思ったのを覚えている。この選択が正しいと思いたかったけれど心の中ではなんとなく”私”にとっては間違いだと分かっていた。
そんなある時、母が20年前アメリカにいた頃によく遊んでいたという友人と会う機会があった。彼は日本人だが、アメリカが大好きで永住権もとったくらいだ。彼に私はなんとなく、アメリカに行きたかったけど将来が不安だからもう諦めて看護学校に行こうと思っている、と話した。そしたら彼は『何言ってるんだ』と笑い飛ばした。『若い頃の一番の失敗は、自分が今どれだけ若いかということに気づけないことだよ。若さを充分に利用できずただ落として歩いていってしまうことだよ。』否定とも肯定とも言えないこの言葉、でも私には充分だった。それが二ヶ月前のこと。
私は今、なんとも暖かく、穏やかな(なぜなら今日はLabor Day)、星条旗がはためくプールサイドにいる。生まれた国に帰ってきた。まだ現実なのか?という感じだけど後悔は一切ない。難しく考え過ぎていた。やってみたら簡単だった。だけど素晴らしいことだった。もちろん今のアメリカには問題が山ほどある。私の夢見ていたアメリカとはかけ離れているかもしれない。思っている以上に深刻な問題が隠れているかもしれない。そもそも隠れてすらいないのかも。それらを知ることも含めて、ここに辿り着いたのはほんの始まり、第一章。
わたしはまだまだ若かった。若いどころか若すぎて経験すべきことがありすぎる。
まだまだ、これから。10年後も同じ言葉を呟いているかも...だって今のあなたにとって、今この瞬間のあなたが一番若いんだから。
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